GU「メリノブレンドタートルネックセーター」はユニクロのエクストラファインメリノを超えるか?

気温が一気に下がってきた今日この頃。早くも冬物の準備が必要になってきました。気軽に普段使いできるニットがあると心強いものです。

そこで今回ご紹介するのは、GUの無地のタートルネックセーターです。ただ、この商品には類似品として、このジャンルの偉大なる先駆者、ユニクロの「エクストラファインメリノタートルネックセーター」があります。

GUのものは1990円(+税)で、ユニクロのものは2990円(+税)。たかが1000円、されど1000円。この価格の違いが、品質にも反映されているのかどうか。また、反映されているとしたらどこなのか。両方のセーターを持つ筆者の視点でご紹介します。

比較すればわかるものの、単体で見ればなかなかの生地感

まずは生地から見ていきましょう。ユニクロのセーターに使われている「エクストラファインメリノウール」は極細の繊維。キメが細かく、光沢のある美しい風合いが魅力です。

世界でもトップクラスのデザイナー、クリストフ・ルメール氏が「洗練されたエレガントさと快適性のバランスがデザイナーから見て完璧」と絶賛する生地です。https://goo.gl/DrRLpJ

一方、GUのセーターに使われている生地は、「メリノブレンド」の名の通り、メリノウール46%とポリエステル54%を“ブレンド”したもの。そもそも46%のメリノウールが、ユニクロの「エクストラファインメリノウール」と同等かどうかもわかりません。

2つの生地を並べて触ってみると、差は「歴然」とまでは言わないまでも「まあわかる」レベルには違います。目隠ししてテストしても10回中9回は的中できそうです。ユニクロのものに比べると、GUの方は多少ザラつきを感じます。

とはいえ、GUのセーターが特に「ザラザラしている」、ということではありません。比べてみれば、という程度です。先にユニクロのものを着なれていたら違和感もあるでしょうけれど、最初に手に取るのがGUのものを手に取ったら、特に抵抗なく着られそうです。

なお、肌当たりという点では、ユニクロの「エクストラファインメリノウール」は「素肌に着てもチクチクしない」と評判ですが(本当にチクチクしません)、素肌に着た場合、GUの方は「チクチクしないとは言えない」程度にはチクチクします。

実際にニットを素肌に着る機会はそうそうないと思うので、概ね気にしなくて良いのでは。ただ、皮膚の薄い首回りに限っては、着慣れない内は、GUもユニクロもいずれも違和感があると思います。

これは生地の問題と言うよりも、後述するリブの強さと関係しています。つまり、リブが肌を締め付けようとしてくるがために生じる違和感です。

この違和感への対策には、モックネックのTシャツを中に着るなどして、このセーターと肌の接触面積を減らすことが有効でしょう。なお、そのTシャツが白であっても、ほとんど透けません。

続いて見た目の印象についてです。今回取り上げているセーターの色はGUとユニクロ、いずれの表記でも「09 BLACK」です。どちらも単体で見れば、純然たる黒です。

しかし並べてみると、ユニクロの方がより深みのある黒であることがわかります。逆にGUのものは少し白っぽく見えるのです。

ただ、これも比べてみれば、という程度。色の印象もあってか、間近でじっと見ると生地そのものの編み目の細かさもユニクロの方が精緻に見えますが、着用した本人が自身の体を見るくらいの距離感でさえ、生地感の違いはまずわかりません。

つまり人から見て、違いがわかることはまずないはずです。

洗濯については、いずれも洗濯機でふつうに洗えます。これは普段使いする上で本当にありがたいところ。裏返してネットに入れて単独洗いを推奨です。

1シーズン同じ回数の洗濯を経てみないと、両者の耐久性までは比べられないのですが、現時点では「どちらも便利」という評価に留めさせてください。

同じデザインでも異なる印象を与える先端のリブの強さ

続いてデザインについて見ていきましょう。ベーシックな形のタートルネックセーターで、形状としてはGUとユニクロ、いずれも同じです。ネックと袖口、裾がリブになっているところも同じなのですが、このリブの強さが異なります。GUの方が、リブが強いのです。

ネックについて、高さはどちらも16cmと同じなのですが、上掲の写真の通り、GUのネックの先端はリブがすぼまり過ぎて、くしゃっとなっています。実際に着用する際には、折り返すものですし、首の太さまでは生地が伸びるので、この“くしゃっと感”は気にならないのですが。

続いて袖口です。袖口もネックと同様に、リブが“くしゃっ”としています。手首までの生地が袖口のリブと連結するところがスムーズになっていないのです。

ユニクロのものと並べます。上がGU、下がユニクロです。ユニクロの方が、生地とリブの連結がスムーズです。なお、写真の撮り方の問題でユニクロの方が袖口の幅が広く見えるかもしれませんが、袖口の幅は同じです。

