スラックスとデニムのハイブリッド!アバハウス「デニム パッカブルパンツ」レビュー!

~大人のオフには、シルエットの美しいスラックスを~

オフの日に着るべき洋服は、「カジュアル」ではない。

「周りから“大人っぽく”見られたい」「休日も“大人”にふさわしいファッションでありたい」と思うのであれば、当然ながら、“大人っぽい”アイテムを選択し、“大人っぽい”コーディネートを考える必要があります。

その時に気をつけるべきことのひとつが、「カジュアル」という言葉の解釈です。「カジュアル」を、「オフの時に着る服」と認識してしまうと、結果として“大人っぽい”コーディネートから遠ざかってしまいます。

「カジュアル」という言葉は、「ドレス」という言葉の対極を意味します。「ドレス」とは、オフィシャルな洋服、つまりスーツのこと。スーツとは、 “大人っぽさ”の象徴です。仕事の時にスーツを着ているからと言って、オフの時に仕事から遠ざかるべく、“スーツの対極”の服装をすると、必然的に“大人っぽさ”からも遠ざかってしまうのです。

“大人っぽい”コーディネートのためには、オフの時もスーツから遠ざかってはいけません。むしろ、「オフの時に着る服に、スーツの要素をいかに取り入れるか」言い方を換えれば、「オフの時に着る服に、いかにドレスな要素を確保するか」これが重要になります。(ドレスとカジュアルの話について、詳しくはこちら:http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

この「ドレスの要素を獲得する方法」は、アイテムごとに、そしてコーディネートにおいて、実に多種多様な方法があります。ボトムスについて言えば、「スラックスを履く」のが手っ取り早い方法のひとつです。その点で、今回ご紹介するスラックスは、際立って優秀なアイテムなのです。

スキニーに勝るとも劣らぬ、美しいシルエット。


http://www.at-scelta.com/mens/abahouse/item_00341053018/

“昔やっていた部活”の影響なのか、はたまた民族性なのか、日本人男性が「ふとももの太さ」に悩む声をよく聞きます。「脚が細い方が良い」とは一概に言えませんが、脚がほっそり見える方が、洋服の着こなしの上で、シルエットが美しく見えるのは事実です。

脚の太さはどうにもなりませんが、細く見せることは可能です。それは、脚の中で一番細い部分である、足首を強調すること。パンツの裾はブカブカしているよりも、キュッと締まっている方が、美しく見えます。

そしてこのスラックス、裾が驚くほど細いのです。

ユニクロのパンツと比較してみました。この写真、下にあるのがこのスラックスで、上に重ねているのはユニクロの「ウルトラストレッチスキニーチノ」です。

もう1点。

同じく下にあるのがこのスラックスで、上に重ねているのはユニクロの「ウルトラストレッチスキニーフィットジーンズ」です。

ユニクロの2点はいずれも「スキニー」という名前がつくだけあって、細身のパンツです。このスラックス、チノと比べると5㎜弱ほど幅がありますが、ジーンズと比べるとほぼ同じ裾幅なのです。

「でも、そんな細いと履きづらいのでは」というご懸念もあろうかと思います。そこで、裾ではなく、付け根あたりの幅を比較してみました。

チノの場合、

ジーンズの場合、

このように、いずれもスラックスの方が、余裕があることがわかります。

つまり、このスラックスは、ふともも部分できちんと余裕をもたせつつ、先端にかけて緩やかに絞りが利いており、結果として美しいシルエットを描いているのです。

なお、このスラックスのデフォルトの股下サイズは83cmなので、大抵の人はお直しが必要です。
その際は、靴に触れてクッションしないようにカットするのがお勧めです。

側章が醸し出す、ドレス感とトレンド感。


http://www.at-scelta.com/mens/abahouse/item_00341053018/

側章(そくしょう・がわしょう)とは、パンツのサイドに入ったラインのこと。ラインがあることで、視覚効果で脚をより長く見せてくれます。この側章、元々は軍服が発祥のデザインですが、今ではタキシードのパンツに使われているもので、スーツ以上に“ドレス”な要素であると言えます。

