今回ご紹介するバッグは、メゾンキツネのトートバッグです。機能としては大変シンプル。しかしファッションアイテムとして見ると大変優秀なものです。
ファッションを自己満足に終わらせるのではなく、自分以外の人の視点を意識するのであれば、重視すべきと筆者が考えるポイントが、このシンプルなバッグに集約されています。
メゾンキツネはこんなブランド

アイテムの具体的なご紹介に入る前に、まず「メゾンキツネ」について簡単にご紹介します。名前から日本国内のブランドかと思いきや、設立はパリ。
フランス出身のハウス/エレクトロユニット「ダフトパンク」のマネージャーという経歴を持つジルダ・ロアエック氏と、建築士としての知識をもつ日本人の黒木理也氏の2人を中心にスタートした、フランスのブランドです。
多数の顔を持ち、様々な変化を見せるものとされ、また日本で古くから神様としても伝えられている「狐」を、ブランドのコンセプトの象徴として名前に掲げています。
音楽とファッションを融合させた独自の世界観で急速にファンを増やしており、商品を取り扱う店舗は世界に300店舗以上。しかし路面店の数自体は、日本国内では東京に2店舗のみです。
様々なブランドともコラボしており、ファッション感度の高い方は「少なくとも名前は知っている」ブランドでしょう。しかしファッション感心の低い方々にはまだ知られていません。まさに“知る人ぞ知る”ブランドです。

今回ご紹介するバッグにおける、唯一のデザインらしいデザインでもある、キツネのロゴマーク。ブランドを象徴するこのロゴマークこそが、今回読者諸兄に、このバッグをオススメする理由です。
冒頭の述べた「ファッションにおいて自分以外の人の視点を意識するのであれば、重視すべきと筆者が考えるポイント」の結論を、先にここでお伝えしておきます。
それは、メゾンキツネを知っている人には「お、メゾンキツネだね」とわかる、というブランドとしての記号性。そしてメゾンキツネを知らない人にとっては「お、かわいいキツネさんだね」という動物としての記号性です。
2017年10月現在の、このブランドの絶妙な認知度こそが、このバッグを現時点で価値あるものにしているのではないか。それが、ここ半年間使用してきた筆者の実感です。
もし仮に、人気のお笑い芸人が、このロゴマークを使用したファッションであらゆるメディアに露出したとすれば、このバッグのファッション的な価値は一気に下落するでしょう。かつてワイルドなお笑い芸人の活躍により、ノースリーブのデニムジャケットが、そのファッション的な価値を失ってしまったように。
バッグとしての機能はシンプル

このバッグの構造は極めてシンプルです。いわゆるオシャレなエコバッグ、といった感じでしょうか。

内側に特にポケットなどはなく、ただモノを入れるだけ。サイズは縦35.5cm×横45cm。A4の書類はもちろん、大判の雑誌や、大概のサイズのノートPCも入れられます。ただし書類を入れる際は、クリアファイルに挟まないとシワだらけになってしまいそうです。

底面の幅は12.5cm。割と収納力もあります。それこそちょっとした買い物に出かける際にも、このバッグひとつで十分用が足ります。
ツヤのある上品な生地感と取扱に注意を要するプリント部分

コットン65%とポリエステル35%から成る生地は上品な触感で、程よくツヤがあります。そのためエコバッグのような簡易なデザインでありながら、安っぽい印象がありません。
生地に伸縮性はなく、丈夫です。筆者は時々、近所の買い物の際に使用しており、2Lのペットボトルを3本ほど入れて持ち運びますが、生地へのダメージは特に感じられません。

キツネのロゴマークは圧着プリントのようです。折り曲げたところで特にパキッと割れてくるようなことはありません。

ただ、それでもプリント部分は取扱に注意を要します。筆者はこのバッグが便利過ぎるがために、ラフに使い過ぎてしまったようです。このバッグの肝であるキツネのプリント部分、特に胴体の白い部分にダメージを与えてしまいました。
恐らく摩擦によるものと思いますが、白い部分の汚れは、クリーンなイメージを損なう点で大いなる失態です。読者諸兄におかれましては、このバッグをお使いの際には、くれぐれもお気をつけ下さい。

ケアについてです。この記事の最下部のリンク先、販売サイトでは何故か「洗濯不可」と記載されていますが、タグを見る限り洗濯はOKです。ただし裏返してネットを使用。乾燥機はNGです。
また、タグでは「アイロン使用時は低温で、プリント部分には当て布を使用」、となっていますが、実際は洗濯時の脱水をゆるめにしておけば、ひと晩でほとんどシワのない状態で乾くため、アイロンは不要です。

なお、バッグ本体は上述の通り洗濯をしてもほぼシワにならないのですが、幅4cm(筆者実測)の持ち手の部分は、よれやすいと言うかシワになりやすいです。
素材感と色味の良さで上品なカジュアル感をギリギリのバランスで保っているこのバッグ、持ち手がよれると一気にエコバッグ感が強まってしまうので、注意が必要です。
具体的には、バッグはできるだけ持ち手を手づかみするのではなく、持ち手に沿って丁寧に肩掛けすることをオススメします。
コーディネートのアクセントに

このバッグは、「シンプルな、または地味なコーディネートに、キツネのロゴマークの色と形で“ほっこり感”を添える」というのが筆者オススメの使い方です。
この「服ログ」で様々なライターが再三繰り返している通り、地味をもってよしとされてきたここ数年間の「ノームコア」トレンドの反動で、いかに“脱地味”を図るかが、最近のメンズファッションのテーマです。
このバッグはネイビーがベースになっています。ネイビーはメンズファッションにおけるメインカラーのひとつであり、またモノトーンやブラウンなど他の色とも相性がよく、実に汎用性の高い色。
そこに挿し色としてのホワイトとレッドが入ったトリコロールカラーは、まさに行き過ぎない“脱地味”を図る上でちょうどいいバランスです。
また、このアイテムがスウェットやTシャツではなく、バッグである点がまたポイント。スウェット等のトップスの中央にロゴマークがあると、「メゾンキツネ」というブランドを知る知らないに関わらず、あざとい主張が強く出過ぎてしまいます。
小物による“脱地味”は、コーディネートを考える難度を無駄に上げることがなく、初心者でも失敗が少ない点で、オススメです。

価格は7020円(税込)。バッグのシンプルな機能だけに注目するとお高く感じられるかもしれませんが、ファッションツールとしてのコストパフォーマンスは非常に高いと筆者は感じています。
なお、キツネのロゴマークのプリントは片面だけです。裏返すとただの地味なネイビーのバッグになってしまう上、上述の通り繊細なプリント部分が摩擦にさらされるリスクがあるため気をつけましょう。
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