柄物Tシャツはモノトーンが簡単。カズユキクマガイ「フレスカ天竺リーフptクルーネックS/S」

無地Tシャツに飽きた!でも派手すぎるのはちょっと。

というあなたに、まるでアロハシャツのような柄だけど落ち着いたモノトーン。そんなTシャツを紹介します。

ブランドはカズユキクマガイ。いわゆるドメスティックブランド、つまり日本人デザイナーが作っています。価格は海外デザイナーのブランドほど高くはなく、セレクトショップのオリジナル品よりは高め。その分トレンドを強く反映していたり、特徴あるデザインが施されていたりします。

使いやすいモノトーンの総柄

このTシャツもデザイナーズブランドらしい、オリジナルの柄が用いられています。このように全体に柄が入っていることを「総柄」と呼び、「装飾性」をプラスしようとする今年のトレンドの中でよく見られるようになってきました。

しかし、いくら「装飾を加えましょう」と言われても、いきなりカラフルなアロハシャツを着ることには抵抗を感じますよね?

アロハシャツの形そのものは「シャツ」ですから突飛なものではありませんが、気になるのは「派手」で「カラフル」な柄と色。それもそのはず、私たちはノームコアトレンドの中で、「無地」「モノトーン」「シンプルなデザイン」の洋服にすっかり慣れてしまいました。

定番化したノームコアに「飽きてきた」ことからトレンドは「少し派手め」に移り変わってきています。とはいえ、トレンドは徐々に変わるもの。一足飛びに「ド派手」に振り切れるのはいささかやりすぎというものです。

その点、このTシャツはどうでしょうか。柄はまさにアロハシャツを思わせるヤシの葉のモチーフ。カジュアルなものです。しかし色は黒とグレーのモノトーンで、形はいたって普通のTシャツ。「地味ではないけど、派手すぎでもないかな」と感じるのではないでしょうか。

デザインの3要素、「色」「デザイン」「シルエット」で見ると、色はモノトーンでドレス、デザインは柄物なのでカジュアル、シルエットは後述しますがやや大きめのTシャツですのでカジュアル。カジュアル寄りですが、やりすぎではないバランスだということですね。
カジュアル?ドレス?http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

これがもし去年発売されていても、おそらく全然気にならなかったと思います。このトレンドの過渡期ともいうべき今年だからこそ、着たいと思わせる絶妙なデザイン。このあたりがユニクロとは違う、デザイナーブランドを選びたくなる理由だと思います。

ディティール解説

各部を見ていきましょう。まず首まわり。カズユキクマガイのアイテムには、このように長いヒモ状のブランドタグがついています。ハンガーにかけたり、平置きの状態だとカッコいいんですが。実際に着ると少しだけチクチクして気になります。

また着るときに気をつけないと首の後ろから飛び出して、とてもカッコ悪いことになるのでご注意を。

そしてよーく見ると、ネック部分に特徴があるのがわかります。このように2本のステッチ(縫い目)があるのは洗濯で首が伸びてしまうのを防ぐ補強のためです。

また、普通のTシャツならばリブを縫いつけてあることが多いのですが、このTシャツはボディの生地を巻き込んで縫ってあります。これを「バインダーネック」と呼び、その名の通り「挟みこむ」縫い方です。リブを使わずに負荷のかかる首もとを作るのですから、これはある程度生地の強度がないとできない仕様です。

そしてこれが見ためにどういう影響を与えるのか?ネックの作り方ひとつでそんなに変わらないでしょう?と思われるかもしれませんが、首もとのデザインというのは非常に大きな影響力を持ちます。

Tシャツのネックにも、アメリカ系とヨーロッパ系があるのはご存知でしょうか?お手持ちのTシャツを見比べてみてください。

リブが太いのがアメリカ系です。洗濯での首の伸びを防ぎ、Tシャツに「頑丈さ」を求める、いかにも「アメカジ」な印象になります。

反対に細いのがヨーロッパ系。こちらは繊細で上品な印象になります。ただでさえTシャツはカジュアルアイテムの代表で、子供っぽく見られがち。そのため、スッキリ見えるヨーロッパ系が最近は多くなってきました。ユニクロでもその傾向がありますね。

こちらのカズユキクマガイのTシャツも、首もとをスッキリさせることで、総柄でも子供っぽくなってしまうことを防いでいます。さらに首の空きも広く作ってあるため、「色気」を出す効果もあります。

