ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)メンズ部門のアーティスティック・ディレクターを7年間つとめたキム・ジョーンズ(Kim Jones)。2018年1月に退任した後にGUとのコラボレーションが発表され話題になっています。
ドーバーストリートマーケットギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)で先行発売され大盛況。さらにGUでの発売前日の3月20日にクリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)と交代でディオール・オム(Dior Homme)のアーティスティック・ディレクターに就任が決まるというニュースがあり、発売日にはお祭り騒ぎになりました。特設サイトまである力の入れようです。
KIM JONES GU PRODUCTION : https://goo.gl/NcYqE×
このコラボレーションではルイ・ヴィトンに就任する前まで続けていたキム・ジョーンズ自身のブランドKIM JONESのデザインが使われており、パンツはメンズで4型、レディースで3型あります。
その中でも比較的使いやすいスリムテーパードジーンズのレビューをしていきます。
一番のおすすめはロゴのあるアイテム
最も特徴になる部分が左足サイドに入っている刺繍です。3色(オフホワイト・ブラック・ブルー)展開されていますが、ブルーでは刺繍は落ち着いたパープルとピンクの中間くらいの色です。刺繍糸はポリエステル100%です。
刺繍ロゴは”EDGE OF THE LOOKING GLASS”と描かれています。このフレーズの意味は以前ブランドとしてのKIM JONESのアイテムを扱っていた東京のショップ「エリミネイター」のフロアの名称と、シカゴに80年代にあったクラブの”Looking Glass”になるそうです。
ノームコアが折り返し地点を過ぎ、装飾性トレンドの流れが徐々にきていますがこのパンツを加えるだけで簡単におしゃれ感は演出できると思います。ただ少し刺繍の文字が大きめなのでTPOを考えて合わせてみてください。ホワイトのモデルは刺繍の色も白いので使いやすそうです。
キム・ジョーンズも尽力した2017年ルイ・ヴィトンとシュプリーム(SUPREME)のコラボレーションが大きな話題になり今でもプレミア価格になっているようですが、これはシュプリームのロゴや赤い色、およびヴィトンのロゴがわかりやすかったからというのも大きいと思います。
今回のGU×キム・ジョーンズのコラボレーションもこれにならってわかりやすいデザインやロゴありきで進められてきたのではないかなと考えられます。
あくまでもGUなので素材や生地は通常ラインと同じようなものですが、ロゴやプリント(キャットやモンキー)、キャラクターのガーキン(ピクルスがモチーフとなっていてドイツ語で「きゅうり」)、切り替えのカラーブロッキングなどとてもわかりやすいデザインのアイテムが多く展開されています。
その中でもガーキンやEDGE OF THE LOOKING GLASS(EOTLG)のロゴ、プリントが描かれているアイテムはこのコラボレーションで最も象徴的なもので、それを一つ加えるだけで簡単にコーディネートをおもしろくすることができます。
コーディネートのバランスを考えつつルイ・ヴィトン×シュプリームのアイテムのようにロゴを見せていくくらいの気持ちで合わせると良さそうです。
シルエットはシンプルなスリムテーパード
シルエットは大きな特徴はなくシンプルで一般的なスリムなテーパードジーンズと同じですが少しだけ細めです。同じくらいのウエストサイズのもので比べると、現在GUの通常ラインで販売されているストレッチスリムジーンズよりもヒップやわたり幅が1cm以上細いです。
裾幅は1cmくらい太いので、自然なテーパードでヒップから裾まで縦に綺麗に落ちて見えるシルエットといえます。綿98%、ポリウレタン2%でストレッチもきいていて履きやすいです。
生地はあくまでもGUの通常ラインと同じくらいか少し良いくらいの質感です。GUのコットン製品にありがちな若干パサついた手触りです(わざと表面に微かな起毛感を出しているのかもしれませんが)。
とはいえGUは年々生地の質感が良くなってきている、良さそうに見える工夫がされていると感じます。とくに色落ちデニムはかなり良いできで、このジーンズも後に比較しますがジーンズマニア的な視点から見ない限りはとても良い雰囲気です。
ボタンはコラボレーションオリジナル
その他の細かい部分も見ていきます。ボタンは今回のコラボレーションのために作られたKIM JONESのロゴ入りでベースはYKKです。ジーンズはこういったところも大事で外からはあまり見えない部分ですがしっかり作られている印象になりますね。
ジッパーフライでファスナーもYKKロゴありのものです。開閉もスムーズ。
リベットはロゴの入っていないシンプルなもの。フロントポケットとコインポケットはともに目立たない程度にダメージ加工されています。
ポケット袋地のスレーキ。色落ち加工がされているので水色に染まっています。後染めもされているかもしれません。
バックポケットにはステッチはなくサイズも標準的です。
ポケット開口部のステッチも標準的なシングルステッチです。
バックポケットのタブはガーキンです。芸が細かいですね。
パッチには大きくガーキンが描かれています。素材は紙パッチ風のもので表面に樹脂が薄く吹き付けてあるような質感です。
部分的にダメージ加工されていますが全体的に派手なパッカリング(生地の縫い縮み、ひきつれ)はなく、きれいめな印象です。
刺繍と反対側の右足膝付近にダメージ加工されている部分があり、裏はあて布で補強されています。
裾はなんとチェーンステッチです。
左フロントポケット裏側にあるタブに製品番号と洗濯物表示。裏にMADE IN INDONESIA(インドネシア製)と表記されています。
ユニクロやリーバイスと比較!
