北海道でも耐えられるレザーグローブ!DENTSのヘアシープラビットファーグローブをレビュー

「暖かくてカッコいいグローブが欲しい」。北海道に住む私は、冬になると毎年そう思っていました。冷え性な私にはグローブは欠かせません。通勤用として毎日使っているのはTHE NORTH FACEのダウンの入ったグローブ。暖かさは文句ないのですが、モコモコとしたシルエットで、ファッションアイテムとしては不満でした。

そんな私が以前から狙っていたのが、英国王室御用達のDENTSというブランド。「グローブ界のロールスロイス」とまで言われるその実力は実際どれほどのものか?また、超高級グローブと言える価格のDENTSの意外な入手方法をご紹介いたします。

DENTSは日本では、表側のレザーの種類とインナー(裏地)の素材の名前をそのまま商品名としていることが多いようです。実際には各モデルには名前がつけられていますが、日本ではあまりなじみがありません。

一番有名なのはペッカリー。イノシシみたいな動物の革で、シボがはっきりと入っていて、やわらかいのに丈夫です。他にもディアスキン(鹿)やラム(羊)などの皮革製品以外にも、ウールなどレザー以外の素材もあります。

インナーの素材もカシミアやラビットファー、シルクなど天然素材の他、ウール×アクリルの混紡や、フリースのものもあります。そしてアンラインド、つまり裏地無しのものも。日本のデパートに置いてあるモデルはそう多くはないですが、実は様々な種類が存在しています。

その中で筆者が選んだモデルはヘアシープ×ラビットファー。ヘアシープとは羊の革の種類の1つで、「羊」といわれてすぐ想像する羊毛をとる目的のあのモコモコした羊とは別の、毛が寝たタイプの羊の革です。牛革との大きな違いは「やわらかさ」「しっとりとしたキメの細やかさ」です。

そしてインナーがラビットファー。そのままウサギの毛です。ラビットファーが襟などに使われた洋服をいくつか所持しているのですが、これが非常に気持ちいいのです。とてもなめらかで、ずっと撫でていたくなる気持ちよさ。

ウールのようなチクチク感は皆無ですし、暖かいけど汗でべたついたりもしない。インナーが選べるなら、カシミアより絶対ラビット!と決めていました。

正直なところ、インナーが優先で、表地の素材はなんでもよかったような気がします。黒であまりゴツゴツしていないもの。ペッカリーはちょっとゴツすぎます。そもそも値段も非常に高いので除外でした。

そうやって選んでいくと選択肢はヘアシープがディアスキンぐらい。最後は価格で、とりあえず安い方ということでヘアシープを選びました。黒でゴツゴツしていないという条件については後述します。

細かく見ていきましょう

それでは細部を見ていきましょう。まず甲側から。まずなんといっても目に入るのがレザーのツヤ感。とってもキメが細かく、濡れているかのようなツヤがあります。手ざわりもしっとり。誰がみてもこれだけで高級品とわかる上質なレザーです。

次に甲の3本のステッチ。レザーのグローブではよく見る装飾ですね。手を握ると引っ張られる部分なので、元々は強度を上げるために施されたもののようです。「ピンタック」とも呼ばれ、その名のとおり「生地(レザー)をつまんで」縫ってあります。

次に手のひら側。手首部分にスナップボタンがついています。これを留めなくてももちろん着用できますが、見てわかるようにスリット(切れ目)が親指の付け根より上まできています。つまりそのままでは風が入って少し寒い。

そしてこのスナップを留めると、ある問題が……。それはまた後ほど。

この写真は平置きして撮っていますが、やはり素材がレザーですので、置いたときには平らな形をしています。アウトドア系のグローブなら手の形をしているものもあり、着用したときに自然なシルエットになりますが、このグローブは握ったりするとレザーが寄ります。インナーの厚みもあるので仕方ないのかなと思います。

手首部分のアップ。ボタンに「DENTS ESTABLISHED 1777」と刻印があります。1777年に設立された、という意味ですね。実に240年の歴史があります。

