男性であれ、女性であれ、シンプルなシャツを何気なく上手く着こなしている人はとてもお洒落に、また知的に見えるものですよね。
とてもシンプルなのに、特に難しいコーデでもなさそうなのに、何で格好良く見えるのか? ファッションはトレンドですが、それ以前にそれは自己表現であり、自己定義でもあります。ただし、当然万人の自己表現が服である訳ではありません。限られた時間と資源を何に重きをおくかは個人の自由だからですね。
しかし、見た目によって「瞬時」に個人のイメージなりパーソナリティ(それが仮に幾分主観的に過ぎるものであっても)が形成され、判断されるのであれば、出来る限りお金と時間を掛けずに、簡単にスタイリッシュに見せる事ができれば最もスマートで合理的ですよね。
そして、そんな「イメージ」を簡単に作ってしまえるのがシンプルな白いシャツです。白シャツこそ合理的で機能的、ミニマルで知的な、コスパ最強の万能アイテムなのです。白シャツと一言に言ってもさまざまですが、今回はオックスフォードシャツ、その中でも特にオススメの無印良品の「洗いざらしオーガニックコットンオックスボタンダウンシャツ」をご紹介します。
そもそも「オックスフォードシャツ」とは?
ブロードシャツよりコシがあり、シワができにくい生地
オックスフォードシャツといえば、アメリカントラディショナル(アメトラ)の大定番です。ブルックスブラザーズなどが有名ですが、無印良品の白シャツといえば、ブロードシャツを思い浮かべる人も少なくないはずです。
無印良品のオックスフォードシャツもブッククスブラザーズに負けぬとも劣らない定番商品なのです。正式な商品名はオーガニックコットン洗いざらしオックスボタンダウンシャツです。無印のブロードとオックスフォードシャツはよく似た兄弟のような商品ですが、そのキャラクターは若干異なります。その違いを説明していきましょう。
着た感じのサイズ感なり、シルエットはほぼ同じですが、決定的に異なるのはその素材。ブロードシャツは柔らかく、つるりとした艶のあるドレスライクな質感。いわゆる皆さんがイメージするシャツですね。それに対して、オックスフォードシャツはコシのある少々ざらりとしたマットな質感です。
ブロードシャツよりも若干カジュアルに寄ったイメージです。その素材ゆえ、シワが目立たず丈夫ですから、イージーケアでOK。生地の厚さがある分、夏は暑いのでは、との心配の声もあるでしょうが、もともとはこのシャツ、スポーツウェアが出白ですから通気性があり、夏でもそれほど蒸れる心配はありません。
同じ白シャツでも、ブロードシャツより若干カジュアルなオックスフォードシャツは本来の白シャツの持つフォーマル要素に程よくカジュアルをブレンドした使い勝手の良いイテムとして欠かせないマストアイテムなのです。
オーガニックコットン洗いざらしオックスボタンダウンシャツはマスターピース!
「オーガニックコットン洗いざらしのオックスボタンダウンシャツ」は2980円(税込)です。素敵にお求めやすい価格ですね。このシャツほど形が綺麗で、着心地が良く、メンテナンスもしやすく、更にリーズナブルなシャツはなかなかありません。
今挙げた4つのポイントの内でどれかについてはこのシャツ以上のものは数多く存在するでしょうが、その総合点において敵うものは数少ないはず。定番商品として絶えず店頭に並んでいるので、ガシガシ使って、くたびれたら、何度も同じものを買い換えられます。
その最大の魅力はやはり一枚でサマになるシルエットです。袖を通し見ると、そのベストバランスなシルエットに思わず心の「良いね」ボタンに手が伸びます。アームホールはスリムですらりと美しく、着丈はやや短めです。身幅は細すぎず、しかしゆったりし過ぎず、と程よいフィット感です。
このバランス感が見事なのですね。サイズ感はいつものジャストサイズを選択すれば、問題ないでしょう。単純に細いボトムスと合わせるだけで上品なIラインが完成します。
シャツはともかく着丈と身幅の微妙なそのバランスが非常に大きな見た目の印象に繋がり、とても重要です。着丈が長すぎるとだらしなく、短すぎても不恰好にスタイルが悪く見えてしまいます。身幅もぴったりし過ぎては何やらビジネス用に見えますしね。その点、こちらは着丈に応じた程よい身幅感が見事なシルエット。シンプルなアイテムだけに細かなディテールがモノを言うのですね。
