ミニマルなデザインで汎用性が高いルイスの高級ノーカラージャケット

男たるもの、ジャケットを素敵に着こなしたいもの。しかしジャケットは選び方を間違えると仕事着っぽさが出てしまうし、またコーディネートによってはキメ過ぎになってしまうため、オフタイムに上手に着こなすのが実は容易ではないアイテム。

そこで今回ご紹介するのは、“引き算のデザイン”で上品にカジュアルダウンした、使い勝手の良いジャケットです。

目に見える“情報量”を絞り込んだミニマルなデザイン

このジャケットの魅力はとにかく「ミニマル」という言葉がぴったりな、シンプルなデザインであること。洋服はふつう、シンプルなものが“ドレス”であるとされ、そこにデザインや色、柄などが増えることで、“カジュアル”な印象になります。

しかしこのジャケットは逆。ドレスアイテムに本来あるべきはずの要素を減らすことで、シンプル過ぎることでカジュアル感を獲得している、という珍しいケースです。

それでは、デザインのディテールを順番に見て行きましょう。
※ドレスとカジュアルについてはこちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

まずは首回り。商品名の通りノーカラー、つまり襟がありません。顔の周りは特に人の視線を集めるところ。そこを装飾する襟がない、という点だけに注目すると、良くも悪くも「すっきりした印象」です。

しかしこの“ノーカラー”であることが、このジャケットのデザインの魅力と大いに関係するポイントです。

このジャケットのデザインの肝は、首回り(本来であれば襟があるはずの部分)から裾にかけて、ゆるやかに弧を描きながらストンと落ちる前身頃(前部の生地)のラインです。色んな要素が簡略化された結果、前身頃にはボタンすらついていません。

であるにも関わらず、袖を通して歩いてみても、動いてみても、左右の身頃が無用に開くでもなく、傾くでもなく、程よい位置をキープし、サマになります。それはひとえに、着た時に自然に見えるように、丁寧に構築されたデザインの賜物。

人からシンプルに見えるようにするために、見えないところに施されている仕事自体は、決してシンプルではないのです。

ポケットは左右の裾に近い位置に、スリットの形でついています。遠目には見てすぐにわからないかもしれないくらい、存在感がありません。上述の“身頃の美しいライン”の見え方を妨げない、奥ゆかしいデザインと言えます。

続いて袖口についてです。表側を見る限り、特筆すべき点はありません。

しかし裏を見ると、ここもまたふつうのジャケットとは異なる部分に気づきます。一般的なジャケットにはついているはずの、袖の飾りボタンがありません。

生地感とシルエット的には間違いなくジャケットなのですが、こうして見ると、構成要素は“カーディガンのような羽織りもの”とでも言えるようなデザインなのです。

一方で後ろ姿は、襟が見えないことを除けば、やはりジャケットそのもの。裾の部分は、ジャケットでは一般的なセンターベント(真ん中に切れ目が入るデザイン)になっています。

着る人を選ぶサイズときれいめのシルエット

次に、サイズとシルエットについてです。このジャケット、なんとSサイズとMサイズしかありません。XLサイズはおろか、Lサイズすらないのです。そしてSとMで寸法が大きく異なるわけでもありません。

そのため端的に言って、このジャケットは着る人を選びます。ふくよかな体型の方にもがっしりとした体型の方にも、正直なところオススメしづらいです。身幅はSで49cm、Mで51cm。

身長178cm体重64kgの細身の筆者がMサイズで違和感なくちょうどぴったり、という印象です。着丈は、前身頃がSで69.5cm、M72cm。Mサイズで筆者のスラックスの前ポケットがほぼ全て隠れます。

一方、後身頃がSで67.5cm、Mで70cmです。Mサイズで筆者のスラックスの後ろポケットのボタンが隠れる程度です

(肩幅はSで41cm、Mで42cm。袖丈はSで60cm、Mで60.5cm。アームホールは細め)

襟や前ボタン、袖の飾りボタンといった要素が簡略化されている分だけ、このジャケットのデザインはカジュアルであると言えます。そこにシルエットまで崩してしまうと、カジュアル感が強くなり過ぎてしまいます。

そこでシルエットはかっちりとジャケットらしさを保つことで、バランスをとっているものと思われます。ちなみにこのアイテムのサイズ感を知る上で1点、注意事項があります。それは公式サイトとゾゾタウンで、数値が全く異なる点。

例えばMサイズの身幅が「55cm」と表記されています。実際は上述の通り51cm。55cmとなると筆者の実感では“ガバガバ”です。筆者が実測したところ、全ての寸法が公式サイトの数値と一致しました。

ゾゾタウンは「独自の方法により採寸しております」との注意書きを入れていますが、実際にどんな採寸をしたらこの数値になるのか理解に苦しむほどです。どうぞご注意ください。

ツヤ感のある表地とストレスフリーな裏地

続いて、生地についてです。表地はポリエステル100%ですが、特にチープ感はありません。程よく光沢感があり、またシワになりづらい点でも、ドレス感があります。

裏地はキュプラ100%。キュプラは一般的なスーツにも使われる素材です。なめらかな触感で腕通しがスムーズ。その上、吸湿性に優れているため、汗をかいてもべたつくような不快感が軽減されます。

筆者が住む東京では、真冬に暖房のきいた満員電車で暑苦しい思いをする、といったことも日常茶飯事。こうした生地の機能はありがたいところですね。

ケアについてです。基本的に水洗いはNGのため、ドライクリーニング推奨です。

カラーバリエーション、及び着こなし上の注意点について

https://goo.gl/UVLpaZ

このジャケットは2色展開。ブラックとネイビーです。筆者はブラックを選びましたが、実に汎用性が高いと感じています。

ただ一方で、店頭で現物を見ましたが、ネイビーも実にいい色。表地のポリエステルの生地感とマッチして、大人っぽさと発色の良さを両立した色味に仕上がっています。

https://goo.gl/FREW9m

最後に、着こなしに際してひとつだけご注意いただきたい点を。このジャケットは襟がないので、首元がすっきりしています。そこで首元を補うようなアイテムと合わせないと、寂しい印象になってしまいます。

上掲の写真はブランド公式サイトのものですが、筆者はまさに、首元に物足りなさを感じます。何故このようなコーディネート提案になっているのか、理解しがたいところ。一番簡単に合わせられるものは、襟つきのシャツです。

ただ無地のシャツだと、ジャケットに襟がないとはいえ、印象として多少“かっちり感”が出てしまうでしょう。

できれば柄もののカジュアルシャツと合わせるか、タートルネックやハイネックなど、首回りにボリュームがあるニットやカットソーと合わせた方が、程よい着こなしとなるでしょう。首回りにさえ気をつければ、シンプルなこのジャケットは何にでも合います。

実に使い勝手がよく、汎用性の高いアイテムです。価格は2万2680円(税込)。決してお安くはないですが、今期だけのトレンドアイテムというものではなく、シーズンを問わずこの先長く使えるであろうことを考えると、1着持っておいて損はありません。

公式サイトはほぼ完売状態、ゾゾタウンもブラックは在庫僅少。サイズ感さえ合いそうであれば、お早めのご決断をオススメします。

EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。