タックインが映える大人のプリントTシャツ「メンテナント」

暑い夏、誰もが袖を通す定番アイテムといえば「Tシャツ」。日本の夏は暑い、そして意外と長い。6月下旬にはTシャツ1枚でも過ごせるような気候となり、日によっては9月末でもTシャツのみ、ということも珍しくありません。ということは、1年のうち少なくとも約4ヵ月間はTシャツにお世話になるわけで、これだけ長い期間ともなるとTシャツにもバリエーションがほしくなってくるものです。

ファッションのトレンドは、シンプルなアイテム同士をカッコよく着こなす「ノームコア=究極の普通」から、デザイン・シルエット・素材・カラーに工夫をこらしたアイテムを取り入れて着こなす「着飾るオシャレ=装飾性」に移り変わろうとしています。この「装飾性」のトレンドを夏の着こなしに簡単に取り入れることができるアイテムの1つとして挙げられるのが「プリントTシャツ」

しかし、歳を重ねるにつれて「プリントTシャツが似合わない」と感じたことはないでしょうか。10代や20代に着ていたプリントTシャツ、30代になるとなぜかしっくり馴染まない気がして、つい無地やシンプルなTシャツを選んでしまう……これは30代である筆者も体験しています。

しかし、裏を返せば、無地やシンプルなTシャツを着ている同年代が多い中で、バッチリ似合うプリントTシャツを着こなすことが一気にオシャレ度はアップ、周りとの差別化にも十分に図れます!そこで今回の記事では、大人に似合うオススメのプリントTシャツをご紹介します。

ニューヨークのブランドである「メンテナント」

今回、ご紹介するプリントTシャツは「メンテナント(MAINTENANT)」というアメリカ・ニューヨークのブランド。メンテナントは2015年にデザイナーであるジェイ・サバティーノ(Jay Sabatino)がスタートさせました。服好きな方ならご存知かと思いますが、このデザイナー、自らの名前を冠したブランド「ジェイ・サバティーノ(J.Sabatino)」を2005年に立ち上げてます。

当時はハイセンスなセレクトショップがこぞって取り扱うほどの人気振りで、発売されるアイテムは早々に完売となってしまうほどでした。「ジェイ・サバティーノ」は“STYLE over FASHION – トレンド/ファッションに囚われないスタイル”をコンセプトに、多様なスタイルに興味を持つ若い世代に向けたアイテムを生み出していきました。

筆者もこのブランドに魅了された一人であり、シュッと細身なシルエットにクラシカルな千鳥格子柄のセットアップや深みのあるキャメルカラーのチェスターコートなど、男の渋みが漂いつつも洗練されたカッコよさを秘めたアイテム達に心を踊らせていました。

「ジェイ・サバティーノ」がスタートして10年、デザイナーであるジェイ・サバティーノ自身も歳を重ね、自分自身が着たいと思える「リアル・クローズ」を追求することを掲げ、同世代の仲間達に向けて服を作ることから始まったブランドが「メンテナント」だそうです。

ブランド名とコンセプトは変わりつつも10年以上にわたって活躍するデザイナーが作り出すアイテムには、並々ならぬこだわりと魅力がたっぷりつまっています。

ほどよいオーバーサイズなシルエット

シルエットは昨今のトレンドでもあるゆったりとしたほどよいオーバーサイズ。サイズ表記は「1」で、詳細な寸法は、着丈:64cm、身幅:56cm、肩幅49.5cm、袖丈:21cm、袖幅:18cm。肩も適度に落ちたデザインでリラックス感も十分。Tシャツのサイズ感に合わせて、首回りの開き具合や袖幅もほどよくゆったりさせているのがポイント。

こういった細かなバランス感覚にデザイナーの秀でた才能を感じずにはいられません。着てみるとわかるのですが、全体的にゆったりしているのに、だらしない印象は皆無、むしろ「大人の余裕」さえ漂ってくるほどの雰囲気を持っています。素材は綿100%で着心地もGood!生地は薄手で柔らかく、風が吹けば軽やかになびくような質感です。

