ユニクロ「エアリズムマスク」の使用実感を徹底レビュー!

2020年6月現在、スマホやサイフと同じくらいに、マスクは外出時に必携のアイテムとなっています。需要にようやく供給が追い付き、「どこに行ってもマスクが買えない」という異常な日々を脱しました。それでもなお、発売日に求める人の行列がニュースになったのが、ユニクロのエアリズムマスク。筆者は幸運にして、発売日の翌々日に並ばずに購入することができました。5日連続で着用することで、試着だけではわからない事実も見えてきましたので、今回は徹底レビューさせていただきます。

機能へのこだわりがもたらす厚さ

この商品、1袋にマスクが3枚入っているのですが、取り出した瞬間にちょっとした違和感を抱かれることと思います。マスク自体は一見してノーマルなデザインですが、分厚さがハンパないのです。

上側がエアリズムマスク、下側は市販の不織布の使い捨てマスクです。エアリズムマスクはマスクと言うよりも、長めのタートルネックを口元まで引っ張り上げてきたかのような、まさに“洋服”のような厚さなのです。

同じエアリズムと言うことで、ユニクロUのエアリズムコットンオーバーサイズTシャツと比べてみましたが、ほぼ同じかそれ以上にマスクの方が分厚いとすら感じます。

この分厚さは、本来ファッションアイテムではなく医療目的のアイテムであるマスクを、ユニクロが顧客からの要請に応えて丁寧に作ろうとしたためのものと考えられます。言うまでもなく、一番の目的は新型コロナウイルスから身を守ること。そんなわけで、このマスクは三層構造になっており、そこにはユニクロらしさが見事に実装されています。

表側、つまり外の空気と接する側の生地の素材は、ポリエステル75%、ポリウレタン13%、キュプラ12%。メッシュ素材になっており、紫外線を90%カットします。UVカットはまさにユニクロの夏アイテムでしばしば見られる仕様です。

そして裏側、つまり口に接する側がエアリズム素材。内側の「AIRism」の文字は表からは見えなくなっているので、マスクの「ユニバレ」の心配はありません。生地を構成している素材の比率はナイロン59%、キュプラ31%、ポリウレタン10%となっています。

ユニクロはエアリズムを活用した多種多彩なアイテムを展開していますが、アイテムによって生地を構成している素材が異なっているのは興味深いところです。このマスクについては、高級スーツの裏地によく使われるキュプラが、表側にも裏側にも使われています。キュプラは水に濡れると縮みやすい特性があるため、洗濯がNGであることも多いのですが、このマスクは洗濯OKとなっています。

ただ、エアリズムと言えば接触冷感のイメージがありますが、このマスクのエアリズムにその機能はありません。そしてサイトのどこを見渡しても「夏用」とはひと言も謳っていません。「夏用と思って買ったのに冷たくないし分厚いから熱がこもるし期待はずれだ!」という声がレビュー欄にも散見されますが、ユニクロにしてみれば「最初から夏用とは言っていません」という話だと思います。

筆者の実感としては、もちろん接触冷感があればなお良かったとは思いますが、エアリズムならではの吸水速乾の機能だけでも非常に重宝しています。筆者は汗っかきなのですが、不織布の使い捨てマスクを使用すると汗がマスクの生地に吸収されず、一旦マスクを外して後で付け直した時に、冷えた汗が肌にくっつくことがむしろ不快です。エアリズムマスクは吸水性のおかげで、自分の汗で不快な思いをすることがなく、また外した後、しばらく外気に触れるところに置いておけば速乾しているので、快適な着用感をキープできるのです。

なお、このマスクは外見の大きさに対して、内側はかなりタイト。鼻呼吸でも口呼吸でも、息を吸い込むたびに内側の布がペコっと口の周りにくっつくことになります。エアリズムのなめらかな触感なので、それ自体に不快感はないのですが、ちょっと急ぐ時など走ったりして息が上がっている時には、呼吸を妨げられる形になるのでかなり息苦しく感じるかもしれません。また、アレルギー等の理由で化繊と肌との接触を避けたい方にはオススメできません。

