GUのビッグスウェットプルスパーカはメンズではなくレディースがオススメ

1枚あると何かと便利なカジュアルアイテムの定番、パーカー。オシャレを心がけるなら、ハレの日のための一張羅だけではなく、このような普段使いするものにも気を配りたいところです。そこで今回ご紹介するのは、GUのパーカー、それもレディースです。

見た目はもちろん、着心地もコストパフォーマンスも大変優れた逸品です。「男がレディースを着るなんて」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、まずは以下ご一読の上ご検討いただければ幸いです。

ドレス感のある生地はレディースならでは

GUではメンズとレディースいずれも「ビッグスウェットプルパーカ」という名称の商品を展開しています。メンズにもある商品なのに、筆者が敢えてレディースを推す一番の理由は、“生地感のよさ”にあります。表示上、「綿60%・ポリエステル40%」と特段変わった素材が使われているわけではありません。

しかし実際に触れてみると、程よく肉厚で柔らかくツヤがあり、メンズのものにはないドレス感があります。
※ドレスとは? http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

メンズの「ビッグスウェットプルパーカ」の素材感が悪い、というわけではありません。ただ、レディースのそれに比べると、カジュアルです。そもそもパーカーはカジュアルの代表格ともいうべきデザインで、しかも名前の通りのビッグシルエット。

さらに素材までカジュアルとなると、“ド”がつくほどのカジュアルアイテムになってしまいます。オシャレを目指すなら、コーディネートにドレスの要素を採り入れたいところ。

他のアイテムとの組み合わせの中でドレスに寄せるのも一手ですがそれよりもアイテムの中にドレスな要素があった方がより失敗が少ないというものです。なお、このパーカーはオフホワイト、グレー、ブラック、ブルーの4色展開。

お好みではありますが、筆者としては特にオフホワイトをオススメします。これから秋に向けて、ボトムスの色が暗くなってくると思われるため、対比的に明るい色の方が映えるのではないでしょうか。

裏地は起毛感があり、かなり温かいです。そして後述しますが、この裏地の起毛感こそが、表地を触ったときのフカフカとした柔らかさの秘密だったりもします。東京であれば、9月でも晴れた日の日中に着るにはちょっと暑いかもしれませんが、9月の夜、または10月以降の日中着る分にはちょうどよいかと思います。

なお、この裏地の起毛部分は洗濯すると多少抜け落ちてくることがあります。そこはあきらめて、最初から「そういうもの」と割り切りましょう。むしろ、洗濯の際に気をつけるべきは「ネットに入れて、裏返しで洗うこと」。

洗濯の際に裏地の起毛部分が抜け落ちるのであれば、裏返して洗うべきではないのでは、と思う方もいらっしゃるでしょう。しかしより恐れるべきは、表地にできる毛玉です。オシャレの観点からすると、せっかくの生地感のよさが損なわれることこそ、一番に警戒すべきなのです。

生地のよさを際立たせるビッグシルエット

上述の通り、そして商品名の通り、このパーカーはビッグシルエットを前提としたアイテムです。筆者は特にビッグシルエットを強調するためにLサイズ(肩幅58cm、身幅58cm)を選びましたが、Mサイズでも肩幅55cm、身幅55cmと、ゆったりしたサイズ感で仕立てられています。

体よりもサイズが大きな服を体に合わせて着ようとすると、当然たるみが生まれます。たるみとは、シワと並んでカジュアルの象徴。特に意図でもない限り本来は避けるべきものです。しかしこのパーカーにおいては、異なる解釈が可能です。

上述の通りツヤのある生地の、余った部分が体の上で波打つことで生地にドレープ感、つまり柔らかな表情が生まれるのです。このパーカーは無地ではありますが、この生地の表情が“脱地味”のよいアクセントになっています。

なお、オシャレ関心の高い方であればよくよくご存知のことと思いますが、ビッグシルエットについて簡単におさらいです。マクロ(ファッション全体のトレンド)とミクロ(個人のオシャレ)の2つの側面から確認しましょう。まずはマクロな側面(ファッション全体のトレンド)について。

地味をもってよし、とされた「ノームコア」トレンドの反動で、“脱地味”を目指すさまざまなトレンドが同時多発的に生まれています。「ビッグシルエット」はその中のひとつ。自分自身の本来のサイズよりも大きなものを着ることでカジュアルダウンを図るというものです。

最近はGUもユニクロもビッグシルエットのアイテムを多数リリースしており、すっかりトレンドとして定着した感がありますね。一方のミクロな側面(個人のオシャレ)について。大きなサイズの服を着ると、必然的に体型が隠れます。

