CLANEには、毎シーズン素材違いで発売される定番のロングカーディガンがあります。今回紹介するものは2018年の春夏物。現在は別素材の秋冬物がリリースされているのですが、春夏物でも秋に着られる使い勝手のいいアイテムです。
デザインがない事が最大のデザイン
このカーディガンはロング丈であることを除けばまったくデザインがありません。生地も無地のコットンニットで柄もありません。エリはノーカラーで、ポケットすらサイドにあるのでパッと見どこにあるかわかりません。袖もカットソーのような普通の袖。さらにはカーディガンには必ずあるフロントのボタンまでありません。ホントに何もない、シンプルという言葉でも足りないくらいのシンプルさです。
しかし、それこそがこのアイテムの特徴になっています。装飾を極限まで削ぎ落としたことによって普通のカーディガンには無い際だった個性が出ています。アイテム自体にエリやポケット等の見えるデザインがない事でカーディガンの人に与える情報量が極端に少なく、かつロング丈なので面積は大きくなりインナーが見える面積を少なくする事ができます。そのため柄物のシャツや派手なプリントTシャツでも見える面積を小さくできるので派手になり過ぎません。パッと羽織るだけでもサマになり、グッとおしゃれ感を増してくれます。
また唯一のディテールであるロング丈であることもサマに見える一因です。ロング丈のため上半身の面積が大きくなり、上半身にボリュームが出るのでYラインのシルエットを簡単に整えることができます。
(全体図。エリもポケットも見当たりません。)
(袖部分。袖口もシンプルそのもの。)
(ポケット部分。サイドの縫い目あたりにあるので全く目立ちません。)
(こんな感じのプリントTでも)
(プリントがかなり隠れるのでバランスが取りやすくなります。)
春夏用でも生地は厚め
生地はコットン95%、ナイロン5%の混紡になっています。そのためコットン100%のニットとあまり変わりないのですが、適度にツヤがあり高級感もあります。編み糸は強撚糸という撚りあわせの強い糸で密度を硬めに編んであります。そのため表面の凹凸はほぼなくなめらかな印象です。
ここまでは普通の印象ですが生地の厚さが違いました。ユニクロ等で売っているコットンニットの生地はやや薄めに作られていますがこのアイテムは生地が厚くなっています。そのため体のラインが出にくく体型を隠すことができます。特におなかが出てきている筆者のような30代にはうれしい特徴です。
そしてこの生地は厚いのに固くなく、もっちりとした手触り。このもっちり感がコットンニットに高級感をもたらし、この厚みがアウターとして1枚で使える要因となっています。またミリタリーアウターによくあるライナーのように秋物の薄いコートのインナーとしても使うことができます。
(生地拡大。シワになっている部分で生地の厚さ、モッチリ加減がわかると思います。)
まとめ
デザインを削ぎ落とした究極のシンプルを表したようなアイテムです。そのためエリ部分の開き方や袖丈など多くの部分にとても緻密な計算がなされているように感じました。ディテールを足していくだけがデザインじゃないと改めて教えてもらいました。
洋服のデザインは奥深いです。サイズ感はオーバーサイズなのでやや大きめに作られています。ただ着丈はサイズ1(Mサイズ相当)、2(Lサイズ相当)共に86cmと同寸。身幅ゆったりめが好きな方は2、そこまでゆったりを求めないなら1といった感じで自分の好みの着方で選ぶのがオススメです。筆者は普段はLサイズを着ているのですが1を選びました。
価格は2万5920円(税込)とカーディガンとしては価格は高めになっています。ただ目立つデザインのないシンプルさで着回しもしやすく、サマになるこのアイテムはこの価格でも満足いくものになっています。このアイテムでデザインを究極に削ぎ落としたシンプルを体感してみてください。