更に進化したGUのローファー(2490円)を過去モデルと比較してみた

GUの進化が止まりません。ブランドデビュー当初の「安かろう悪かろう」のイメージは、もはや遠い記憶の彼方。特にシューズは、少なくとも見た目について言えば、驚くべきコストパフォーマンスを発揮しています。

その中から今回は、季節を問わず重宝する「ローファー」を取り上げます。

価格の割にツッコミどころの少ないディテール

そもそもローファーとは、靴ひものないスリッポンタイプのカジュアルシューズ。フォーマルに使用するには不向きですが、セミフォーマルでの使用は可とされています。

つまり、適度なドレス感がありつつ、それでいてキメ過ぎにならない点で、街着において大人っぽいコーディネートを整えるには、実に使いやすい靴と言えます。
※ドレスとは? こちらをご参照ください:http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

さて、このGUのローファー、価格は2490円(+税)です。機能面では価格相応の問題がありますが、それは後述するとして、まず見た目に限って言えば、驚異的とも言うべき出来の良さです。ではそのポイントを順番に見て行きましょう。

まず素材について。表面はスエード風の仕立てです。スエードとは、本革の裏を毛羽たせたものですが、このローファーでは、合成皮革でその風合いを再現しています。

最近のGUのシューズにおけるスエード風の生地は実に優秀。素人目にはまず本物と区別がつかないほどです。店頭に立ち寄られる機会があれば、是非ご確認いただきたいところ。

続いてデザインについて。このローファーは実にシンプルかつスタンダードな作りです。見た目は、ローファーとしては定番の形である「ペニーローファー」。

諸説ありますが、かつてアメリカの学生が、アッパー(甲)の部分のサドルストラップ(飾り帯状のストラップ)にペニー(1セントコイン)を挿し込んで使っていたのが由来とされる名称です。コインローファーとも称されます。

細かいところですが、写真のサドルストラップの両脇を留める部分、ステッチでできた4つの四角、おわかりになりますでしょうか。料理の際に肉塊を糸で縛った様に似ていることから「ビーフロール」と呼ばれるデザインです。

ただ、本来の「ビーフロール」は、ストラップの両端を靴の縁の部分にぐるぐると縫い付けるため、文字通り“ロール状”に盛り上がっているものです。しかしこのGUのローファーのデザインは、単にステッチをそれっぽくしただけの、いわば「フェイクビーフロール」。遠目に本物っぽく見える、というだけに留まっています。

「フェイク」と言うと印象はよろしくないかもですが、そもそも「ビーフロール」は強度を増すためのデザイン。あらためて後述しますが、GUのローファーは長く履き続ける前提のアイテムではないと筆者は考えます。

そのため、特に補強する必要がないと考えれば、見た目だけを“それっぽく”しつつ、無駄にコストをかけないのもまた、ブランドとして賢明な判断と言えるのでは。

ちなみに1点、惜しいところがあります。これも細かいところですが、トゥ(先端)の底面の樹脂部分が少しはみ出していて、これがチープに見えてしまうのです。

機能的には、ある程度はみ出している方が良いのは確かです。と言うのも、この“はみ出し”がないと、ちょっとつまずいただけで、フェイクスエードの部分がダイレクトにアスファルトと摩擦してしまい、修復不能な傷ができてしまう可能性があります。

ただこれも、立ち止まってじっと見られなければ、そうそうすぐに気づかれるものではないと思いますので、ご参考までにお留め置きいただければと思います。

価格相応の履き心地とサイズ選びにご注意を

このローファー、実のところ履き心地はあまりよろしくありません。本革ではないので、履いている内に足になじんでくる、というものでもなければ、汗を吸収してくれるわけでもありません。実のところ「毎日履きたくなる靴」とは言いがたいです。

ただ、「そういうもの」と割り切って履いている内に、筆者はさして気にならなくなりました。

そういった機能的な物足りなさを補うほどに、シルエットは細身で美しく、コーディネートに活用しやすい靴であると筆者は実感しています。なお、クッション性はまずまず。これを履いて1日出歩くのが苦痛、ということはありません。

注意すべきはサイズ選び。やや大きめの作りです。筆者は普段、靴を27.0cmまたは27.5cmで履くことが多いのですが、このローファーは26.0cmがほぼジャストサイズでした。

なお、同じGUでもスエードタッチスニーカーなどのひも付きの靴だと、筆者は27.0cmを選びます。

さらに厄介なことに、このローファーのひとつ前のモデル、「スエードタッチローファー」の時は27.0cmでほぼちょうどでした。つまり、前のモデルを持っている方は、なおさら注意が必要です。スリッポンタイプの靴を選ぶのは本当に難しいものです。

4色展開ながら、現時点で残るは1色のみ


https://goo.gl/kLcos2

このローファー、発売当初は4色展開でした。しかし筆者が慎重に検証を重ねている間に、気づけば残りはGU表記で「32 BEIGE」1色となってしまっています。

ちなみに筆者が購入したのは「32 DARK BROWN」。その他に「09 BLACK」つまり黒と、スエード風ではなく本革風の黒である「88 88」がありましたが、いずれも早々に売り切れています。

店頭に行くと、かなり数は減ってはいるものの、ベージュ以外もちらほら残っている模様。このローファーにご関心をお持ちになられたなら是非、店にも足を運んでいただければと思います。なお、これは大型店向けのアイテムなので、店選びも合わせてご注意ください。

進化するデザインと脆弱なアッパー

さて、多分に余談めいた話で恐縮ですが、前述の通り、このローファーは1年前に別の名前で展開していました。しかしこの1年で、大幅に進化しています。

この写真で言うと、左がひとつ前のもの、右が今回ご紹介したものです。違いがおわかりになりますでしょうか。

まず生地感。フェイクスエードという点では同じですが、よりツヤ感が増しています。

シルエットもよりスマートになりました。前のモデルも単体で見た時に決して悪くはなかったのですが、こうして比べてみると、ボテッとしていたフォルムが、よりシャープに洗練されたな、と感じられます。

ついでに、靴のソール(底面)の色もキャメルからブラックになっており、脱いだ時の印象も、よりドレス感が増しました。

同じアイテムを1年でこれだけ進化させられるGU、恐るべしです。これはつまり、以前のモデルを買われて「イマイチだったからもういいや」と思われた方も、今回のモデルを手に取る価値があるということです。

また、今回のモデルで好みの色やサイズが見つからなかった方も、必ず出てくるであろう次回を楽しみに待つ価値がある、ということです。

ただ一方で、前回も今回も変わらず残念なのが、アッパーの部分にシワが入りやすい点。写真は、筆者が今回の新品を2回履いた後のものです。本革のローファーでもアッパーに多少はシワが入るのですが、GUのローファーはより早く深くシワが入る傾向があります。

多少のシワは「味」と言えるかもしれませんが、きれいめなコーディネートに合わせるならば、やはり邪魔になってしまうもの。履くだけ履いて、どうにもシワが目立つようになったら買い替え時、と割り切ってしまってよいのではないでしょうか。

以上、手放しで絶賛とは参りませんが、非常によくできたローファーであることは、言葉よりも写真が雄弁に語ってくれていると思います。店頭で見かけたらぜひ一度手に取って、その完成度を実感してみてください。

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2018.12.14
EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。