インナーのタグです。こちらは右手側。「The Heritage Collection」「Made In England」と書かれています。Heritageは「遺産」といった意味なので、「伝統的なモデルですよ」というところでしょうか。

サイズは8。これはシールなので外すことができます。DENTSはサイズ設定が幅広く、MやLではなく、7インチから0.5刻みで11.5まであるものも。

そして左手側。Shell、つまり外側は「Fine Leather」、「上質な革」「きめの細かい革」といった意味かと思われます。素材であるヘアシープを表しているわけではないんですよね。対してLined、内側は「100% Coney Fur」すなわちウサギの毛です。

選択表示はドライクリーニング推奨と書かれています。レザーをドライクリーニング、私は試したことがありません。ちなみに、レザー製品は水洗いできない、水に弱いというのは誤った認識で、もともと生きものの革ですから水で洗っても基本的には大丈夫です。

ただ油分は抜けるのでクリームなどでのケアは必須ですし、場合によっては風合いも変わります。型崩れしないようにすることも大切。

しかしこのグローブの場合はインナーがラビットなのでちょっと勝手が違います。指先までファーが詰まっているので、まず乾かすのが難しいでしょう。裏返すのもファーのせいでほぼ無理でした。

ここで間違ってもドライヤーなどを使ってはいけません。革はタンパク質ですので熱に弱く、一度変性すると元には戻りませんので。これは靴も同様です。

こちらの写真でラビットファーの感じが伝わりますでしょうか? 外にはみ出すくらいの毛足の長さ。

少し裏返してみました。グレーのラビットファーがびっしり植えられています。長くとられた毛足は約1㎝ありました。そんなに長いのに、とてもやわらかい毛なので着用時のストレス、圧迫感は全くありません。

むしろレザー1枚のものよりスルッと手が入りますし、自然な暖かさをもたらしてくれます。私は北海道に住んでいますが、普段の街歩き程度であれば防寒性能は十分にあります。汗で蒸れにくいのも嬉しい点です。

やはりラビットファーのインナーは良い、と改めて思いました。

話をインナーから外側に戻しまして、レザーのグローブを選ぶ際の重要なポイントを解説いたします。それがこの部分、指先がもっともよくわかるのですが、縫い合わせ部分が外側に出ているのがわかりますでしょうか? このような縫い方を「外縫い」と言います。


http://ur2.link/IceJ

反対に「内縫い」はこのような縫い方です。縫い合わせ部分が見えないようになっていますね。外縫いはワイルドでアウトドア風、内縫いはスマートで都会的な印象となります。

内縫いの方が細くキレイに見えるので本当は内縫いが欲しかったのですが、どうやらラビットファーで内縫いというモデルはないらしく、迷いましたがラビットファーを優先しました。

「着用してみました」

やはりファーのインナーが入っている前提なので、指は太めに作られている印象です。指のフィット感はゆるく、「指を細く長く見せる」ような効果は感じられません。

指先を正面から見るとこのようになっています。中指と薬指は4枚の革を縫い合わせているのがわかりますね。指先で×の字になっています。人差し指と小指は3枚の革の縫い合わせです。

そして親指は1枚の革を折り返して縫い合わせています。指によって革の枚数が異なることは、写真を撮ってみて初めて気づきました。

手首部分。スリットが深く、手のひらまわりは余裕なくフィットしているため、このようにガバッと開いてしまします。これを閉じるためにスナップボタンがあり、閉めるとこのように、手首はフィットして防寒性を高めてくれます。

閉じることで手のひら部分がボコッと飛び出してしまうのです。

手を握るとより顕著に、手のひら部分の革が余ってしまいます。こういった点から見ても、立体的なパターンにはなっていないことがわかります。

手の甲、手首のフィット感は、スナップボタンを留めれば悪くはないのですが、欲を言えばもう少しピタッとしてくれてもよかったと思います。しかしこのグローブはインナーつきです。インナー無しであればキツめを買って伸ばしていくことができますが、インナーは伸びませんので、このへんが妥協点なのでしょう。