なお、袖口のリブの長さがGUで7cm、ユニクロで6cmと異なる点も付記しておきます。

続いて裾です。袖口と同様、裾のリブが少し“くしゃっ”としており、生地とリブの連結部分がスムーズになっていません。

リブはそこそこ強いです。普通に着ている分には問題ないのですが、例えば“伸び”をするために両腕を上げたりすると、腹のあたりでしっかりと裾が留まります。下に引っ張って戻してあげる必要があります。ただしそれは、GUユニクロいずれも同じです。

GUのものとユニクロのものを重ねて比較します。シワのために見づらくなっており申し訳ないです。下がGU、上がユニクロです。後述しますが、サイズに極端な違いはありません。

もう1点、筆者が気になった点として肩と袖の連結部分を挙げます。左がGUで右がユニクロです。GUの方が、生地の“段差”が顕著に見えます。両者とも伸縮性に富んでおり、動きやすさには変わりはありません。

シルエットはほぼ同じ、着用感はGUが若干タイトな印象

GUとユニクロのセーター2つを重ねてみました。ご覧の通り、ほぼ同じシルエットです。着てみた感じでは、GUの方が若干タイトな印象があります。実際の数字は、肩幅と身丈はGUがやや大きく、身幅と袖丈はユニクロがやや大きくなっています。

以下、GUの数値を基準に、それぞれのサイズを比較します。最小は双方XSサイズで、最大はGUがXXL、ユニクロが3XLです。細かい数字が並ぶため読みづらくて恐縮ですが、よくよく見ると、小さめのものと大きめのもので、寸法の差異が異なることがわかります。

例えば肩幅で見ると、Sサイズの場合はGU39cmでユニクロが38.5cm。一方、XLサイズだとGUが45.5cmでユニクロが43.5cmです。筆者の主観ですが、0.5cmの違いはほぼわからないものの、2cmの差異はかなり実感できます。

肩幅はXSで37.5cm(-0.5cm)、Sで39cm(-0.5cm)、Mで41cm(-1cm)、Lで43cm(-1.5cm)、XLで45.5cm(-2cm)、XXLで47.5cm(-2cm)。ユニクロのみ3XLで47.5cm、4XLで49.5cm。

身幅はXSで42cm(+1cm)、Sで45cm(+1cm)、Mで48cm(+1cm)、Lで51cm(+1cm)、XLで55cm(+1cm)、XXLで59cm(+1cm)。ユニクロのみ3XLで64cm、4XLで68cm。

身長178cmの筆者がLサイズを着た場合、身幅はストレスなくゆったり着られます。Mサイズだとややタイトになり過ぎ、XXLだとかなりブカブカです。

身丈はXSで61cm(-1cm)、Sで63cm(-1cm)、Mで66cm(-1cm)、Lで69cm(-1cm)、XLで71cm(+-0cm)、XXLで73cm(+1cm)、(※ユニクロのみ3XLで75cm、4XLで76cm)。

袖丈はXSで57cm(+1cm)、Sで58.5cm(+1cm)、Mで60cm(+1.5cm)、Lで61.5cm(+1.5cm)、XLで62.5cm(+2cm)、XXLで63.5cm(+2cm)。ユニクロのみ3XLと4XLで65.5cm。

身長178cmの筆者がLサイズを着た場合、裾はスラックスのポケットの半分が隠れる程度。袖は腕を下ろして袖口が手の甲に少しかかる程度です。

いずれも発色に優れた6色展開。


https://goo.gl/zXprUp

このセーターは、GU表記で「01 WHITE」「03 GRAY」「08 DARK GRAY」「09 BLACK」「39 DARK BROWN」「59 DARK GREEN」の6色展開。モノトーン4色と秋色2色です。

生地にポリエステルが混じっているのがプラスに作用しているのか、どれも実に鮮やかな発色です。

筆者は仕事着として使うことも視野に入れつつ、「最も生地の質の差異が出にくい色は黒であろう」と考えてBLACKを選びましたが、実際のところ、最も差異が出ているのがBLACKではないかと思われます。

逆に言うと、それくらいにどれも良い色です。筆者は特に秋色のDARK GREENとDARK BROWNが素晴らしいと感じました。

結論ですが、既にユニクロの「エクストラファインメリノタートルネックセーター」を購入済みの方にとっては、このGUのセーターを“代替品”とするのは抵抗があると思います。若干の違いではありますが、品質の違いに残念感を覚えてしまいそうです。

ただ一方で、このようなニットをお持ちでない方がまず試してみるのであれば、GUのものでも十分かと思います。逆にこうしたニットを常用する方であれば、GUの方がリーズナブルである利点を活かして、色遣いで複数枚購入するのも一手でしょう。

今回比較してあらためてユニクロの「エクストラファインメリノウール」のすばらしさを再確認すると共に、GUのコストパフォーマンスの高さも実感した次第です。

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EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。