アダムエロペのセットアップは今期トレンドの最前線!

近年、「90年代ストリートスタイルリバイバル」や「ビッグシルエット」というキーワードで表現されるようなファッションがトレンドから定番となり、新たなトレンドとして「ドレススタイル」や「リラックスシルエット」というキーワードが浮上してきています。

そんな中この春にアダムエロペがリリースした「CARREMAN(キャリーマン)ルームジャケット」と「CARREMAN(キャリーマン)ワイドスラックス」のセットアップは、「セットアップというドレスライクなスタイルを、程よくゆるいリラックスシルエットとノーカラーというリラックスディティールで崩す」アプローチとなっており、先述した最新トレンドにマッチしたセットアップとなっています。

今回、筆者はグレンチェック柄のグレーを購入しましたのでパンツ、ジャケットの順にレビューしていきます。

ワイドパンツをスタイリッシュに着こなすコツ

これまでスキニーデニムや細身のリブパンツなど、細身のパンツを履いていた人にとってワイドパンツというのはなかなかそう簡単に取り入れられるものではありません。脚を細く・長く見せてくれる、細身パンツのスタイルアップ効果はやはり抜群だからです。

ワイドパンツで細身パンツと同様にスタイリッシュな印象を作るためのコツは上半身をコンパクトに、下半身をボリューミーに見せるAラインシルエットを構築することであり、そのために必要な着こなしは「タックイン」「ブラウジング」「ハイウエスト」「ハーフクッションまたはワンクッション」の4つ。

「タックイン」はトップスの裾をパンツの中に入れる着こなしのことで、トップスの面積を抑えて上半身をコンパクトに見せます。「ブラウジング」はトップスのタックインを緩めにして、たるませたトップスの裾でベルトを隠すことです。腰位置をわかりにくくする効果があります。

「ハイウエスト」はパンツのベルト位置がおへそより1〜2cm下あたりに来るようにあげパンで履くことです。下半身のボリュームアップと腰位置を実際よりも高く誤魔化す効果があります。足元にクッションをつけるとワイド感・ルーズ感の強調に繋がります。

「ハーフクッションまたはワンクッション」はワイド感を強調しながらも、だらしなくなり過ぎない塩梅です。今回の「CARREMAN ワイドスラックス」は上述の着こなしがしっかりと出来るように作り込まれています。

圧倒的に“わかっている”各種寸法

筆者が購入した「CARREMAN ワイドスラックス Mサイズ」は、股上27.5cmで深め。ウエスト82cmでやや大きめです。深めの股上は「ハイウエスト」を実現するために必要な要素であり、大きめのウエストサイズは「タックイン」に必要です。

そしては裾幅24.5cm。「太すぎず、かと言って太さが不足でもない」ジャストな裾幅です。「リラックス」と「ルーズ」「気の抜けた雰囲気」と「だらしない雰囲気」は実はけっこう紙一重。そこをして裾幅24.5cmというのは、適度に太く「リラックス」を感じさせながらも「ルーズ」な印象にはなりにくいポイントを突いてきていると言えます。

股下丈は77cm。身長178cmの筆者がハイウエストで履いた時にちょうど「ハーフクッションまたはワンクッション」程度となる素晴らしい丈感です。

高級感としなやかさのある素材

ということで、「CARREMAN ワイドスラックス」がワイドパンツをスタイリッシュに履くために必要な寸法上の諸条件をしっかりクリアした優秀パンツだということがお分かりいただけたかと存じます。しかし、筆者がこのパンツで最も惹かれたのは実は生地です。

やや薄手でサラリとした肌触り、しなやかで柔らかく、艶があり落ち感が強い、春用のスーツ地といった印象です。素材はポリエステル69%、レーヨン(ビスコース)29%、ポリウレタン2%の混紡。化繊ですが、低価格帯のセットアップにありがちな化繊特有の生地のゴワつきはありません。

この「生地のしなやかさ」というのも実はワイドパンツを格好良く履くために大切なことだと考えています。ワイドパンツというのは基本的に脚のシルエットを全て隠すものです。しかし、一方で生地がしなやかなものの場合、歩いた時に膝付近のシルエットがなんとなく浮き出てきます。

これが、「見えていないけれど、本当は脚が細いに違いない」という想像を掻き立て、より一層スタイリッシュに感じさせるのです。もちろんあまりにもヒラヒラと軽々しい生地ではレディースライクになるため、塩梅が大切なのですが、このパンツは良いバランスです。

裾幅、ウエスト、股上、股下、しなやかな生地という各種条件を全て高いレベルでクリアして1万584円(税込)は驚異的なコストパフォーマンスと言えます。

ジャケットのディティール

次にジャケットです。このジャケットはノーカラーのセミロング丈になっています。178cmの筆者でジャケットの裾が足の付根にかかるくらいですね。ノーカラーですから当然ラペルは無し。一応ルーム”ジャケット”という名称ですが、ボタンがありません。

更にはポケットもスラッシュポケットとなっており、パッと見にはポケットが無いように見えます。かなりストイックにミニマルに仕上げており、ややモードな雰囲気さえ漂います。身幅は広めですが、先述の通り生地に落ち感があるためブカブカな印象にはなりません。あくまで品を保ちながらリラックスした印象です。

そして注目すべきはアームホールの細さです。薄手のインナーニット程度ならば問題ありませんが、厚手のニットではシワが寄る程度には細身のアームホールです。ゆったりとした作りながらも、印象の要となる袖部分はルーズにしない。こういった意匠が上品さを保つ秘訣だと思います。

使いやすさ抜群!これこそが”今一番新しい”セットアップ!

このセットアップ、セットアップとして着用した時の「上級者感」がハンパじゃありません。「ドレススタイルをシルエットで崩す」というアプローチそのものがあまりトライする人のいない領域ですし、かつ、「上下ゆったりシルエットで、体型が整って見えないながらも、大人っぽさを保ってオシャレに見える」とコーディネートを成立させられている人は更に少数派だからです。

一方でそれぞれ単体でも非常に扱いやすいです。ジャケット単体ならば、細身のパンツを合わせてYラインに。パンツ単体ならば、タックインや袖まくりでAラインにと、シルエット構築が容易なためです。

また、「セットアップスーツをシルエットで崩した」ドレスとカジュアルのハイブリッドアイテムのために、Tシャツやパーカー、デニムなどのカジュアルアイテムと合わせても、シャツやニット、スラックスなどのドレスアイテムと合わせても、「キメすぎ、ラフすぎ」になりにくいことも扱いやすさを強力に後押ししてくれています。

執筆時点でオンラインではほぼ完売のようですが、店頭では在庫のあるところもあります。アダムエロペは公式オンラインサイトで店頭在庫状況が確認できますので、目的の色・サイズがある店舗へ問合せをして確保してもらい、試着をしてみると良いでしょう。