MBが断言「GUスエードタッチスニーカーは2万円でも買ってしまう!」

ファッションブロガー・アドバイザーMBです。こちら「服ログ」は私のサロン「MBラボ(https://synapse.am/contents/monthly/mb)」の有志がライターを務めるレビューサイト。

せっかくなので今回私も寄稿させていただきます。今回私がレビューするのはGUの「スエードタッチスニーカー」です。

「裏原」ブームを牽引した「AIRMAX95」などが再び復刻され人気を得るなどスニーカーブームだった昨今、1~2万円もする高価なスニーカーが飛ぶように売れています。しかし、ぶっちゃけ1~2万円のスニーカーとも見劣りしない傑作がこの「スエードタッチスニーカー」。

なんと1990円(+税)です。今回はアパレル小物の印象を決定づける「1.デザイン」「2.シルエット」「3.カラー(素材)」の3要素から詳細にレビューしていきましょう。

大人が履けるシンプルデザイン

まずはデザイン。「スニーカー」と聞くと多くの人は切り替えやロゴが多くデザインされた「派手なもの」を想像するはずです。NIKEならカーブ型のスウォッシュや、adidasであれば3本ラインなどそれぞれのアイコンやデザインを盛り込むのが普通です。

これらデザイン性がスニーカーの唯一無二の個性を生み出すわけですが、得てしてこうした切り替えやロゴは「子供っぽい印象」も与えてしまうもの。GUのスニーカーはとにかくシンプルに徹しています。ロゴも切り替えもなにもない。シンプルを地でいくデザインです。

紐を通したり、通気性を向上させたりする「ハトメ」ですらなんとボディと同色のものを採用しています。通常ハトメはシルバーカラーのものが多いのですが、GUは黒ボディには黒ハトメ、グレーボディにはグレーハトメと色をきちんと統一させています。

またソール(靴底)とアッパー(靴ボディ)を繋げる役割を持つ「パイピング」も黒ボディには黒、グレーボディにはグレーとこちらも色を統一させているのです。こういった細部からGUのデザイン志向が理解できるというもの。

スニーカーは切り替えデザインやロゴなど派手で子供っぽいものが多くです。GUは幅広い年代がトレンド気にせず長く使ってもらえるように「シンプルに徹する」という意味で、パーツの色を統一しているのです。

「たかがそんなハトメの色で大げさだよ」と思うかもしれませんが、これは服作りに携わったことがある人なら誰もが理解できること。ハトメの色を変えるだけで「目立っちゃう」ものなのです。デザインは目立てば目立つほど、子供っぽいカジュアルな印象を強めていくものです。

このアイテムは「スニーカー」、革靴と異なりそもそもが子供っぽくカジュアルな印象を持つ靴です。だからこそハトメデザインやパイピングなどは同色で揃えて統一感を出す。

シンプルな表情にして大人っぽくまとめ、「スニーカー」が持つやんちゃな子供っぽい印象を抑える。そういった意味合いがあるのです。

極細シルエットで脚長効果をON

シルエットはかなり細み。ソールもやや薄くなっています。「幅が細く靴底が薄い」のは革靴の特徴。スニーカーは基本的にスポーツ用として生まれた靴ですから歩きやすさやクッショニングを重視して「幅が広く、靴底が厚い」ものが普通です。

ところがGUのスニーカーは真逆、革靴のデザインに寄せています。革靴風のデザインにするとどうなるか。実は脚が長く感じるのです。靴は細身薄底でシンプルなデザインほど目立たなくなります。目立たなくなるとどうなるか、脚と靴の境界線がボケて一体化して感じるため「靴のぶんだけ脚が長く見える」ものです(パンツの色と靴の色を合わせればこの効果はさらに際立ちます)。

NIKEのデザインが格好良い派手なスニーカーなど、お店で気に入って買ったけど、家の鏡で見ると「なんか不恰好だな」と感じたことはありませんか? 派手なスニーカーは確かに「モノ単体」で見れば美しく映えるものですが、コーディネートに合わせてしまうと過剰に視線を集めてしまうため「脚の長さを主張する」ことに繋がるのです。

GUのスニーカーは「シンプル・細身・薄底」という革靴のデザインやシルエットを踏襲しているため大人びて脚長に感じさせます。「スニーカーは子供っぽいから」と敬遠しがちな40代以上の大人もぜひ試してみていただきたい。今までのスニーカーと一味違いますよ。

最早本革!!最高峰のフェイクスエード!!