ただ、その薄さと柔らかさゆえ、洗濯を繰り返すことによる生地の傷み具合は一般的なTシャツと比べて少し早いように感じます。このあたりは、質感と対の関係にあるため、やむを得ないところではありますが、こういった質感もファッションの要素として大切にしている点は高く評価できると思います。

世界観のある洒脱なプリント

今回のメインテーマでもあるプリント。メンテナントのTシャツに使われているのは、洒脱なジェントルマンがサラリとポーズを決めて写っているスナップ写真のプリント。実は、この写真の人物は、著作家でファッションアイコンとしても有名なクエンティン・クリスプ(Quentin Crisp)氏。

このTシャツを購入したショップの店長のお話では、この写真はデザイナーであるジェイ・サバティーノが所有するもので、この写真を使ったアイテムはクエンティン・クリスプ氏とも交流の深いジェイ・サバティーノにしか作ることができないのだそうです。

こういったアイテムの背景を聞くとより価値を感じてしまうものですが、それを差し引いてもこのプリントのデザインは単純にカッコいいと思えます。少し古びた街並みの中にあるシャネルの看板の前にセットアップをサラッと着こなして、ハットを合わせアクセントにスカーフを巻いたオシャレな男性が脚を組んで立つ姿。

このクラシカルで少し古めかしい世界観が歳を重ねた大人の男の雰囲気とマッチするのだと思います。まさに大人のためのプリントTシャツといっても過言ではないでしょう。

オススメの着こなしはタックインスタイル

メンテナントのオーバーサイズプリントTシャツ、オススメの着こなしはタックインスタイルです。このTシャツのようにほどよくゆったりしたシルエットのトップスは、ボトムスにインすることよって、リラックス感とカッチリした印象がミックスされ、コーディネートに「こなれ感」を与えることができます。

着こなしのポイントは、ゆったりしたトップスをふんわりとタックインすること。トップスの生地に余裕を持たせてタックインすることで、腰の位置をごまかすことができ、体型を整えてキレイにみせる効果があります。合わせるアイテムについては、ボトムスにはスラックス、シューズには革靴がオススメ。

これは、Tシャツに施されたプリントのデザインが持つクラシカルで古めかしい世界観と使用するアイテムの雰囲気を合わせることで、コーディネートに統一感を持たせることが狙いです。このように、プリントTシャツのデザインに合った着こなしを意識することによって、そのTシャツの良さを最大限に引き出すことができます。その結果、プリントTシャツを使った着こなしがしっくり馴染んでくるのだと思います。

大人に似合うプリントTシャツは「ドレス」な印象を兼ね備えている

30代の男性は10代や20代の頃と比べて、着こなしに「大人な雰囲気」が求められます。そのため、プリントTシャツを選ぶ際には、Tシャツ自体に「ドレス」な印象を兼ね備えているモノをチョイスするのがポイントです。

メンテナントのプリントTシャツは、シルエットこそオーバーサイズでゆったりしていますが、カラーにはドレスな着こなしの基本であるモノトーンで、プリントのデザインもクラシカルで古めかしい雰囲気を持っています。

こういった大人っぽい印象のプリントTシャツを選び、その雰囲気に合ったコーディネートを作り出すことができれば、プリントTシャツも簡単に着こなすことができ、周りと比べてオシャレ度もグンと上がるはずです。

日本の暑くて長い夏、同じTシャツでも装飾性の高いプリントTシャツをチョイスしてオシャレを楽しんでいきましょう。メンテナント「オーバーサイズプリントTシャツ」1万2000円(税抜)と少し値は張りますが、その価値はある一枚です。

執筆時点で惜しくも販売が終了してしましました。もし店舗などでご覧頂ける機会がありましたら、ぜひ手に取って下さい。この独特の世界観があなたを魅了するでしょう。

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2017.09.01