つまり、太っている人もやせている人も、どちらにとっても体型難を隠せるコーディネートになるのです。特に明るい色のトップスと暗い色のボトムスは、Yラインシルエットを作りやすい点でも好ましい組み合わせと言えるでしょう。
※Yラインシルエットとは? http://www.neqwsnet-japan.info/?p=9345

フードの紐がない点は◎

続いてデザインについて見ていきましょう。このパーカーのステキなところは、フードの紐がない点。フードはパーカーの一番の特徴ですし、機能的な観点からは、紐はあっても不自然ではないもの、ではあります。しかし、パーカーのフードを実際に使っている方ならさておき、オシャレの観点からは紐は邪魔です。

面積的にはほんのわずかですが、人の視線を最も集める首回りの目立つ位置で、悪目立ちするものです。メンズの「ビッグスウェットプルパーカ」のフードには紐がありますが、レディースの方にはありません。この点もまた、筆者が敢えてレディースの方を推す理由のひとつです。

フード周りでひとつ不満を挙げるなら、フード自体はへんなりとしていて、首元で立ち上がらない点。首回りにボリュームがあるフードであれば、その対比によって小顔効果が生まれます。

そのあたり、ユニクロのパーカーは優秀なのですが、GUのパーカーはもうひとつですね。ただ、フードのサイズ自体が大きいので、首元でたわませるとそれなりのボリューム感を出すことはできます。

さて、洋服の先端部分は視線が集まりやすいところ。ここがだらしないと、コーディネート全体の印象までだらしなくなってしまいます。逆に他の部分がルーズでも先端がキュッと締まっていれば、オシャレに見えるというもの。

このパーカーはビッグシルエットでありながらも袖にリブがついていることで手首がキュッと締まり、メリハリの利いたデザインになっていると言えます。

袖と同様に、裾もリブになっています。リブによって裾が留まることで上述の通り生地にたるみが生まれ、それが表情を生み出します。ただ、リブがあることで裾が腹部で丸まってしまい、下腹を強調してしまう側面もあるため、それならば「サイドにスリットが入っていた方が体型をよりきれいに見せられてよかったのでは」とも思います。

なお、前面の腹部はポケットがついています。機能面はさておき、オシャレの観点からはなくてよいものですが、パーカーとしては一般的なデザインなので、許容範囲でしょう。

同じ商品名の「B」の存在にご注意を

http://ur0.pw/FiAc

今回ご紹介しているアイテムの、GU通販サイト上の正式名称は「(GU)ビッグスウェットプルパーカ(長袖)」です。商品番号は283735。ややこしいことに、レディースの商品の中に、これとほぼ同じ名称の、別アイテムがあるのです。

その名も「(GU)ビッグスウェットプルパーカ(長袖)B」商品番号は293112999。表記上の違いは「B」がついているかどうかのみ。実のところ、店舗では同じラックにかけられていることすらあります。この2つは、裏地とサイズが異なります。

まず裏地について。今回ご紹介しているアイテム(ここでは「A」と呼びます)は裏地が起毛になっていますが、「B」はスウェット素材です。表面の生地は同じなのですが、「A」のフカフカした柔らかな触感は起毛感のある裏地によるところが大きいのです。

それに対して「B」は裏地がないため、表地を触ってみても薄く感じられ、結果として安っぽく感じられてしまいます。そしてサイズについて。肩幅と身幅は同じなのですが、身丈と袖丈が異なります。

Mサイズの場合、「A」の身丈が71cm、袖丈が61cmなのに対し、「B」の身丈は67cm、袖丈は58cmと、「B」の方が短くなっています。その結果、上述したような“たるみ”がなくなり、男性が着た場合のビッグシルエット感はかなり損なわれて、「ちょっとゆるめの普通のパーカー」という印象になってしまいます。

その他は同じです。厳密に言えばリブ部分の素材の構成要素が1%ほど異なりますが、実感としては何ら変わりません(「A」が綿57%・ポリエステル39%・ポリウレタン4%に対して、「B」が綿56%・ポリエステル40%・ポリウレタン4%)。

フードに紐がないシンプルなデザインという点も同じ。サイズ感的な違いをコーディネートに活かすとすると、単体で着るなら「A」、ジャケットやブルゾンのインナーに使うなら「B」という感じでしょうか。

レディースアイテムと気負わずにお試しを。

同名のメンズ商品よりも500円安い1490円(税別)で購入可能なこのパーカー。レディースコーナーに立ち入るのは若干勇気が要るかもしれませんが、その勇気に見合う価値は保証します。特にフェミニンなデザインというわけでもなく、日常のコーディネートに無理なく加えられるアイテム。

まずは試着だけでもいかがでしょうか。なお、レディスコーナーのアイテムを手に取って直近の試着室を探すと、そこは女性用なのでご注意を。ちゃんと男性用の試着室に行きましょう。

EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。