さて素材はどうでしょうか。素材はこちらスエード、ではなくフェイクスエード。「スエード」とは革を裏返して加工した毛羽立ちのある素材。GUのスニーカーは化学繊維でこの革質を再現しています。本革を使ったスエードスニーカーなら1万円じゃ収まらないでしょう。

こちら私が長く愛用している高級スニーカー「Amb/エイエムビー」のもの。こちらは本革です。

こちらがGUのフェイクスエード……

こちらがAmbの本革スエード

どちらが本革でどちらがフェイクか、見分けられますか? 価格は2万円と1990円……はっきりいって素材レベルで言えば、10倍ほどの違いがあるとは思えません。みなさんあまり認識されていないと思いますが、「合皮」は日進月歩で進化しています。

車のソファーなどにも使われる幅広い需要を持つ素材だけに日夜、テキスタイルメーカーが新規開発を進めているのです。「合皮なんてとてもじゃないけど恥ずかしくて持てない」なんて思う革マニアの男性は多いでしょうが、その認識はいったい何年前のものでしょうか。

年々合皮のクオリティは進化し、。今年とくにその進化が一定の水準に達した感があります。最早本革と合皮の差がほぼわからなくなり、靴マニアでさえ「じーっ」と見なければ判別不能なレベルになりました。

高級感のあるスエードレザーの風合い、それが1990円で楽しめるようになったのだから驚きです。私たちは恵まれた良い時代に生きています。

耐久性はわずかに難アリ

細かい部分もレビューしていきましょう。靴は歩行時にこういった屈曲を繰り返すものです。だからこそ折り曲げてテンションがかかっている部分にホツレが生まれやすいものです。コンバースオールスターなどはこの屈曲にとても弱く「アッパーとソールの継ぎ目が剥離した」なんて故障は多い。

このGUのスニーカー、残念ながらこの「屈曲」における耐久性は高いとは言えません。パイピングは接着剤をつかったものでありおそらく2年も使えば剥離が起こるでしょう。もちろん、使い方や着用頻度にも寄ります。

先ほど紹介した高級スニーカーAmbはこの境界部分を接着だけでなくステッチングで補強しています。こうした処理が入っていることで耐久性はグンと向上します。この処理があるだけで寿命は圧倒的に伸びるもの。

ただしこうした行程が入ると価格が簡単に跳ね上がります。GUの1990円という価格を実現するには耐久性を犠牲にするしかなかったのでしょう。

もちろん「耐久性がクソだぜ!!」という話ではなく、ちゃんと気を使っている部分も多々あります。例えば履き口であるシューホール部分。ここは足を頻繁に通すためどうしても磨耗してヘタりがちです。

この部分がくたびれている靴はどうにもだらしなく感じますね。GUのスニーカーはこの部分に別布を当て中綿を入れており、だらしなくくたびれることがないように処理しています。

このあたりは高級スニーカーであるAmbにも劣りません。両者とも同じように処理しています。

また大変細かいですが、靴紐には加工がされてあり素材に合わせてツヤを与えています。普通のスニーカーが使う靴紐ではなく、少しアイロンプレスした加工をつけており、テカリをつけスエードの光沢と同化するように仕上げているのです。

先ほど「切り替えがあるほど子供っぽくなる」と書きました。靴紐も当然ボディと異なる部分ですから「切り替え」にあたります。つまり靴紐とボディが同じような表情でないと「大人っぽい」印象は出ません。

だからこそ靴紐だけが浮いて見えることがないように、きちんと同じような風合いに見せる工夫をしているのです。画像じゃちょっとわかりにくいと思うのでぜひ店頭で紐を確認してみてください。触るとテカリを感じるはず。この一工夫が違いを生むのです「神は細部に宿ります」。

左が2万円の高級スニーカー、右がGUの1990円です。この両者に価格差通り10倍もの価値の差があるかと言われたら、「ない」としか言いようがありません。確かにAmbは良いスニーカーですが、GUもそれに近い魅力を持っています。

ぶっちゃけこんなデザイン・シルエット・素材のスニーカーが1990円(+税)で売られたら靴業界は終わりです。アパレルの未来がいささか心配になりますが、私たち消費者レベルではそれはとりあえず関係ない。GUの企業努力を精一杯楽しみましょう。

MB

この記事を書いた人

MB

誰もが理解できる「オシャレの教科書」KnowerMagを運営。2016年まぐまぐメルマガ総合大賞受賞。雑誌「週刊SPA」など大手メディアで連載中。書籍『最速でおしゃれに見せる方法』、マンガ『服を着るならこんなふうに』など多数。関連書籍累計60万部突破。ベストセラーファッション本作家。