余談ですが、このマスクの表側と裏側の間の、普段目にすることができない2層目は、ポリプロピレン製のフィルターになっています。公式サイトの表記は「細菌や花粉などの粒子を99%カット。BFE99%(※初期値)」となっていますが、これは約3マイクロメートルの細菌を含む粒子が、どれくらいろ過できたのかを表しています。ちなみに1マイクロメートルとは1000分の1ミリメートルです。つまりこのマスクは、花粉やせき・くしゃみに伴う水分を含んだウイルスの飛沫などを99%ろ過できる、ということです。

ジャストフィットが難しいサイズ展開


http://u0u1.net/wIx6

このマスク、色はユニクロ表記で「00 WHITE」、つまり白の一択です。一方で、サイズは3サイズ用意されており、写真の上からLが男性用、Mが女性用、Sが子供用、とされています。どのサイズも価格は3枚セットで990円(+税)です。

ユニクロのオンラインストアのレビュー欄を見ると、「大きすぎる」という声がかなり多いのですが、中には「ちょうどいい」「ちょっと小さい」という声もあり、つまるところ顔の大きさは人それぞれなので、難しいところです。

筆者は身長178㎝体重64kg、顔の大きさは特に大きくも小さくもなく、少なくとも自慢でもコンプレックスでもないのですが、Lサイズを購入して「ちょっと大きいかな?」という程度です。小さすぎて鼻が隠れないとか、大きすぎて視界が遮られるといったことになれば論外ですが、実際の問題はサイズ自体の大小よりも、着用している間にズレてくることかと思われます。

ホールド感が仇となって生じるズレ

普通、マスクは両耳にひもを引っ掛けて着用するものですが、このマスクについては両耳のほかに鼻とあごを使い、計4か所で顔の前面の下半分を包み込むように着用します。しかし、これだけホールド感を確保する作りになっているにも関わらず、筆者が連日エアリズムマスクを着用していて、必ずズレてしまいます。上掲の写真はマスク内側の鼻を包む部分なのですが、長く着用している内にここが下に落ちてきて、鼻の穴が露出してしまうのです。

ズレが生じる理由のひとつは両耳のヒモです。マスクを長く着用していると耳が痛くなってくるものですが、筆者はその痛みを一切感じません。それはヒモが細過ぎず柔らかく、負荷がかかりづらくなっているからだと思いますが、一方で実感はあまりないものの、そもそも少しゆるいのかもしれません。

ヒモの長さが調整できるようになれば、このズレは大幅に改善されるはずですが、現時点では自分でクリップ等を使って調整しない限り、解消しようがなさそうです。

ズレが生じるもうひとつの理由は、あごの部分。あごの部分はしっかりフックがかかる作りになっています。そのため、あごの位置だけはズレが生じません。そじの状態で、少しでも両耳のヒモがゆるいところに、歩行による振動が継続的に加わると、徐々にマスクの上部がズレてくるのです。

ズレを生じさせない着用のコツ

筆者は試行錯誤を繰り返す中で、マスクをズレにくくするコツを見つけました。普通に着用した場合、外からの見え方はこうなります。

この時、内側はこうなっています。

ズレにくくする着用の仕方は、このように下側の、あごの部分だけを折り込んでしまうのです。こうすることで、あごにフックがかからなくなり、下に引っ張られなくなることで、格段にズレにくくなります。

外側からの見え方はこんな感じです。傍目にも不自然さはないと思います。一般的に、洋服を選ぶ際もサイズ選びが重要ですが、自分の目指す最適のサイズ感が、ただ着るだけで得られることは稀で、着こなしによって調整する必要があります。同様に、マスクもファッションアイテムとして考えてみれば、着こなしによってサイズ感のズレをカバーする方が建設的ではないでしょうか。

筆者の場合は、Lサイズを選ぶことで生じたズレを、このような方法で解消しましたが、人によってはまた別の方法があるかもしれません。ともあれ、エアリズムマスクは「夏用のインナー」というエアリズムの先入観をもって見なければ、実に“使える”マスクです。ただ、人によって合う合わないは必ずあります。少なくとも今のところ、決して万人向けのアイテムではありません。それでもユニクロの他のアイテムがそうであるように、このマスクは時を重ねる中で必ず進化してくれるでしょうから、あわてて購入しなくてもいいかもしれません。

逆に、そのように進化する前に、マスク自体の需要がなくなるほど、ウイルスが落ちつく日々が戻ってくることを願いたいものではあります。

 

EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。