メンズファッションブロガーのMBさんがデザインしたオリジナルアイテム、通称「MBアイテム」。市場では見られない、簡単にサマになりやすいアイテムを良心的価格で販売する人気企画です。今回は2017年9月4日に受注開始された「MBニットカーディガン」についてレビューしていきます。
まるでコートのように着られるカーディガン
「MBニットカーディガン」の特徴は「普通のカーディガンには見えない」こと。パッと見てすぐに分かりますが、例えば、着丈がコートのように長いのです。通常、カーディガンは腰位置までしかないショート丈です。
しかし、これはまるでコートのような長さのロング丈。カーディガンといえば、老若男女問わず多くの方が着用するので、何も考えずにパッと羽織っただけでは「オシャレ」には見えにくい。ともすれば、おじさんっぽくなってしまうこともあります。
ですが、着丈を長く設定することにより、誰の目にも普通のカーディガンには見えません。パッと見で分かる「違い」があるからです。もちろん、適当に差別化を図っているわけではありません。「着丈を長くする」メリットはちゃんと存在します。
それは、最初に述べたように「コートのように見える」こと。つまり、着丈を長くすることで、ドレス寄りのアイテムになるのです。普通のカーディガンで適当にコーディネートを組むと、つい子供っぽく、カジュアルな装いになってしまいがち。
ですが、このようなロングカーディガンであれば、デニムやスニーカーなどと合わせても、バランスが取れてサマになりやすいのです。
着丈を長くすることにより、ドレス寄りの印象になり、パッと着てもサマになりやすいロングカーディガン。実は、ただ単に着丈を伸ばしただけではありません。裾にもしっかり工夫がされています。
裾を正面から見ると、このようになっています。お気づきでしょうか? 「前後で着丈が違う」のです。後ろ側は、シャツのように曲線的な「ラウンドカット」と呼ばれる裾の形をしており、かなり長めなのですが、前側はある程度短めに設定されています。
もちろん、これにもしっかりと意味があります。前後で着丈の長さを変えることにより、野暮ったい印象になりづらくなっているのです。後述しますが、このカーディガンはゆったりとしたビッグシルエットですので、着丈を長くしすぎると、重く、野暮ったい印象になってしまいますね。
しかし、やはり着丈は長いほうが、ドレスな印象は強まるのです。この問題を解決するために、前側の着丈だけ少し短くすることで、後ろ側から見ればきっちり長く、全体的には軽快な雰囲気になるようにまとめています。
また、前から後になるにつれて、自然に着丈が長くなるようにデザインされています。緩やかカーブのように裾のラインが描かれるので、わざとらしさがなく、横から見ても立体的な印象になります。
実はもう一つ、このカーディガンをドレス寄りのデザインにしているポイントがあります。それはフロントの「ラペル」。ジャケットのように、身頃の襟が折り返されている「ラペル」があるのです。
この曲線を描くような、優雅な雰囲気のする襟は「ショールカラー」と呼ばれます。これがあることにより、同じコートでも、まるでチェスターコートのようなドレッシーな雰囲気になります。
カジュアル要素とトレンドを加える「ビッグシルエット」
ここまで、「ロング丈」「ラペル」などについて言及し、それらはドレス寄りのディテールであると述べました。ここで疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。「そんなにドレスなアイテムなら、カッチリしすぎて使いづらいんじゃないの?」と。
実はカジュアルなスタイルにも、バッチリ使えます。デートのようなシチュエーション以外にも、休日にカットソーの上にサラッと羽織って散歩……といった場面でもまったく問題ありません。まるでチェスターコートのような見た目をしていますが、あくまでカーディガン。
コートのように裏地や芯地などはありませんし、構築的なシルエットをしているわけではありません。コートとカーディガンの中間のようなイメージと言えばわかりやすいでしょうか。なので、決してカッチリしすぎるということはないのですが、よりラフに着ることができるように、もう一つ工夫があります。
それは「ビッグシルエット」。写真からも伝わってくると思いますが、全体的にゆったりしたサイズ感になっており、カジュアルな印象をプラスしています。例えば、上の写真の肩の部分。「ドロップショルダー」と呼ばれるもので、わざと肩のラインを外側にずらしており、ルーズな印象にさせています。
袖もゆったりしており、丈が長く、手が半分ほど隠れます。このようにビッグシルエットにすることで、トレンド感を取り入れつつ、適度にカジュアル要素もプラスして良いバランスに仕上げています。