手持ちのもので色落ちしているジーンズをいくつか引っ張り出したので比較してみます。画像の中央から左側がGU×キム・ジョーンズのスリムテーパードジーンズ(KJ)になります。右側が比較対象のジーンズです。
- ユニクロ通常ラインのレギュラーフィットダメージジーンズ。
ユニクロがとても良くできています。画像では判別しづらいですが汚し加工もされて立体感があります。生地はGUよりもやや厚め。GUも見た目は良くできていますが近づいて見るとソフトでな印象です。
- ユニクロのJ.W.アンダーソンとのコラボレーションのデニムワークパンツ。
ユニクロのダメージジーンズとは方向性が違ってシルエットも色も縦に綺麗に落ちて見えるジーンズです。ポケットの辺りから裾まではっきりと綺麗に色が縦落ちしています。GUも縦落ち感は部分的に似ていて綺麗ですが、J.W.アンダーソンのほうはおそらく後染めで茶系の色が追加されていて雰囲気がだいぶ違います。
- リーバイスのレギュラーラインの501。
リーバイスは自然な色落ちですが、GUは色が落ちた部分もほんのりと青みがかっています。薄く青で後染めしたような色合いです。リーバイスはGUや上のユニクロの2本よりも生地が厚くガサッとした感じでしっかりしています。
- リーバイス・レッド(LEVI’S RED)。
リーバイス・レッドは縦落ちがより綺麗です。薄くブラウンで後染めされ緑がかって見えて独特な雰囲気です。GUとは方向性が違います。生地はGUと同じくらいで薄めです。
- リーバイス・オレンジタブの以前のモデル。
色は違いますが生地の質感を比較してみてください。糸が太く生地が厚くガサガサとしています。GUは生地自体の立体感はあまりありませんが色落ちで綺麗に見せています。
6. ドゥニーム(Denime)の66モデル(旧ドゥニーム)。
現在リゾルト(RESOLUTE)を主催しているドゥニーム創業者の林芳亨さんがいた頃のものです。まだあまり色落ちしていませんが立体感があります。生地は厚めでややガサッとしていますがしっとり感もあります。
7. リー(Lee)の色落ち加工モデル。
リーのだいぶ以前のモデルです。このジーンズはてきとうに扱ってきましたがこうやっていろいろ比べてみると思っていたよりも良かったです。濃淡がはっきりしていていい感じです。
8. ザラ(ZARA)の色落ち加工モデル。
イメージでは色落ちがかなりいいのではないかと思っていましたがだいぶすっきりとしています。アメリカではなくイタリアなどのきれいめなヨーロッパ系ジーンズですね。GUも加工されていますが全体的にはさっぱりとした印象で合わせやすいと思います。
9. ボブソン(BOBSON)の色落ち加工モデル。
ボブソンブランドが一時休止する前のモデルです。ブラックで後染めされ色落ち加工されていてブルーグレイのようなシックな色合いです。GUとはだいぶ雰囲気が違います。
10. アバハウス(ABAHOUSE)の色落ち加工モデル。
こちらも色が違いますが色落ち感を比べてみてください。参考用に持っているもので退色していますが縦落ちがとても綺麗です。生地はGUと同じくらいで薄めです。GUも方向性は似ています。
11. カーハート(Carhartt)のヴィンテージタイプ。
あまり色落ちしていませんが生地の質感が違うのがわかります。よく見るとネップや表面に毛羽立ちがあります。ドゥニームとも違う感じです。GUはやはり生地はさっぱりとしています。
12. GUのデニムスラックス。
ブラックなので色が違いますがよく見ると生地は似ています。GUの他のブラックやホワイトのジーンズも生地の質感はこれに近いです。GU×キム・ジョーンズのほうは加工されているためか比較的感触は滑らかです。
いろいろ比較してみましたが、GU×キム・ジョーンズの生地はさっぱりしていますが色落ちを工夫して良さそうに見せています。縦落ちが綺麗です。ユニクロのEZYジーンズに少し似ている気がします。生地に奥行きがないのが功を奏しているともいえます。
全体的にソフトな印象なので刺繍やダメージ部分を考慮してバランスをとればコーディネートしやすいと思います。
価格は3490円(+税)です。GUのアイテムの平均価格よりも上になりますが、ルイ・ヴィトン×シュプリームを手掛け、ディオール・オムに就任したキム・ジョーンズの服であることを考えるととても手頃な価格です。
ディオール・オムでの仕事次第でこのコラボレーションの価値やおもしろさも変わっていくと思うので今後の活躍が楽しみです。
GU×キム・ジョーンズの他のアイテムを見てみると、三代目J Soul BrothersとEXILEのメンバーを兼ねる岩田剛典さんが着用しているデニムジャケット(KJ)が圧倒的に人気なようです(すでにオンライン販売では売り切れ)。
一年前のルイ・ヴィトン2017-18年秋冬メンズコレクションにゲストとして来場し、そこでキム・ジョーンズと知り合ったらしく、このコラボレーションのアイテムも好んで着用しているようです。
他のアイテムもオンライン販売ではほとんど売り切れていましたがスリムテーパードジーンズ(KJ)の在庫が復活しています。数はもともとあまり多くはなさそうなので気になる方は早めに手に入れておくとよさそうです。
そろそろシンプルな服装に飽きてきた方やファッションアディクトの人たちにおすすめです。
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