(写真:MARKAWAREのタグ)
MARKAWARE(マーカウェア)というブランドをご存じでしょうか。デザイナーの石川俊介さんが2002年に始めたメンズファッションブランドです。
コンセプトは「メイド・イン・ジャパン」。縫製、加工に至るまで、洋服作りにおける全てのアプローチを日本国内で行うという方針で運営されています。「MARKAWARE(マーカウェア)」は大人のための洗練されたハイエンドガーメントを提案するという位置づけにあります。
実は、もうひとつ「marka(マーカ)」というブランドもあり、そちらはMARKAWAREにより都会的なエッセンスを注入したカジュアルラインという位置づけになっています。
デザイナーの方がミリタリーオタクらしく、軍物を源流としたトレンチコートやワークシャツには、かなりの定評があります。中目黒のPARKINGというお店がブランドの直営店となり、各ブランドアイテム取り揃えられているので、この記事を読んで気になって頂けた方は、そちらにも是非足を運んでみてもらいたいです。
トレンチコートよりもダスターコート
さて、今回紹介するのはダスターコートです。ダスターコートって何ぞや、と首を傾げるでしょう。元々は砂埃で洋服が汚れないように作られていたオーバーコートだそうで、北アフリカ戦線で使用されていたコートが原型です。
古着を元に現代的なシルエットに再構築したということなので、ミリタリー大得意なブランドならではの逸品になったというわけです。
実際の写真を見てもらうと伝わると思うのですが、ダスターコートはトレンチコートから派生しています。実を言うと私はトレンチコートが少し苦手なのです。
トレンチコートをさらっと着こなしている方を見るとかっこいいなとは思うのですが、自分がいざ着るとなると特有のかっちりとした感じがどうも苦手で……ですが、このダスターコートはそのトレンチコートのかっちりとした部分をものの見事にそぎ落としてくれているのです。
というわけで、トレンチコートが苦手な私がトレンチコートっぽいコートを着られることになり、さらにそれが何とも優秀なコートでしたので、紹介したいと思ったわけです。
ダスターコートを徹底解剖!
まず、全体画像は以下写真をご覧下さい。
まず目を引くのは大きなポケット。特徴的な大きなポケットが4つも付いています。ちなみに、ポケットが折りたたまれているのは砂埃をポケットの中に入れないためです。ミリタリー服には無駄がありません。細部までしっかりと根拠があります。
そしてこのポケット、実は仕掛けがあって、ポケットが2重構造になっており、2WAY仕様となっているのです。下の写真でポケットが折りたたまれている様になっているのがわかるかと思います。折りたたまれている部分を開いても当然ポケットとして使用できますが、折りたたまれているポケットの裏にも通常のポケットがあり収納可能なのです。すさまじく大容量の収納力となっています。
そういって点ではテアトラのコートと似ていますね。テアトラのコートにはさすがに収納力では劣るとは思いますが、どことなくシルエットも似ているので、テアトラのコートが高くて手が出せないって人がいれば、比較してみてもらっても面白いかもしれません。尚、本商品の価格は税込5万1840円です。
(写真/大きなポケット)
(写真/折りたたまれたポケットの奥にあるポケット)
(写真/折りたたまれたポケット)
ボタンは同色です。高級ボタンという風格ではないので、同色にすることで目立たなくさせている点は最善の策かと思います。このコートはトレンチコートの派生型なので、全体画像を見てもらってもわかる通り、ボタンが多いです。
なので、安っぽいボタンが色違いで付いていた場合は、かなり目立ってしまって印象としては良くなかったでしょうね。
(写真/ボタンは悪目立ちしない同色仕様)
サイズ感についてですが、私が購入したサイズ2(Mサイズ相当)は、身幅:約60cm、裾幅:約72cm、着丈:約105cm、肩幅:約46cm、袖丈:約63cmでした。購入した色はネイビーで、ダークトーンではありますが、春に着ていても爽やかさをほのかに感じさせるくらいの色味です。
背面部分は、センターベントで中央下部に切れ目が入っています。これがあるのとないのとでは動きやすさが違います。
ウエスト部分にはベルトがあり、ベルトループは3箇所あります。ベルトについては外側に垂らすだけでなく、内側に通じる穴が作られており、不要な場合は内側に収納できることができます。ベルトがあるあたり、トレンチコートを彷彿とさせますね。
トレンチコートによくある肩の部分のエポレットはこのコートにはありません。エポレットもかなりかっちりとした印象を与える要素のひとつなので、それが無いだけでも印象はかなり違います。
(写真/右下部:センターベント、中央左:内側へのベルト収納用の穴)
(写真/ウエスト部分にはベルト)
肩周りはドロップショルダーで、身幅と袖周りも程よくゆとりがあるので、全体的なシルエットとしてもかっちり感はなく、どちらかというとゆるい丸みのあるシルエットになっています。
最後に素材についてです。素材はコットン100%です。スイスのREMI社が中心となって進めるオーガニックコットンづくりプロジェクト「Biore PROJECT」でインドとタンザニアで栽培された綿を使用してできたセルビッジタイプライターという素材で構成されています。
かなり細かな目で打ち込まれていて、柔らかい風合いではあるのですが、ハリコシもあり、珍しい素材感です。
ちなみに、「Biore PROJECT」は、単にオーガニックコットンを買い取るだけではなく、地域で暮らす人々が自立していくための様々な仕組みを構築している点で、世界で最も大規模かつ先進的なプロジェクトとして知られています。
いい服を着られてしかも誰かの人の為になるというのは着ているだけで少し気分が和やかになるもので、いいものですよ。
(写真/素材のタグ)
袖はやや広めだが一工夫で様変わり
私の中で1点だけ、このコートのことで気になる点があります。それは袖の部分。やや広めに作られているので、やはり全体としてゆるい印象を与えがちです。私は当初その部分が少し気になってしまいました。
ただ、一工夫することで、見違えるので、共有させてください。袖先の部分ですが、実は内側にゴムを入れた同生地のリブを配しています。これによって、袖の部分を捲くれるのです。
シャツの腕まくりはよくされると思うのですが、コートの腕まくりってなかなかしないですよね。このコートを着る際は腕まくりを是非してもらいたいです。
もちろん寒い季節にはしないと思うのですが、春や秋に着用される際は是非お試しください。印象が激変します。
(写真/袖先の仕様:外側)
(写真/袖先の仕様:内側)
(写真/腕まくりをした着こなし)
3シーズン使えて便利なコート
写真からもわかるかと思うのですが、このMARKAWAREのダスターコートは裏地がありません。なので、冬の着用は推奨ではないです。ですが、ゆったりとしたサイズ感、元々砂埃を防ぐためのコートだけあって、風は通しにくい仕様となっています。
インナーにニット等を着込む、あるいはインナーダウンを活用すれば冬の初め、終わりの時期には、十分に活躍の余地はあります。
また、着こなしですが、あまり意識せずとも全体のバランスを整えてくれる良品になっているので、気軽に羽織ってみてください。ロングコートですが、かっちりとしすぎない雰囲気を出しているので、渋い大人の男になれます。
(写真/秋冬の着こなし)
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