また、シルエットとは関係ありませんが、フロントを留めるボタンが無いので、よりゆるい雰囲気になっています。サイズ展開はS、M、Lの3種類。写真はMサイズで、寸法は着丈94cm、肩幅45cm、身幅54cm、袖丈60cmになります。
肌触りが良く、発色が綺麗な「ミラノリブ」生地
生地について見ていきます。素材はウール50%、アクリル50%で、「ミラノリブ」になります。ここ数年トレンドの生地で、ミラノリブのニットは頻繁に見られるようになってきました。ユニクロなどでもお馴染みの生地なので、ご存知の方も多いかと思います。
「ミラノリブ」の特徴として、毛羽立ち感が少なく、ハリのある、固めの生地感ということが挙げられます。そのため生地が溜まらず、コートのようにストンと落ちてくれます。そして表面には艶があるので、これもドレス目な印象になります。
アクリルが50%混紡されているので、「安っぽく見えるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、化繊感はそれほど強くなく、発色もハッキリと出ていますので、安っぽい印象はありません。この価格にしては、かなり上質な生地が使われています。
肌触りもなかなか良いです。ミラノリブのニットにも色々な質感がありますが、これは柔らかめ。ナイロンが混紡されたようなパリっとしたような感触ではなく、ニットとしての温かみを感じられる、少しふんわりとした肌触りです。カラーはブラック、キャメル、グレーの3種類。写真はキャメルになります。
使用感、お手入れについて
それでは最後に、使用感について書いて終わります。既に何度か着用し、洗濯まで行いました。まずは、インナーによる着膨れについて。サイズに余裕のあるビッグシルエットで、かつハリのあるミラノリブなので、シルエットが崩れにくく、着膨れしにくくなっています。
シャツやハイゲージニットくらいであれば全く問題ありません。しかし、ミドルゲージ以上のやや厚手のニットなどを中に着込むと、やや着膨れしてきます。アームホールやウエスト周りが少しだけ太くなります。といっても、そこまでハッキリと分かるものではないので、そこまで見た目には影響はありません。
ブルゾンなどをインナーにした場合は、肩のラインなど、シルエットがやや構築的になり、よりチェスターコートのような印象に近づきます。がっしりした生地のインナーになるほど、よりアウターらしく着ることができます。着心地も問題ありません。
次に防寒性について。カーディガンなので、生地はそれほど厚くありませんが、なかなか暖かいです。インナーを調整すれば、3シーズン使えるので、かなり着用期間は長くなります。ただし、真冬はやはり一枚では寒いですね。都内であれば、マフラー・ストールや、ダウンベストなどをプラスしてあげると冬を越せそうです。
袖について。ビッグシルエットの箇所でも述べましたが、袖丈が長く、手がかなり隠れてしまいます。こういった「萌え袖」に抵抗がある方は、袖まくりすれば気にならなくなります。薄くハリのある生地なので、まくってもさほど目立ちません。私は袖が手にかかるのがあまり好きではないので、まくって着ることが多いです。
細かいところですが、ポケット位置。このように左右のサイドにポケットが付いているのですが、位置がかなり低めになっています。通常、コートのポケットに手を入れるときは、腕を折り曲げるようにしなければなりませんが、これは腕をそのまま下ろした形で手を入れることができるので、とても楽です。
シルエット的にも、ポケットに手を入れると裾が自然に広がり、綺麗なAラインになります。お手入れについてですが、シワがつきにくい生地でもあるので、それほど頻繁なアイロン掛けは必要ありません。たまにシワが気になったら、ラペルの折り返しの線が消えかかっていたら、で構いません。
洗濯表示タグでは、家庭洗濯は不可となっていますが、素材的に水洗いしても問題ないでしょう。私は一度洗濯機で洗いましたが、大きな風合いの変化、型崩れなどはありませんでした。ただし、洗濯機で洗う場合は、中性洗剤でドライモードに洗濯することをおすすめします。
心配な方は、丁寧に手洗いするのも良いでしょう。どちらにせよ、ニットですので、ハンガー掛けはせず、必ず平干しするようにしましょう。アクリル混紡で毛玉ができづらくなっているとのことですが、残念ながらそこそこ毛玉は発生します。
特にリュックやショルダーバッグなど、服と密着させて使用するバッグとは相性が良くありません。初めて着用した際、編み込みレザーのショルダーバッグを肩に掛けていたのですが、数時間後には摩擦で、人前に出るのが恥ずかしいほど毛玉だらけになってしまっていました。
そうでない場合も、出来れば着用後には全体をブラッシングすることをおすすめします。以上、「MBニットカーディガン」のレビューでした。価格は1万5000円(税込)。現在は完売済みのアイテムですが、参考になれば幸いです。