おしゃれは足元からとよく言われます。全身がカジュアルでも、足元に艷のある品のいい革靴を履いていれば、それなりに帳尻が合います。トップスのカジュアルさはスタイルであると思わせることができるからです。
逆にドレッシーなロングコートにドレッシーな革靴をあわせるとキメすぎた印象に。足元は少しカジュアルにしたいところです。街着はミックスの文化なので、このドレスとカジュアルのバランスをとることが重要なのです。
そこで、どんなコーディネートにもマッチする万能な革靴、ダンスシューズを紹介したいと思います。ドレスライクもカジュアルなスタイルもそれなりに見せてくれる稀有な逸品。「休日に履ける革靴がない」という方にもぜひ最初の一足としてもオススメしたいです。
シンプルであることは大人っぽい
まずはデザインから、このダンスシューズ、モチーフは柔らかいレザーを使用したジャズダンス用の簡易靴が原型となっており、動きやすく引っかからないよう極めてシンプルな作りになっています。
紐を通す穴を見てみるとハトメすらなく穴が開けられただけになっており徹底したシンプルさを追求しています。耐久性に不安があるかもしれませんが、そこはEDIFICE謹製で抜かりはありません。耐久性については後述します。
また細い丸紐でろう引きした艶のあるものが使われており、ドレッシーな印象を加味しています。靴における紐は印象を左右する重要なパーツ。
カジュアルなスニーカーには「ガシッと太めで平べったく、毛羽立った紐」がよく使われ、丸紐は逆にフォーマルな革靴に使われます。靴紐の形状もドレスライクな1つのデザインとして役割を担っているのです。
しわの寄りやすい薄い素材とスリッポンのような作りで、革靴でもかっちりしすぎない気の抜けた雰囲気をだしていますが、ステッチや切り替えを廃した凹凸のないシンプルなデザインにすることで、安っぽくない大人っぽさがあります。
(参考/正面から見た形状)
革靴らしさと脚長効果
次にシルエットです。全体的には細身のフォルムとなっていますが、トゥはさほど尖りすぎず少しまるみを帯びた形。柔らかくカジュアルな印象をほんの少し漂わせています。
しかしソールが薄く甲も低い形となっていて、フォーマルな革靴に近い形状に寄せています。ソールはゴム底ですが、コバがアッパーからはみ出さず極力目立たないよう工夫されており、チープな印象もありません。
(参考/側面から見た形状)
また細身フォルムとシンプルなデザインによって足回りが目だたないため、同色のパンツをあわせることで脚と靴の境界線がボケて一体化して見え、靴の分だけ脚が長く見える効果もあります。
(参考/パンツと靴の一体化による脚長効果)
https://goo.gl/f2UQ4g
FはフェイクのF。
これまで革靴、革靴と言ってきましたが、実は合皮。商品名のスウェードの前にあるFはFAKEかと思われます。商品名としては表現に問題あるようにも……。
この素材、EDIFICE渾身の出来のようで、商品説明によると独自開発した最新の人工皮革とのこと。最新の特殊技術で開発された素材に京都の職人による染色を施すという、ある種テクノロジーと伝統をかけ合わせた男のロマンだけのような感じではありますが、実用的な効果があり、従来の固い合皮にはない柔らかなストレッチ性があります。
また質感や風合いも本物のスウェードと比べても遜色はありません。また合皮のメリットであるメンテ不要なイージーケアはそのまま享受でき、本革より耐久性も期待出来ます。
せっかくなので、本革のスウェードと見比べてみましょう。
(参考/左:本革のスウェード、右:EDIFICEのフェイクスウェード)
並べてみるとEDIFICEは若干ドライで、本革はマットなような印象の違いはありますが、右が合皮だとはすぐに判断はつかないでしょう。ちなみにEDIFICEは8100円(税込)、本革の方は2万7000円と3倍以上の価格差ですが見た目にはそこまで大きな差を感じません。
ぺたんこなのに、案外快適な履き心地
通常このようなソールが薄い靴は見た目が優先で、クッショニングは期待できないのですが、ふかふかで快適な履き心地です。その秘密は中敷きの下にあるクッション素材にあります。
高反発のウレタン樹脂ですが、これが2層構造で敷かれています。底の1枚はインソール全体に敷かれており、もう1枚は靴の中央部分を縦断するように細長く切られて重ねてあり、足裏にかかる衝撃をその2枚でしっかりと分散し柔らかく受け止めてくれています。
これにより普通の革靴より足が痛くなりづらくなっています。
(参考/中敷き下のクッション材)
サイズの展開は少なめ、小さいサイズがないが…
サイズ展開ですが、41~43(25.5/26.5/27.5)の3種類しかありません。私は革靴だと大体40が適合サイズです。今回私は41サイズを買いましたが、そこまで大きすぎるということでも無かったので、サイズ感としては通常どおりの感覚でした。
またこの靴はレースアップですし、履き口も狭くすぼまっています。紐を少しきつく結ぶことでワンサイズ大きくても歩いているときに脱げることもなく特に問題なく履けています。
また公式の説明文には「踵をつぶしても履ける軽やかさをお楽しみ頂ける」とあるように柔らかく耐久性もあるのでかかと部分を踏んでも跡がつきません。
履くときも靴べらを使わず、紐も緩めることなくかかとを潰しながらラフに履いても許されるという革靴の常識を覆す雑な扱いが出来てしまうのも魅力の1つかと思います。
(参考/かかとを踏んでも型くずれしない)
定番の黒はサイズ欠けしていますが、ブラウンやネイビーならベイクルーズグループの公式通販では全サイズ在庫はまだまだあるようです。
※掲載時点で完売
また独自開発したこの人工皮革のスウェードも今後定番として使い続けるでしょうから、再販の可能性も十分あるかと思います。
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