このサイズでも指の長さが短いと感じますので、これより下のサイズだと指のフィット感が損なわれてしまいます。

黒の革の手袋、かつ手にフィットしたものを着用すると、素手のときと比べて明らかにスタイルをよく見せる効果が得られます。特に黒いコートなどと合わせると顕著です。

これは目立つからだの先端部分をコートと同化させることでスラっと見せる視覚効果のひとつです。私もこの効果を狙ってDENTSを購入したのですが、残念ながら「細くフィットした」とは言い難い部分があります。

とは言え素手よりはスタイルよく見えますし、暖かく高級感たっぷりの風合いには満足しています。

もしまたDENTSを購入する機会があれば、インナー無しのタイトなサイズを選び、革が伸びることによってジャストサイズになるようなモデルを買いたいですね。

「高級グローブのDENTS、こんな購入方法も」

さてここまでご紹介してきたDENTS ヘアシープラビットファーグローブですが、日本で購入しようとすると、例えばamazonでは3万0240円(税込)となっています。

http://urx.red/Ich0

グローブ1つに3万円はなかなか出せませんよね。そこで私は本国イギリスからの個人輸入という方法をとりました。個人輸入と聞くと、「難しいのでは?」「関税が高いでしょ?」「ちゃんと届くのか心配」といった点が気になるかと思います。

私はALDENも個人輸入したことがありますが、直接日本に発送してくれないお店だったため、個人輸入の代行を頼むなど、確かに面倒な点がありました。その点、DENTSは公式サイトから直接送ってくれるので非常に簡単です。

少しの英語の知識とクレジットカード(JCBはダメですが)があれば注文に苦労することはありません。

まずサイトですが、「UK DENTS」と検索すれば本国のサイトにつながります。あとは好きなモデルを選び、カートに入れ、クレジットカードで決済します。日本の住所を英語表記で入力する必要がありますが、ネットで検索すればそれもさほど苦労しません。日本でのオンラインショッピングとの違いは日本語か英語か、だけです。

ちなみにDENTS公式オンラインストアでは、わりと頻繁にセールが開催されています。私が購入したのはLumleyというモデルですが、現在こちら定価139ポンド=約2万1500円のところ、20%オフで111.2ポンド=約1万7200円となっています。それに送料15ポンド=約2,300円。合計1万9500円に、さらに関税がかかります。

関税と聞くととんでもなく高くつきそうですが、確かに革靴の関税は高いのですが(1足最低4,300円)、グローブはさほどでもありません。いくらだったかは忘れてしまいましたが、まあその程度の金額ということです。

2万円超えとなるとあまり割安感がありませんが、当時の購入明細を見ると73ポンドで購入していましたので、おそらく40%オフだったのかなと。日本と同じく夏と冬のセールでそれくらいの率は出るようです。

さらにこの時期はイギリスのEU離脱があり、かつてないほどのポンド安でした。ざっとですが、約1万2000円程度で購入できたということになります。ここまでいくとかなりのお得感がありますね。個人輸入を考えるのであれば為替のチェックは必須です。

もしサイズが合わないときは返品も受け付けてくれるようですが、もちろん返送分の送料がかかります。百貨店などでサイズを確認してから購入するのがよいでしょう。

いかがでしたでしょうか。イギリスが誇る老舗グローブブランドDENTS。ヘアシープ、ラビットファー、素材一つとっても誰が見てもわかる高級感があります。いつか欲しい憧れのブランド、まずは試着だけでもしてみてはいかがでしょうか。

三十路

この記事を書いた人

三十路

体重69kg 足の実寸25.5cm 頭囲60cm

37歳、2児の父。 体型に恵まれなくても、仕事や育児に忙しくても、いっしょに「おしゃれでカッコいいパパ」を目指しましょう!