タイプライター素材を特殊加工したレザータのダウンベストはカズユキクマガイらしいモード感が満載

ダウンベスト単体だと袖がなくて寒そうという印象があったり、着回ししづらいと思っている方も多いでしょう。実はそんなことはまったくありません。お手元にお持ちのアウター(上着)と合わせるだけで着まわしが効く万能アイテムです。

今回は古着屋で購入したダウンベストを紹介します。

細部を徹底レビュー

まずは聞き慣れない「レザータ加工」がされています。表地に使用しているのは厚手のコットンのタイプライター生地で、その表面に特殊なコーティングを施した加工です。

縫い目が少なく、ツヤのないマットな表情でガサッとした質感です。独特な表情、程よいハリ感、天然素材ならではの程良い通気性です。実物を見ると厚手の画用紙みたいな印象ですが、決して安っぽいものではなく、味わいのある表情で独特な雰囲気を出しています。

タイプライターという生地は読んで字の如く、文書印刷の機械式タイプライターにインクを供給する帯状の部品にあるインクリボンに使われていたことから由来する生地です。高密度に織り込まれたコットンは、ハリがあってシャツなどにもよく使用されています。

艶やかな生地感がドレスシーンにもピッタリです。あえてその素材をコーティングし、ツヤのないマットな質感に仕上げています。

中綿のダウンの暖かさにはきっちりとした構造上の理由があり、中に含んだ空気を暖める事で冷たい空気を遮断する性質を利用しています。

他ブランドは空気が逃げないようにナイロン素材を使用しているのが主なものです。空気を逃がさないと言うことは湿気も逃げないというデメリットがあります。こちらは、コットン素材にすることで程良い吸水性、通気性が生まれ快適な状態を作ってくれます。見た目も機能的にもバランスの良い素材なのです。

肩口はシンプルにつくられています。裏地側の肩口に折り返して表地のタイプライター生地が施してあります。

こちらは左右のポケットです。平置きでパッと見てポケット口がわからないほど生地が厚手で、中身のダウンが入っています。ポケットの端に糸で縫い付けて破損がないように施してあります。

背面も至ってシンプルです。順番に裾側と襟側です。縫い目が中心線、肩部分と両脇に施してあります。

前面に戻ります。ファスナーの下は左右の真ん中に位置していますが、襟元は向かって左に流れています。これは「サイドワインダー」と呼びます。例えばスキーウェアやアウトドアウェアのアイテムによく使われるつくりです。

ファスナーのブランドはririです。スイスの高級ファスナーブランドです。1936年ティチーノ州にて総業しました。

特徴としてつくりとデザインのよさが魅力のブランドです。ファスナーの歯が欠けることや外れることがほとんどないことです。持ち手部分のデザインも目を引きます。

襟元が高めでファスナーがやや斜めになったカッティングでアウトドアの流れを汲んでいますが、独特でモードなスタイルが楽しめます。

通常のファスナーだとしっかり閉じれば口元や顎に当たってヒヤッとした経験があるはずです。このアイテムはそういうことがなく、快適な着心地に一役買っています。

スキーやアウトドアなどのアクティブなシーンではファスナー一つも怪我の原因になりかねませんのでそれを防ぐために生まれました。日常で使う時もさりげない嬉しい配慮がブランドから伺えますね。

襟を広げてみました。画像のようにジップが斜めに配置されているので襟もアシンメトリー(非対称)な形状です。かなり襟が高く設定されています。首の位置でV字に生地が落ち込んでいるのが特徴的です。

ファスナーを閉じても開いても小顔効果が生まれる襟で、この素材感とカッティングでいつもとは少し違ったコーディネートができます。

首の付け根のブランドタグの位置にはハンガーループを取り付けています。嬉しいディテールです。

このアイテム自体が重くないので、ちょっと引っ掛けておきたい時にとても便利です。例えば家に帰った時や、飲み会の席で脱ぎたい時など考えてみるとそんなシーンは結構あるものです。

裏地にはポリエステルを使っています。ポリエステルは石油を原料に使っているので、吸湿性は低いのですが、乾くのが早いです。また、静電気が起きやすいのが特徴です。水による縮みがないので、シワや型崩れの心配がありません。そして薬品に強くてカビや虫食いの心配がないのでラフに扱えます。

こちらは左右の内ポケットです。タイプライターとポリエステルの縫い合わせに沿った形で隠しファスナーを搭載してあります。ポケットの口の端に糸で縫って補強してありますね。

隠しファスナーだと、ベストの中に着た洋服を咬まないので引っかからず便利です。持ち手も丸みがあってインナーを傷つけにくくしてあります。

内ポケットのジップを開くと内ポケットがあるのがご理解できます。

袖(肩口)の内側部分を撮影しました。画像でタイプライター生地の縫い目の延長線に裏地を少し縫った箇所があるのがおわかりでしょうか。内側にのみダーツを入れて肩周りのシルエットを綺麗に見せています。もたつきが出て、生地が余ってしまいがちな肩周りをシュッと引き締めてくれます。

タグを撮影しました。サイズは3です。英語表記のものがあります。身長170cm体重65kgの絵に描いたようなスポーツ体型ですが、アウターの上に着用するとちょうどよいサイズです。カットソーやシャツの上からだとゆとりがあります。

中綿がダウン90%とフェザー10%の配合比率です。ダウンは羽に芯がないものです。フェザーは思い浮かべるあの羽のかたちのことです。ダウンの方が暖かいです。

クリーニングの際の注意書きとダウン製品の注意書きも書いてあります。

着こなしは?

画像のようにダブルライダースやコートの上からベストを羽織ったり、またはテーラードジャケットやキレイ目のブルゾンやジャケットともマッチするデザインで、とにかく着まわしが効いて便利です。

ファスナーを開けて着ると、襟が少し外に開きつつもスッと立ち上がるシルエットです。サイズは3(肩幅44cm、身幅57cm、着丈65.5cm)ですがボディも体にフィットするようなタイトな仕上がりで、カットソーやシャツなど薄手のものにも違和感なく合います。

保温性にも優れていて、ダウンなのにキルティングのような縫い目がないガサっとした表情も魅力です。トップス・ボトムスと同色で合わせて更にシンプルでミニマルなスタイリングを作るのもよいですね。

購入時期は?

2017年2月24日に古着屋にて1万7280円(税込)で購入しました。定価は5万0760円(+税)です。

状態も良く、カラーがブラックなので古着でも人気のカラーです。汚れが目立たず使用感があるぐらいのレベルでしたが、購入しました。

タイミングを逃せば購入が出来なかったでしょう。これからの季節に非常にオススメのアイテムです。古着のため同一商品は見当たりませんでしたが、同ブランドのダウンベストのリンクを載せておきますね。