やりすぎると逆効果になるのが首の開き加減ですが、鎖骨が見える程度のほどほどの開きです。このTシャツをインナーに使ったときにも、この首の開きが重要になってきます。

ちなみにすでに何度か洗濯をしましたが、普通にハンガーにかけて干しても首が伸びてしまったりはしていません。伸び・縮みに強い生地、という感じがします。

裾にも同じように2本線のステッチが入っています。この処理のしかたは全く珍しいものではないのですが、このTシャツの場合わりと目立って見えます。それは「ボディに柄があるから」なんですね。

ボディと同色の糸を使えば目立たないのですが、こちらはモノトーンとはいえ黒とグレーの2色で柄が全体に入っています。そのためどうしても黒部分にグレーの糸が目立ってしまうんですね。こうやって「ステッチが目立つ」のはカジュアルに傾く要素。着こなしで子供っぽく見せない、「リゾートっぽく」なりすぎない工夫が欲しいところです。

袖も同様に2本ステッチ。このTシャツは「ビッグシルエット」として作られているため、袖も長さ・太さともにゆるめです。

着こなししだいですが、このように2回ほどロールアップしてもいいでしょう。裏側もちゃんとグレーなので変に目立ったりしません。

サイズ感と着心地

先ほどちょっとふれましたが、もともと「ビッグシルエット」として作られたTシャツなのでかなり大きめのサイズ感です。サイズは1、2、3の表記で、それぞれS、M、Lにあたります。カズユキクマガイは4のサイズも作っていたりしますが、あまり市場に出回ってはいません。

1で着丈73㎝、身幅108㎝とすでに大きめ。ユニクロのTシャツでいうとLくらいのサイズ感です。2は着丈75㎝で身幅110㎝。3なら着丈77㎝で身幅112㎝。

「数字で言われてもわからないよ!」と言われそうですが、洋服も通販全盛のこの時代。自分の手持ちの服のサイズを把握しておき、それと比べて「ちょっと着丈長めかな?」とか「着丈のわりに身幅が広めだなぁ」など、ある程度推測できるようになっておくと便利です。

私も今回こちらのTシャツは通販でサイズ1を購入したのですが、「1でも大きめだな」という印象でした。「総柄」で「Tシャツ」ですから、すでにカジュアル要素が多め。そこに「ビッグシルエット」となるとかなりカジュアルなアイテムになってしまい、着こなしが限られてしまうなと判断しました。

結果として正解だったと思います。これ以上着丈が長くなってしまうと、ジャケットのインナーにしたときに裾が出すぎてしまいますので。

素材は綿100%です。ですがよくあるTシャツとは全く違った生地、肌ざわりとなっています。「フレスカ天竺」という、カズユキクマガイ独自の生地。フレスカとはスペイン語、イタリア語で「新鮮な、涼しい」という意味です。おそらく「涼しい」という意味をとっているのかと思います。

シャリシャリとした肌ざわりで、確かに涼しさを感じさせてくれます。そして表現が難しいのですが、ハリがあるのですが薄手でコシがなく、いわゆる「落ち感」のあるストンしたシルエットを作ってくれます。

そして先ほどと同じ裾まわりの写真なのですが、「ねじれ」が出ているのがおわかりいただけますでしょうか。これは洗濯したからではなく、新品の状態からあります。「カッチリ感」を緩和する、デザイナーの狙いがここにも表れています。

細部を見れば見るほど、ファストファッションや量販ブランドとは明らかに異なる、「ああ、こういうところがデザイナーズブランドならではだなぁ」と思わせるこだわりを発見することができます。

着こなし例

さまざまなこだわりが詰まったTシャツですので、そのままで着てもカッコいいとは思うのですが、やはり前述のとおり「カジュアルなTシャツというデザイン」「ビッグシルエット」という点から、合わせるアイテムをドレス寄りのものを選ぶとより上手く着こなせます。

トレンドのワイドスラックスと合わせたり、テーラードジャケットのインナーにすることで、モノトーンの大人っぽさを維持したまま、総柄により「地味」な印象を払拭することができます。

いかがでしたでしょうか。セール後のため在庫が非常に少なくなっていますが、今の季節でもインナーとして十分に活躍するアイテムです。Tシャツ1枚でお手軽に装飾性をプラスしてみませんか?

定価1万1000円(+税)です。

三十路

この記事を書いた人

三十路

体重69kg 足の実寸25.5cm 頭囲60cm

37歳、2児の父。 体型に恵まれなくても、仕事や育児に忙しくても、いっしょに「おしゃれでカッコいいパパ」を目指しましょう!