雨の日でも気にすることなくガシガシと革靴を履きたい。プレーントゥは飽きたからちょっと違う装飾性のある革靴が欲しい。そんな方にぜひ検討していただきたいチャーチのバーウッドをご紹介いたします。
唯一無二のポリッシュドバインダーカーフレザー
今回ご紹介するシューズブランドであるチャーチは1873年にイギリスのノーサンプトンで創業した靴の老舗ブランドです。英国靴のメーカーとして真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?
そんなチャーチの扱うレザーの1つにポリッシュドバインダーカーフというレザーがあります。このレザーは、生後6ヶ月までの子牛から取ることができるカーフレザーを樹脂で表面加工したものです。この加工のおかげでレザー表面には上品な光沢感があり、傷、汚れがつきにくく、水をはじくので雨の日にも着用できます。
メンテナンスの際も水で濡らした布でサッと拭いてあげるだけでも綺麗になります。イギリスのロンドンは雨が多い街です。そんな街でも上品に履くことができる靴がこのポリッシュドバインダーカーフを使った靴なのです。まさに機能美ですね。
また、樹脂で加工しているのでよくガラスレザーと比較されることがあります。ポリッシュドバインダーカーフはガラスレザーよりも樹脂によるコーティングが薄いので、履き込んで現れる履きジワもカーフに似て自然です。樹脂によるツヤもやりすぎ感がなく、まるでコードヴァンの様に美しいです。
普通のカーフですと、傷、汚れ、雨に強くないですし、クリームを塗ってしっかり磨いてあげないと光沢感は現れません。ですのでこのポリッシュドバインダーカーフを用いた靴は、メンテナンス、雨、汚れのことを考えずに気軽にガシガシ履くことができます。
機能から生まれた美しいデザイン
この靴の1番の特徴として、全体が穴で装飾されています。爪先の部分の装飾をメダリオン、いろいろなところに散りばめてある小さい穴と大きな穴を組み合わせて装飾したものをパーフォレンといい、この2つを組み合わせたものをブローグと呼びます。
この装飾は場所によって呼び方が異なっていてイギリスではブローグ、アメリカではウイングチップと呼ばれています。このブローグ装飾は元々、水はけと通気性をよくするために開けられた穴でした。
イギリスのロンドンは雨が多い街です。雨の侵入を防ぐためにトゥを2重のレザーで覆い、レザーで覆った分の通気性と水はけを確保するために穴が開けられました。
きっと最初は機能のためで、デザインは関係なかったと思います。しかし、年月が経ち靴職人さんたちがこの機能をデザインとして用いたことで、この美しさの中に意味があるデザイン、機能美が生まれたと私は思っています。
他の部分を見てみましょう。羽根の部分は内羽根式になっています。外羽根はヨーロッパであった戦争のワーテルローの戦いで広まったとされていて、内羽根は英国のヴィクトリア女王の夫であるアルバート公によって誕生しました。一言で表すならば外羽根式は活動的、内羽根は紳士的ともいえます。バーウッドは内羽根式を採用しているので紳士的と言えますね。
ソールもビジネスシューズに比べるとハーフミッドソールで厚いので重厚感があります。ハーフミッドソールとは、アウトソールの上の土踏まずから先の部分にミッドソールと呼ばれるレザーをもう1枚使って仕上げたソールです。土踏まずから先のソールが分厚くなっているのが写真で確認できると思います。
シングルソールに比べて厚みが増すので耐久性、耐水性が強く、ダブルソールと比べると土踏まずから先にしかレザーがないので重量が増えすぎず、ソールの返りも悪くなりすぎず、まさにダブルソールの弱点を克服した素晴らしいソールです。
短くまとめてみましょう。革靴といえばドレスアイテム。しかし、トゥの丸みやソールの厚さ、ブローグ装飾でカジュアルに寄せ、内羽根式の羽根、ポリッシュドバインダーカーフによるツヤでドレス要素を崩しすぎない様にしている。まさにいいとこ取りをしたシューズと言えます。
また、ブローグ装飾による水はけの良さ、ハーフミッドソールによる耐水性、ポリッシュドバインダーカーフの水への強さから雨履にもちょうどいいです。
一味違う経年変化
