通勤や冠婚葬祭でも役立つミハラヤスヒロの革靴「あぶり出しストレートチップ」

あれは2014年の冬。私は表参道にいました。あるオシャレ情報を配信する媒体で、「この靴はいいよ」と紹介されたのです。

写真をみてすっかり虜になった私は、売り切れを恐れ、すぐさま取扱店に向かいました。

それがミハラヤスヒロの靴との出会いです。当時、私が履いていた革靴は「リーガル」「ジャランスリワヤ」など。主にコストパフォーマンスに優れた靴を選んでいました。

もちろん両者とも履き心地、デザインは、今になっても素晴らしいものだとおもいます。しかし、私は刺激を求めていました。

それは誰が見ても「オシャレだね!」と言ってくれるような靴。当時の私はスーツを新調していました。「ラウンジリザード」のロロピアーナという高級生地を使ったものです。そして、それに見合う「格」の高い靴をと探していました。カッコイイ靴を……。

そんな思いのもと、たどり着いた靴がミハラヤスヒロでした。さて、お上りさんだった当時の私はこの靴に満足できたのでしょうか。

 愛靴紹介

ブランド名 MIHARA YASUHIRO(以下、ミハラヤスヒロ)
展開ライン ビジネスライン
商品名 あぶり出し内羽根ストレートチップ-business line-(以下、あぶり出しストレートチップ)
色 黒
サイズ25.0

まず「内羽根」とは、「靴ひもを通す穴がある革パーツが甲の内側から始まっているもの」を指します。デザインがすっきりとしており、格式高い印象を与えます。次に「ストレートチップ」。「トウに横一文字のラインが入ったデザイン」を指します。

これらが組み合わさった「内羽根ストレートチップ」は万能な靴です。たとえば「結婚式」「お葬式」「普段のお仕事」。スーツを着るあらゆる場面に対応します。つまり、これを選べば問題がないという靴。男子必携の一足です。

「あぶり出しストレートチップ」ではその「ストレートチップ」の部分に「あぶり出し」の技法が行われています。

「あぶり出し」とは、任意のパーツの上から革で覆い、熱を加えて、革を収縮させ、パーツの形を革表面に浮かび上がらせるというもの。ミハラヤスヒロのお家芸です。

使っていくうちに中のパーツが浮き上がってきて、よりアンティークな見え方になっていきます。上から覆っている革はキップレザー。

キップレザーは高級素材です。生後6ヶ月~3年前後までの、若い牛からできる革を指します。きめ細かさと強度を兼ね備えています。

そんな「きめ細かい素材」を「あぶり出し」と共に使うことで、この靴は「繊細さ」と「オリジナリティ」を獲得しています。

内張りには柔らかい馬革を使用。ミハラヤスヒロの靴は、見えないところにもこだわりを感じさせてくれています。

インソールは特殊な素材のカップインソールを採用。長時間の着用をしても疲れにくく、スニーカーのような履き心地です。グリーン地にブランドロゴテープの縫い付け。着用のたび、気分を上げてくれます。

ソールはハーフラバーソール。歩きやすい革底の前半分に、ゴム製のソールがあらかじめ縫い付けられています。

革底が苦手とする濡れた路面でも水が沁みることなく歩いてゆけます。私は革底の靴のハーフラバーソール加工を修理店にお願いすることが多いので、嬉しい仕様でした。

シャープな外観。マッケイ製法というアッパー(ソールより上側)と中底を特殊なミシンで縫い付ける製法によってつくられています。

足を包み込むように仕上がるため、結果コバの張り出しが少ないルックスに。

カカトにも「あぶり出し」の技法が使われています。

派手な靴も少なくないミハラヤスヒロの中でも、この靴は指折りに大人しいデザイン。ストレートチップの特徴的なトウと、そのカカトにのみ、さりげなく「あぶり出し」が主張しているためです。

結果、フォーマルシーンでも嫌味なく「ファッションの香り」を感じさせてくれます。

 満足……!  

私のサイズ選択は概ね成功していました。私の足のサイズは25.5cm、足囲25.2cm。縦に対し横幅は普通です。ミハラヤスヒロの靴は作りが大きめ、と聞いていたので試着の際も足がぎりぎり入るサイズを攻めていきました。

結果、実寸よりも0.5cm小さい25.0cmを購入。履き慣らしていくと、革が縦横に伸びていきました。きつくもなくゆるくもない、快適なフィット感になりました。

しかし、ほどなくして左足のみに、履いていると甲の血管に引っかかるような痛みが発生。これは靴ひもを緩めることで解消しました。どうやら私の足は左のみ、むくみがひどいようです。この靴、横幅は日本人基準で広めとってあるものの、甲はそれほど高くは作られていないようです。

内羽根の靴はなるべく羽根を開けずに履くほうが美しいのですが……。私は履き心地を優先しました。結果、上の写真のような羽根の開き具合に。まあ、許容範囲でしょうか。

歩き心地はGOOD。他の靴と比べても一日履いたときの疲れは大幅に軽減されました。

気の利いたインソールのお陰です。また、歩くたびカカトは吸い付くようについてきます。

ソール自体も履き込んで柔らかくなり、動いていてもフィットした状態を保ってくれています。

「良い靴ですね」と褒められる機会も増えました。一度その事がきっかけで、お互いの前職が同じ業界とわかり意気投合したことも。

もちろん目の肥えた方以外にも褒めてもらえる靴です。キップレザーの良さと、あぶり出しのデザインのお陰だと思っています。「オシャレだね!」と言ってもらう目標は達成できました。(笑)

 スーツ姿に自信が持てた

「スーツが楽しくなった」これまでスーツは似合わないと思い、渋々着ていた私ですが、この靴をきっかけに興味を持ちはじめました。足元がビシッとキマっていると全体も整って見えると気づいたからです。スーツの時は「この靴が履けるぞ」とうきうきするようになりました。

この「あぶり出しストレートチップ」には未だ飽きが来ていません。購入から約3年。私は洋服や靴だけでなく、最近では和服と順調に買い物をしてきました。被服費は前年比を上回り続けています。そのため、私自身の見る目は厳しくなっています。にも関わらず、3年前に買ったこの靴はその目にも耐え、未だお気に入りです。

自分が履く靴へのこだわりも強くなりました。特に見た目。今回の靴と同様、コバは張っておらず、良い革質のものを選びます。スーツ用にはアレンエドモンズの内羽根を一足、また新たにミハラヤスヒロの別の「あぶり出し」も一足買いました。出費はかさみますが、スーツ姿の自信は継続できています。これらの買い物は「良し」としています。

「良い靴はスーツを楽しくする」と何かのキャッチコピーにありそうな教訓を、私はこの靴から学びました。これからも良い靴を履いて、フォーマルな場を楽しみたいとおもいます。

もし貴方がストレートチップをお持ちでない、あるいは買い替えの時期にあるのなら、一度、取扱店舗で試着してみる価値があるかと。次の一足にいかがですか。

お〜い落合

この記事を書いた人

お〜い落合

身長176㎝ 体重65kg 靴25.5㎝(adidas JP26.0)

信条は「レトロ買い」。たまに買う新品との合わせを楽しむのが趣味。そうでないものを書いたらすみません。32歳未婚。