グラミチのスイムショーツとNNショーツを細かい点まで徹底比較

グラミチのSHIPS別注スイムショーツ。これ1枚で、ショートパンツ・水着・脱地味の3役をこなせるか?レビューしてみたいと思います。

まずグラミチというのは、アメリカのアウトドアブランドであり、日本でもショーツが特に有名。

ロッククライミング用のウェアから始まったブランドだけに、クライミング用に180°開脚できるようにした「ガゼットクロッチ」や、片手でウエストの調節ができる「ウェビングベルト」などの意味のあるギミックを残しつつも、近年はファッションアイテムとしても人気。

そのグラミチに、セレクトショップのSHIPSが別注をかけたのがこのスイムショーツ。グラミチの通常アイテムの中に水着はなく、生地はもちろん、実は形まで他のショーツとは異なっています。気になるけど選び方に迷う、このスイムショーツについて解説します。グラミチの人気商品である「NNショーツ」とのサイズ感の比較も!

「ショーツ」と聞くと、女性用下着をさす場合もあるのであまり使わないようにしていますが、グラミチの場合は「NNショーツ」など商品名になっているので、本レビューではそのまま使わせていただきます。

通販サイトの写真ではわかりにくい点まで解説!

まず全体を。ごらんのとおり、細かい花柄ですね。このような植物の柄をファッション用語では「ボタニカル柄」と言ったりします。あまり日常では使わない言葉ですが、現在のトレンドとなっています。他にも無地で黒・ブルー・グリーンといったカラー展開もあったのですが、今回はあえてこのボタニカル柄を選びました。

普段着だと「ちょっと抵抗あるな……」と感じる方も多いはず。でも、水着だと思えばあまり気にならないのでは? なぜか水着だと、派手な柄、色づかいでも許せてしまう。それは、「水着を着ている=レジャー・スポーツシーンである」から。

日常着なら、「ドレスとカジュアルのバランス」なんて考えるまでもなく、ある程度のまとまりを意識します。ドレスとカジュアルのバランスについてはこちらをお読みください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

上下ジャージにスニーカーで街を歩いていたら「ランニング中?」と思われるかもしれませんが、本当にマラソン大会の中であれば何の違和感もありません。ジャージとか、スノボウェアなんかも派手なデザインが多いですよね。こういう全面に柄を配したデザインも「100%のレジャーやスポーツ」の場面であればさほど目立ちません。

でもこれを日常着に落とし込むには?ちょっと注意が必要です。かなりカジュアル寄りのアイテムですので、好相性なのは「ドレスアイテム」。夏ですので、白の長袖リネンシャツや、ツヤのある黒のカットソー、黒のポロシャツなど。トップスには色を使わずモノトーンで。必要に応じて、ハットやレザーシューズなどでバランスをとるといいでしょう。

形について。「ショーツなんてどれも一緒だろ?」という方も少なくないと思いますが、基本的にヒザまでしか生地がないのがショーツ。そこで重要な要素となるのが「丈の長さ」と「裾幅」です。他のレビュー記事でも何度か書かれているので詳しくは書きませんが、ショーツで足を長く見せようと思ったら「ヒザ上の丈」を選ぶべきです。

足が見える部分が大きい方が、足が長く見えます。そして裾幅は、あまりフィットした細いものにしてしまうと「スパッツみたい」「太ももが太い」「がんばってる?」という印象を与えてしまい、ただでさえ男性のショーツを好まない人も少なくない中で、不快感をあおりかねないものとなってしまいます。

裾幅が太いほうが、足がスッキリ細く、無理なく見えるようになります。ではこのスイムショーツはというと、丈はかなり短いです。これは水着として着用することを考えてのことでしょう。後でグラミチの普通のショーツとの比較写真を載せますが、普通にはくと、日常着としてはかなり短い。

いくらヒザ上がいいからといっても、短すぎてもまた印象がよくないのです。男の足なんて誰も好んで見たくないですからね。そこで、日常的にこのショーツを使う場合は、少し腰を落としてはくことをオススメします。ベルトがついており、かなりキツく絞ることができるので、腰位置の調整はカンタンです。裾幅は適度に太め。太ももが太い人でも問題なくはけます。


