最先端のトレンドを実感できるMBプリントニットはコストパフォーマンスの高い逸品

メンズファッションを論理的に説くことで、世の男性から熱烈な支持を集めるファッション作家のMB氏。氏の発行する有料メールマガジン「最も早くオシャレになる方法KnowerMag メールマガジン」は約1万人規模の読者を擁し、個人配信の有料メールマガジンとしては日本一の発行部数を誇ります。

今回ご紹介するのは、そのメールマガジン読者限定アイテムとして、2017年9月に発売されたニット。“今まさに求めるべき要素”が詰まった逸品です。

既に完売しているものではありますが、このニットの魅力を知ることで、「今何を求めるべきか」を考える一助としていただければ幸いです。

脱地味ドレストレンドの交差したところに生まれたデザイン

2017年はステュディオスやアダムエロペといった実力派ブランドと次々にコラボ商品を展開したMB氏ですが、氏は以前からしばしば、自身のメールマガジン読者を対象としたクローズドな環境で、オリジナルアイテムを開発・販売しています。

氏のアイテムの特徴は、“時代の文脈”を意識していること。今回はそれが「ラインがプリントされたニット」というアイテムに結実しているのです。

どういうことか、簡単にご説明します。ひとつには、ここ数年のストリートファッションのトレンドから、ドレストレンドに転換しつつある点。
※ドレスとは? こちらをご参照くださいhttp://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

そしてもうひとつには、地味をもってよしとされた「ノームコア」トレンドの反動として、デザインの傾向が“脱地味”にシフトしている点です。

おわかりでしょうか。ニットは“ドレス”の象徴的なアイテムのひとつ。そして“脱地味”とは“派手”とイコールではありません。ちょっと手を加えるだけで、文字通り「地味を脱する」のです。そのひとつの着地点が、“細長い長方形の「バーデザイン」がプリントされたニット”ということです。

このバーデザイン、シンプルな色と形ではありますが、最も目を引くセンター部分に大きな存在感を発揮しているため、決して地味ではありません。“脱地味”のアプローチの仕方は様々ですが、この方法であれば、万人とは言わずとも、大多数の人に違和感なく受け入れられるデザインと言えるのではないでしょうか。

さて、バーデザイン以外にも、このニットには特徴的なデザインがあります。例えば首回り。基本的にはクルーネックなのですが、「ロールネック」と呼ばれる二重になっているかのような作りで、1枚で着ても首元が寂しくならない仕立てです。

なお、SMLの3サイズ展開。ややゆったりした作りで、身長178cmの筆者がMサイズで着ても、首回りはかなり開きがあるため、中にシャツやタートルを入れた方が安心感はあります。

また、裾にも注目したいところ。前に約7.5cm、後ろに約10cmのスリットが入っています。一般的なニットの裾によく見られるようなリブになっている場合、冷たい空気をシャットアウトできる利点がある一方で、腹回りに生地が留まってしまい、かつ動くとずり上がってしまったりするため、不格好になりがち。

その点、サイドスリットがあればストンときれいに下に落ちるので、リブがある場合のような不格好になる懸念が解消されます。また、カットソーのような、“地味な印象を脱した”見え方になります。

一枚着として完成度の高いシルエット

続いてシルエットについて見て行きましょう。このニットは昨今のトレンドにあるようなビッグシルエットと言うほどに大き目の作りではないものの、体にぴったりフィットするような作りでもありません。袖丈や着丈をやや長めに作りながら、スタイルよく見える形に仕上がっています。

身幅はSで51cm、Mで53cm、Lで55cm。上述の通り生地がストンと落ちることもあり、標準体型であれば、体に密着しない程度のサイズ感で、きれいなシルエットになります。

肩幅はSで42.5cm、Mで44cm、Lで45.5cm。ニットとしてはやや大きめの作りで、上半身が細身の筆者はMでも少し肩が落ちます。

アームホールはやや細め。袖丈はSで60cm、Mで62cm、Lで64cmと、やや長めです。筆者の場合、Mサイズでも腕を下した時に手の甲が完全に隠れるほどでした。

袖丈と同様に、着丈もやや長めです。Sで70cm、Mで72cm、L74cm。Mサイズで、筆者の場合はスラックスのポケットが完全に隠れる程度です。脚の付け根(始点)が隠れることで、客観的に足長に見える効果が期待できます。

以上見てきた通り、一枚着としての完成度が高く、そしてトレンド的にも“今着るべき”このニット。ただし上着を羽織る場合、ニットの丈の長さとのバランスを考慮しないと、ニットが大いに“はみ出す”ことで、不格好に見える可能性があります。

その点、ロングコートを羽織れば、見映えとしては間違いないのですが、このニットは防寒性が高いものではないので、インナーダウンなどで防寒機能を補わないと、真冬は少々危険です。

生地は目の詰まった上質なミラノリブ

続いて生地についてです。素材はウールとアクリルがそれぞれ50%。編み方は目の詰まった伸縮性の少ないミラノリブです。ニットにしては伸縮性が少なく、また硬めなので、シワになりにくいのが特徴です。

ただ“硬め”とは言え、素肌に直接着てもストレスは全くなく、チクチクするようなこともありません。ただ、そんな着方を敢えて推奨しませんが。

なお、異素材混紡の生地は一般的に毛玉ができやすいのですが、このニットはアクリルに特殊加工が施してあり毛玉ができにくい仕様とのこと。どこまでも行き届いた作りです。

このニットのバーデザインですが、生地に直接プリントされています。プリントなので剥離する可能性はあるため、バッグ等による摩擦には注意が必要です。ただ、元がシンプルなデザインなので、剥離してもそれが味となりそうではあります。

このデザインがもし白い糸で編まれたものであれば、剥離のリスクはないけれど、もっと野暮ったいデザインになっていたでしょう。洋服の完成度はデザインとシルエットと生地の三者のバランスが重要。ひとつ欠けるだけで台無しになってしまうのです。

なお、ケアに際してはドライクリーニング推奨です。

ベーシックで着回しやすい全3色展開


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色はブラックとキャメルとグレーの3色。ブラックはもちろんのこと、キャメルとグレーも実に使い勝手のよい色味です。

筆者が選んだのはグレー。少し青みがかったグレーで、ライトグレーのアウターやパンツと合わせてものっぺりした印象にならず、またネイビーとも相性抜群です。

価格は1万2000円。市場で同様のコストパフォーマンスのアイテムを見つけ出すのは至難かもしれません。しかし、このニットに込められた要素の意味を読み解くことは、今年のニット選びの指針になることでしょう。

「トレンドに振り回されるなんて大人げない」という考え方もあろうかと思いますが、「今という時代を、身に着ける洋服を通して実感する」というのもまた“大人らしい生き様”ではないか、と筆者は考える次第です。

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EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。