【企業分析】高収益体質BUYMAの今後のポイントは「アクティブ会員が増え続けるのか?」

今回は「エニグモ」という企業を紹介したいと思います。エニグモは、「世界を買える」というフレーズの名の通り、世界中のアパレルを購入できる「BUYMA(バイマ)」というサービスを提供しています。そのビジネスモデルは非常にユニークですので、確認していきましょう。


http://www.enigmo.co.jp/ir/whats_enigmo/

エニグモのビジネスモデルについて

BUYMAは、ZOZOTOWNやFarfetchのように「個人がネットで洋服を買える」というマーケットプレイスなのですが、その売り手が海外在住の個人という点が異なります。BUYMAの商品の売り手は「パーソナルショッパー」と呼ばれています。現地だと、日本にで買うより商品が安いのは自明の理。このような地域差を活かして、日本にいながら海外の商品を購入可能にしたのがBUYMAのユニークな点でしょう。そんなBUYMAですが、その内部の仕組みはいったいどのようになっているのでしょうか?

図にするとこのような感じです。注目ポイントは、出品者に「注文を受け付けてからの買い付け」が認められている点にあります。マーケットプレイスのビジネスモデルは、売り手と買い手の両方の流入が必要になってくるため、この流入数を増やす工夫が必要になります。例えばメルカリは、購入者がそのまま出品者になれるように、出品への煩雑さを徹底的に排除する工夫を行っています。

この点BUYMAは、「購入者から注文を受けてから商品を買い付けしに行くことが認める」「出品者だけでなく、購入者からも仲介手数料を取って手数料の負担を平準化する」などの施策で、「パーソナルショッパー」へのハードルを下げて売り手を増やしているように見えます。ここは企業のオリジナリティが現れる点と言ってもいいのではないでしょうか。

エニグモの収益構造について

では、そんなBUYMAを運営するエニグモは儲かっているのでしょうか。

まずはこの損益構造をご覧ください。売上を100%とすると、売上原価は17%、販管費は41%しか掛かっておらず、最終的に法人税を控除しても29%もの利益が残ります。これはZOZOSUITを出す前、ZOZOが最高の時価総額をたたき出した時の純利益率とほぼ同じ。かなりの高収益体質であることがわかります。かなり儲かりそうなエニグモの損益構造ですが、売上は出品者と購入者からの手数料収入です。売上の実際額はどのようになっているのでしょうか。

売上高は3か月間で35億円、これに対して必要な売上原価は6億円。販管費が14億円です。売上原価は非開示でしたが、同業種他企業の有価証券報告書を確認すると、エンジニアの給料、サーバー管理料、投資の減価償却費などがこれに当たると思います(支払手数料や外注費が計上されている事も多いです)。販管費は役員報酬、給与、広告費、販促費、業務委託費、減価償却などがあげられます。大半は人件費と広告であることが分かります。

マーケットプレイスの事業において重要なのは「顧客体験」であると言われますが、その為に大前提として、日々改善業務を行うために「サイトを自社で作成していること」が必要です。また、マーケットプレイスは、利用者が増えれば増えるほど活発になっていくという性質もあるため、「ユーザーの流入数」も必要になってきます。

売上原価と販管費を見ると、「エニグモはこの2つにしっかりとお金をかけている」というような構造が読み取れますね。

上図はエニグモの2018年上期のハイライトなのですが、マーケティングミックスという広告、機能向上などが最初に挙げられている理由は、上記の通りではないでしょうか。メンズ強化、「ソク割り」という新サービス、「BUYMA TRAVEL」という新規事業も、すべて「顧客体験を改善する」、「ユーザーの流入数を増やす」という方向にあてられていると思います。

新サービスや新規事業の成果はまだこれからでしょうが、エニグモの機能向上や広告は、ユーザーの流入に繋がっているのでしょうか? エニグモが開示する重要指標について少し見ていきたいと思います。

エニグモの重要指標について

まず会員数。2018年1月期の会員数は4,452,434人である所、半年で5,504,196人まで増えています。半年で100万人近く増えていますね。

このうち、その年内で商品の購入を行ったアクティブ会員数は1,02万4,889人。昨年に比べて10万人ほど増えています。

この会員数とアクティブ会員数の関係を見ると、会員数が増加するにしたがって、アクティブ会員数が徐々に減少していく傾向にあります。このことを踏まえて、エニグモの広告戦略を見てみましょう。

エニグモが現在展開している新マーケティングミックスは「TVCMを実施。」⇒「会員登録したユーザーに対して広告を展開」⇒「さらに購入してもらう為の施策を実施」という3つの流れになっていることが見てとれます。推測でしかありませんが、エニグモは、この会員登録とアクティブ会員数の差を、「TVCMなどを見て、とりあえず会員登録したが、まだ購買までには至っていない」という客層が多いと判断しているのかもしれません。数字を見ながら考えると、色々なことが繋がっているように見えますね。

日本事業の詳細は?

では、簡単に日本事業について見ていきましょう。出品数は既に250万以上、出品者であるパーソナルショッパーは世界145か国に11.5万人いるようです。そして、購入者を見ると、「一度の買い物で2万円弱の買い物をする、30代女性」がメインの顧客になっています。このように、顧客のデータを公開してくれると、エニグモの顧客を想像することができますね。

そんな国内事業ですが、データを確認していきましょう。ARPUは、購入者の「一回の購入金額」と「購入回数」の掛け算です。また、売上の源泉となるアクティブ会員数は前年比113%となっています。「会員数が順調に成長したことで」アクティブ会員数が増加したとありますが、ここからは「アクティブ率が増加したかどうか」は分からないため、今後注視しておく必要があります。アクティブ率を上昇させるためにエニグモが取ったとされる施策は複数あり、前年の資料で公開されています。

その結果が一部公開されていましたので確認していきましょう。

まずメンズカテゴリの強化、これは順調に伸びているようです。これは、現在の割合よりも、エニグモの施策はしっかりと効果を発揮しているという所に注目するとより良いかもしれません。

次にアプリのDL数です。アプリはDLされれば、そこから経由して購入に至るまでの割合が非常に高いと言われています。エニグモも重要な指標の一つとして認識しているようです。

継続したデータを確認すると、徐々にアプリ利用率が増加しています。新マーケティングミックスにより入ってきた新規会員が、このアプリを利用していくようになる。という流れが今後のエニグモの重要な流れになるのかもしれません。

今後エニグモの事業をチェックする際には。「アプリの利用率はどれくらいか?」「登録からアクティブ会員に移行する率は変化しているか?」「アクティブ会員数は増えているか?」などを中心に確認していくと、新マーケティングミックスの効果も測定できるかもしれません。エニグモが今後アクティブ会員数を増やすために、どのような手を打ってくるのか。注目してみたいと思います。

2018年上期決算書資料
http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2018/09/ir_20180914_3.pdf

2017年上期決算書資料
http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2017/09/ir_20170913_5.pdf

をご覧ください。