(横から見てみるとこんな感じ。この写真だとわかりにくいですが……)

このようにポケットがついています。前側両サイドに1つずつと、後ろ側に1つ、計3つのポケットがあります。水着だとポケットのない、もしくは少ないものもあるので、日常着としても使うことも考えればやはりあった方が便利ですね。

ちなみに前側のポケットはこのように底の部分がメッシュになっています。通気性を考慮してのものと思われますが、水に入れば当然ポケットの中のものは濡れます。またカギなどを入れてひっかけたりすると穴が開いてしまう恐れもありますね。後ろポケットはメッシュにはなっていません。


(股の部分。よーく見ると縫い目があるのがわかりますかね?)

通常、ズボンは前と後ろの生地、2枚を縫い合わせて作ります。それに対してグラミチのショーツは、股の部分にもう1枚生地をはさんであるんです。これが「ガゼットクロッチ」というディティール。これによって、クライミングのような大きく足を開く動きにも対応してくれます。

よーく見てやっとわかる程度なので、ファッション的にはあまり意味はありません。

こちらがベルト。ディティール名は「ウェビングベルト」となっています。通販で購入すると、このベルトが締められた状態で届いたりします。「これウエスト入らないんじゃない?」と思いますが、ゆるめるとかなり広がってくれます。「片手で締められる」といううたい文句がありますが、まあ片手でもできないことはないですが、実際にはもう片方の手でバックルを押さえながらベルトを引っぱる方が楽です。

水着としての機能性

普通のショーツと大きく違う点がこちら。メッシュのインナーがついています。これのせいで若干はきづらさというか、ゴワゴワした感じはあります。

裏返したらこのように、メッシュがブリーフパンツのような形をしているのがわかりますね。このインナーはそこまでキツくはないので、普通のパンツをはいた上からでも着用することができます。

全体を裏返すとこんな感じになっています。

裏地はこのように、いかにも水着という色と質感。かなり薄くて軽いのですが、透けたりはしません。まだ水着として使用してはいないのですが、特に問題はなさそうです。夏の暑い日、朝からこのショーツをはいて出て、そのまま海に入る。そんな使い方ができそうです。

NNショーツと比べてみました

同じくグラミチの人気商品である、NNショーツと比べてみました。奥の迷彩柄のものがそれ。NNは「ニューナロー」のこと。従来の定番品は裾幅がかなり広いものでしたが、近年それを細みに改良したものがNNショーツです。グラミチのショーツといえば、こちらの方が今は主流となっています。

ではまず素材から。スイムショーツがツルっとした生地なのに対し、NNショーツはちょっとガサっとしているのがわかりますでしょうか?NNショーツは綿98%・ポリエステル2%で、ほぼコットンです。2%のポリエステルはストレッチ性を与えるためのもの。ポケットの裏地もメッシュなどではなく、コットン素材です。

対してスイムショーツはポリエステル100%。ストレッチ性は少しあり。目的の違いから、まったく異なる素材で作られています。発色やツヤ感といった点でも、スイムショーツ=ツヤあり、ハッキリした発色。NNショーツ=ツヤなし、少しかすれたような発色と、明確に異なっていますね。

多くの人が気になるのが、サイズ感と形ではないでしょうか。実はこのスイムショーツ、返品不可なのです。いろいろな商品の返品を受け付けてくれるzozo townでもさすがに水着は、下着が返品できないのと同じように、衛生面から返品不可となっていると思われます。

ということで、市場に多く出ているNNショーツを比較に使いました。NNショーツはMサイズ、スイムショーツはLサイズのため単純比較はできないのですが、重視するべきポイントは十分わかりましたのでお伝えします。

重ねてみたときに、スイムショーツの方が横幅が一回り大きいですね。これはサイズ差もありますし、この部分はあまり重要ではありません。それよりまず大事なのが「裾幅」。NNショーツより明らかに裾幅が広いですね。zozoのサイズ表記を参考にすると、MサイズでNNショーツは24㎝、スイムショーツは28㎝、ナローじゃないタイプのショーツは30㎝。スイムショーツは中間の裾幅になっています。