さて、2016年後半あたりから、ラインパンツがトレンドになっています。このデザインの代表的なブランドと言えば、アディダスではないでしょうか。


http://shop.adidas.jp/products/AZ4814/

このラインパンツのトレンドは、軍服由来の側章ではなく、ストリートファッションの文脈から来ているもの。スポーツブランドのみならず、様々なブランドで、ジャージ風のゆったりしたラインパンツがラインナップされています。

そんなわけで、“側章”と“ジャージ風のラインパンツ”は、元々の出自は違うものです。しかし、ストリートファッション発のトレンドが牽引した結果なのか、この2種類のサイドラインパンツが今、様々なブランドで混在している状況です。

そしてストリート発のトレンドがより強いためか、ジャージ風パンツのみならず、側章入りのスラックスでさえも、ほとんどのブランドで、そのシルエットはゆったりしています。

そんな中で、このスラックスは例外的なまでに、タイトで美しいシルエット。これに似たアイテムは、他ではちょっと見当たりません。

側章の入ったタイトシルエットのスラックス、というドレス感。そしてラインパンツというトレンド感。それらを両立させた、稀有な存在なのです。

組み合わせの自由度が高い、デニムの“上位互換”。


http://www.at-scelta.com/mens/abahouse/item_00341053018/

このスラックス、とても着回しが利きます。

そもそも「デニム調に見える」ことを目指して作られたものだけあって、デニム並に“何とでも合う”のです。ただ、あくまでも、そのインディゴ風の色味が「デニム調に見える」だけ。

綿63%ポリエステル37%で構成されている生地は、ノンウォッシュのデニムのゴワゴワ感とも、ウォッシュされたデニムのマット感とも全く異なり、スラックスらしい上品な艶感。この生地の質感がまた、“大人っぽさ”の補強にひと役買っています。(ちなみにウォッシャブルですが、デニムのように色落ちすることもありません)


例えばジャケットを羽織れば、合コン対応もバッチリ。スタイリッシュで大人っぽい印象を女性陣にアピールできること間違いなし。


一方で、Tシャツ1枚と合わせても子供っぽくなりすぎることはなく、


スタンドカラーシャツと合わせるだけで、程よく抜け感のある大人の休日スタイルを作ることができます。このように、どんな組み合わせでもサマになるので、コーディネートに頭を悩ませる必要がありません。

下半身を美しいシルットでまとめることができれば、どんなコーディネートでもまず失敗はなくなります。安心して、自分の好きなトップスを、のびのびと選ぶことができるのです。

ちなみに筆者は身長178cm、体重64kg。ウエストは普段78cmから80cmくらいですが、このスラックスでは「46」でほぼジャストサイズです。股上が浅いため、人によっては若干圧迫感があるかもしれません。

安価なスラックスでは得られない付加価値。

ユニクロやGU、西欧系のファストファッションの店舗を巡れば、立派なスラックスが3,000円程度で見つかる時代です。それも、安かろう悪かろうではなく、基本をきちんと押さえた、汎用性の高い逸品が続々とラインナップされつつあります。

そんな中でも敢えて、この10,000円以上のスラックスを選ぶ価値はあります。※定価17,280円のところが、セールで10,368円になっています(2017年6月24日時点)

シルエットの美しさ。側章のトレンド感。デニム調ゆえの汎用性の高さ。生地の艶感。

これらの要素を、部分的に満たしているアイテムは、他でも時折は見かけるのです。しかし、これらすべてを絶妙なバランス感覚の中で同時に満たすアイテムは、他ではお目にかかれません。完売前に、是非一度お試しいただきたいところ。オンライン通販では在庫僅少ですが、店舗ではまだまだ見かけます。

このアイテムを選んだ方のオフタイムが、今まで以上に素敵なものになりますように。

EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。