革は使用することでもともと硬かったものが柔らかくなって、シワや傷が入り自分だけのものになっていきます。ポリッシュドバインダーカーフは樹脂で加工してあるから経年変化しないんじゃないのか、そんなことありません。
確かに加工していないカーフよりも経年変化は味わえません。しかし、写真をみてください。
新品にはないかっこよさがあると思いませんか? ポリッシュドバインダーカーフの特徴である全体に艶があるからこそ、シワが入った部分に光が当たった時に陰影によって、なんとも言えない表情を見せてくれます。
革も新品の時はガチガチでとても硬く、「お前になど履かれてたまるか」と言われている様でした。しかし、履き込んで行くことで革が柔らかくなって履きやすくなった時、バーウッドがやっと自分を認めてくれたような感覚があります。
カーフやガラスレザーとは一味違うポリッシュドバインダーカーフならではのエイジング。他の革との経年変化の違いが自分の所有欲をさらに増幅してくれます。
いいものを長く使って初期投資分を回収しよう
2017年8月22日現在のバーウッドの値段は8万9640円(税込)です。買うのには勇気がいる値段ですね。しかし、スニーカーと違って革靴はメンテナンスによって10年以上履くことが可能です。
単純計算で靴代の約9万円とメンテナンス費を3万円かかるとすると、10年履いたら1年あたり1万2000円になります。こう考えると安く感じますね。
イギリスの首相で1997年から2007年まで就任していたトニー・ブレアという方がいます。彼は毎週の質疑応答で必ず同じ靴を履いていたと言っていました。しかもその靴はチャーチのブローグシューズで18年間も履き続けている物だったのです。チャーチの靴はしっかりと手入れしてあげれば10年以上履けるという裏付けにもなります。
安い革靴を何足も買うよりも、高い靴1足を長年履くことで愛情を持って履くことができますし、高い靴を買うことで自分を「必ず革靴をメンテナンスしなければいけない」という状況に追い込めます。そうすると物の大切さを再認識することができますし、今日も1日履かれてくれてありがとう。そう感謝することで自分も気分が良くなります。
とっても大事なサイズ選び
革靴を買うにあたって一番大事なのがサイズ選びです。買いに行った日は良かったけど、履き慣れてきたら緩くなったという経験があるのではないでしょうか?
原因は履きこみによるレザーソールの沈み込みです。履き込むことによって自分の体重がソールにかかるので、少しずつソールが自分の足の形に合わせて沈み込んでいきます。沈み込んだ分隙間ができるので緩くなったと感じてしまうのです。
ですがソールが自分の足の形に変形することでさらなるフィット感を得ることができます。このことを踏まえて、本当にジャストサイズの靴を買うのをオススメします。私は足の実寸が24.5cmで幅広甲高です。サイズはUK6h(25cm)を選びました。参考にしてみてください。
では、どこで買うのがいいでしょうか。まず第一に、通販で革靴を買うのはやめましょう。チャーチの旗艦店やチャーチを取り扱っているBRITISH MADEさん、百貨店などに出向いて店員さんに足のサイズを測ってもらい、自分に合ったサイズを出してもらうことをオススメします。
私も丸の内のBRITISH MADEでチャーチの靴を数足試着させていただきましたが、自分がジャストサイズだと思っていたサイズよりもワンサイズ小さいサイズを勧められてびっくりしました。勧められたサイズを履いてみたところ、窮屈でしたがソールの沈み込み分を考えると確かにジャストサイズでした。
相手は靴を売るプロフェッショナルです。まずは信じて勧められたサイズに足を通してみましょう。
また、試着に行く際にはその革靴をどのように履きたいか考えてから行くことが重要です。例えば、冠婚葬祭用の靴を買いに行くとして、デニムにTシャツのカジュアルスタイルでその靴を履きませんよね。ですからスーツで買いに行く、スニーカー用の生地が厚いソックスじゃなくて薄めのソックスを着用して行くなど、ちゃんと準備して行くことも大切です。
雨の日は革靴を履くのを躊躇してしまうけれど、バーウッドなら気にすることなくガシガシ履ける機能美を持っていますし、見た目もThe雨靴でなく上品な革靴です。
バーウッドはレディースにも取り扱いがあるのでペアシューズも可能です。プレゼント候補の1つとしてもいいのではないでしょうか。