グランジの気分を体現して差別化するビームスのモヘアカーディガン

皆さん、冬場のファッションを楽しんでいますか? 今回、グランジファッションには欠かせないモヘアカーディガンを入手したので、グランジファッションの背景を交えて執筆していきたいと思います。

グランジファッションとは

グランジファッションとは、汚れたという意味を持つグランジが語源となっています。

1980年代は大量消費を行い、パーティを開いて煌びやかで華やかな時代でした。ファッションにおいても保守的であり、ゴージャスなデザインな物が多かった時代です。


https://ameblo.jp/11commerce/image-11547040007-12567563574.html

そんな中、80年代後半にマルタン・マルジェラは大量消費を行う社会に対して疑問を抱き、古着を再構築して制作したコレクションを発表しました。こちらがグランジファッションの先駆けと言われています。

89年にはアメリカのシアトル近郊で陰鬱で重く、退廃的とも捉えられる楽曲でジャンル不明の音楽をやっているバンドが続々と出てきました。彼らは破れたジーンズやよれよれの古着を着用し、一見乞食とも思えるような出で立ちで演奏していた事から次第に彼らの音楽はグランジロックと言われるようになりました。

グランジロックは煌びやかで華やかだった80年代を旧体制と否定し、その時代の華やかさなどは作られた物だったのではないかと疑念を抱いていた若者達に大きな支持を受けます。


http://imgcc.naver.jp/kaze/mission/USER/20160407/28/2166018/18/479x638x5f390dcf1be27360c5cd70fd.jpg

その中でも特に人気があったバンドでグランジのファッションアイコンとして取り上げられるのがニルヴァーナのカート・コバーンです。


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古着のモヘアカーディガンやフランネルシャツを重ね着で着用し、破れたジーンズ、ボロボロの靴といった様相で社会の陰鬱な雰囲気を表現した歌を歌う彼に憧れる若者が続出、彼のファッションも世間で流行しそれがグランジファッションとして呼ばれるようになりました。


http://modearte.com/vogue-editorial-launched-grunge/

ファッション業界でもペリーエリス(当時のデザイナーはマークジェイコブス)やアナスイなどもグランジファッションを取り入れたコレクションを発表し話題を呼びました。


https://www.fashion-press.net/collections/gallery/17726/306933

それから20年ほど経ってグランジなど忘れ去られていた2013年、サンローランのディレクターに就任したエディスリマンはグランジファッションを再考したスタイルをコレクションで打ち出し、賛否両論ではありましたが新規のファンを獲得する事に成功する事ができたというのがグランジファッションに関する背景になります。

脱地味に使えるデザイン・着心地がとてもいい

さて、簡単にグランジファッションの説明も終わったので今回の商品の解説に参りましょう。

こちらが古着屋で見つけたビームスのモヘアカーディガンになります。

モヘアとは、アンゴラヤギの毛の事で特徴としては絹に凌ぐ光沢を持ち、毛足が長い事が特徴としてあげられる物です。このように長い毛足をしているので、普通のカーディガンと比べて地味な印象を受けません。

また、ウールに比べて柔らかくチクチクするといったことはありません。表面を撫でてみれば動物を撫でているような錯覚に陥るほどの気持ちよさがあります。

もこもこして可愛く、触り心地もよく女子ウケは抜群です。着用している日に触られない日の方が珍しいくらいです。

サイズはLサイズで着丈72cm、着幅49cm、肩幅48です。着用してみると少し大きく、毛足が長い分シルエット自体も本来よりも大きく見えます。コーディネートを組むなら下半身を細身の物を選んで頂けるとYラインになるのでオススメです。

写真では伝わりづらいですが、ボタンの加工もしっかりしており、安物には見えません。

シンプルなデザインの物であればあるほど、ボタンなどちょっとしたデザインに目が行きがちでそこで服の印象を決定づける物なのですが、モヘアという脱地味の素材の上にボタンもしっかりしているのが好印象です。

素材の特性上、難点多し

もちろん良い事ばかりじゃありません。こちら毛足が長いという特性上、毛同士が絡まりやすく毛玉が非常にできやすいです。特に摩擦が大きい脇や腕の部分なんかは頻繁に毛玉ができます。

また摩擦で毛が寝たりするので、ベルトやショルダーバッグなどを一緒に着用するのはなるべく控えましょう。

モヘアは柔らかい風合いを残す為に緩く編まれているので編み目が粗くなりがちです。通気性がいいという利点があるのですが、別の言い方をするとそんなに暖かくありません。グランジファッションのように重ね着をしていただければ真冬での着用も可能ではあるのですが、単体だと少し寒いです。

そして、緩く編まれているので毛が抜けがちです。静電気も生まれやすい素材の為抜けた毛が下に着用している服に付着する事も多々あり後処理が非常に面倒です。

対策としては静電気が原因で毛が抜けやすい為、静電気防止剤を服に振りかけるか、出かける前に霧吹きなどで水をかけ表面を撫でてあげると静電気が生まれづらくなります。

着用しているうちに遊び毛と言われる毛が飛び出てくる事もあるので、ブラッシングも定期的にして頂いた方が賢明です。現在は静電気を除去してくくれるブラシも販売しているみたいなので、気になる方はさがしてみてください。

グランジファッションを元にコーディネートしてみる

色々な着こなし方はあるとは思いますが、せっかくなのでグランジファッションでコーディネートを構成してみましょう。

正直なところ、グランジでの代表的な着こなしであるカーディガン、破れたジーンズ、チェックのフランネルシャツ、スニーカーでコーディネートを構成するとカジュアルに寄りすぎますので、使用するアイテムを考えながらなるべくグランジファッションに基づいたコーディネートを考えてみましょう。

上記がグランジを意識して組んでみたコーディネートです。

こちらのカーディガン自体はカーディガンで光沢がありダークトーン色のドレスな要素と、毛足が長くサイズが大きいというカジュアル要素を持っているのでカジュアル寄りのドレスアイテムと位置づけます

サイズ感は先程もいった通りに大きめとなっているので、下半身は細めの物を選んであげると簡単にYラインを作ることが出来ます。黒スキニーが収縮色、グランジに基づいたジーンズであるのでコーディネートが組みやすいです。

靴もなるべくドレス寄りの物を着用して欲しいですが、革靴ではなくグランジファッションに基づいてスニーカーをチョイスしましょう。ハイカットで黒のコンバースを合わせてあげると靴と黒スキニーの境界線が同じ色になるので脚長に見えるのでオススメです。

グランジではインナーはTシャツの上に柄物シャツを着用する着こなしが多いです。またカーディガンは襟がないデザインで首元が寂しくなりがちです。だからスカーフやスヌードなどと相性がいいのですが、今回はそれらを使用せず、ハイネックでカバーしています。

このようにグランジを少しドレス寄りのコーディネートで組んで上げれば現代風にコーディネートできますので、参考にしてみてください。

定価は不明でおそらく30000円程度だと思うのですが、古着屋では3000円ほどでした。

ちょっと難点はありますが、着心地はよく見た目地味にならずに何より女子ウケ抜群のモヘアカーディガン、皆さんも探してみてはいかがでしょうか。