NNショーツは、細みでカッコいいのですが、今年は「ちょっと細すぎるかな……?」と思うことがあります。

これはビッグサイズのトレンドが進み、トップスが大きめになってきているせいもあると思います。Yライン、つまり「上半身は大きく、下半身は細く」のシルエットを作る際、「下半身は細い方がいいんじゃないの?」という疑問が生じると思いますが、ショーツの場合、もっとも細い「素足」部分を多く見せることができます。

ですので、ショーツ自体はそこまで細くなくても、ヒザから下~足首までを露出しておけば十分に細い下半身を作ることができます。私の感想ですが、スイムショーツの裾幅は、今年使うのに「ちょうどいいな」と感じる幅でした。

次に私が気になったのが「股下の長さ」。サイズ表を見たときに、「股下短すぎない?」「小学生の短パンみたいにならないかな……?」と思ったので、実際にはいてみるまでは不安もありました。NNショーツの股下は20㎝。スイムショーツは17㎝。重ねてみると、股から裾までがスイムショーツの方が短いのがわかりますね。

「じゃあ股上(ウエストから股の部分まで)がその分長いのかな?」と思いましたが、表記ではNNショーツが34㎝、スイムショーツが25㎝。短すぎます。25㎝はちょっと浅めのジーンズくらいなので。でも着用画像を見る限りではそんな不自然な様子はなかったので、思い切って注文してみました。

上の写真を見ていただければわかるように、股上はNNショーツとあまり変わらない、むしろ少し長いくらい。どうやらこれはzozoのサイズ誤表記だったようです。zozo独自でサイズを測っているので、稀にこういうことが起きるので注意が必要です。

ウエストのサイズではMで十分だったのですが、このようなサイズ表記であったため、あまりにも短いと使いづらくなるので、ワンサイズ上げてLを注文しました。ウエストはしっかり絞ることができるのは知っていましたからね。

細かいですが、この写真ではステッチ、つまり縫い目に注目してください。迷彩柄のNNショーツの方は、ステッチが見えますね。そして少しシワが寄っているのがわかりますでしょうか?これは「パッカリング」と言い、生地の縮みによるもの。コットン素材によく見られます。こういった「生地のシワ」は、カジュアル要素を強めます。

対してスイムショーツは、縫い目がかなり見えにくいですよね?パッカリングもありません。これにより、わずかながらスイムショーツの方がドレス寄りと見ることができます。

結論として、グラミチのスイムショーツは「買い」か?

今回ご紹介した「グラミチ SHIPS別注 スイムショーツ」は9,720円(税込)です。比較に使用したNNショーツは8,424円(税込)。こちらは定価で、探せばもっと安く売っているサイトが出てきます。

正直なところ、水着としてではなく、普通のショーツとしてだけ使うのであれば、スイムショーツを買う必要はないでしょう。水陸両用の付加価値があってこその価格です。水着としての機能性は問題ないですし、デザインも特に奇抜なものではないので、長く使うことができそうです。

そしてスイムショーツだけに用いられているこのボタニカル柄ですが、トレンドではあるのですが、正直なところ「もう一歩……」という印象です。オンラインの写真では良く見えましたが、実物を手にしてみると、もう少しハッキリとした色で、発色を良くしてくれたらなぁと思います。

今年のモデルは、無地も合わせてほぼオンラインでは在庫がありません。店頭ではまだ残っているかもしれませんね。SHIPSではここ数年、この別注スイムショーツをデザイン違いで毎年出しているので、おそらく来年も出るだろうと思いましたので記録としてこの記事を書きました。近くに実店舗がなく、通販で買うしかない人にとって、返品不可の商品はとてもハードルが高いものです。この記事がそういった方のお役に立てれば幸いです。

三十路

この記事を書いた人

三十路

体重69kg 足の実寸25.5cm 頭囲60cm

37歳、2児の父。 体型に恵まれなくても、仕事や育児に忙しくても、いっしょに「おしゃれでカッコいいパパ」を目指しましょう!