参考までに、身長177cmですが、Mサイズがジャストですね。比較的痩せ型ですから、Sでもいけなくはないのですが、ある程度のゆとり感と、ちょうど良い具合に腰が隠れて一枚でサマになるのはやはりMです。試着してジャストサイズを選ぶ事をオススメします。 バランスが絶妙な着丈感が最大の魅力ですからね。
白シャツコスパ最強説
春夏秋冬ほぼすべてのシーズンで使え、時期を選ばず一年中使えるアイテム。価格に対して着る回数を割れば、そのコスパは非常に高いものです。春、夏はもちろんそれ一枚で主役として使えますし、寒い季節は上にVネックニットやパーカー、更に寒い季節であればその上にアウターを着れば、一年中フル稼働で活躍できる超優秀アイテムなのです。
ニットを重ねるだけで肌寒い時期に対応。こなれ感もアップ
着丈があるため、差し色として単調なコーデのアクセントに一役買ってくれます。例えば、着丈の短いMAー1等のブルゾンと合わせれば、裾部分から自然と白いシャツがのぞくので、カジュアルに過ぎるコーデにオトナの香りをプラスできるだけではなく、アウターとボトムスと境界がぼやけて腰の位置が隠れる事での脚長効果が期待できます。
自然とはみ出た部分が「白」が差し色に。レイヤード効果でYラインも作りやすい
ボリュームがあっても、縦方向の面積が少なくYラインの作り難い場合のシルエットの調整役としても利用できるのです。
白シャツの真骨頂はその大人っぽさにあります。モノトーンは更にその効果を加速させますので、まずは手始めに黒いスキニーパンツなどの細いボトムスを合わせてみましょう。足元も抜かりなく革靴やローファーなどの革靴でカッチリまとめれば、単純ですがクールな大人モノトーンコーデに。
下の写真は海外スナップで非常に良く見かけるモノトーンコーデ。簡単ですが、とても格好良いコーデです。ここであえてブロードシャツでがなく、オックスフォードシャツを選択する事で、キメ過ぎず、程良い抜け感を演出できます。ステッカーチューンを施したMacBookを小脇に抱えば、何となく情熱大陸に出てくる新進気鋭のクリエイターのようです。
シンプルコーデですが、アレンジでボトムスをスラックスにしたり、その場合はもう少しカジュアルにシューズはコンバースやスリッポンなどを合わせてバランスを差し引きしたり。好みで微調整しながら、何パターンも組み合わせが 作れます。何気ないジーンズでも、トップスが白シャツならカジュアル過ぎず、どこか知的で清潔感のあるコーデに。カジュアルがメインの手持ちの服たちにも違和感な溶け込んで、カジュアル過多な印象を緩和してくれます。
トレンド重視のファッションもOK。トレンドを踏まえて旬の黒いワイドパンツと合わせたYラインコーデ。艶のある黒のワイドパンツに合わせた白シャツのタックインは、ぱっと見、モノトーン効果も手伝って非常にモード感あるクールな着こなしです。
「装飾を排する」という哲学としてのファッション
紹介したコーデはいずれもモノトーンを基本とした単純なもの。それでも何となくファッション感度高めに見えてしまいます。その理由は無駄を削ぎ落としたシンプルさゆえ。
無意識のうちにクローゼットから選び取った服には多かれ少なかれそれらには必ず「装飾が」あるはず。それは配色であったり、柄であったり、はたまたシルエットを形成する特徴的なパターンであったり。
つまりそのような装飾性の溢れるファッションの中で、あえて装飾性のないものを意識的に選び取る事は逆説的に差別化に繋がるのです。そのようにして身に付けた服には意味性が生まれ、大袈裟に言えば、知性や哲学を身に纏う事になります。「何だか分からないけど、何となくお洒落」的な空気の理由はここにあったのですね。
着るものにお金や時間を掛けず、それでもお洒落に、スタイリッシュに。やはり白シャツは非常にコスパの高い、優秀な万能アイテムなのです。
世界的なデザインブランドとしての無印良品
最後に無印良品について補足情報を。皆さんの中にはひょっとすると「無印良品って服売ってるの?」だとか、日用雑貨のイメージが強くて、ファッションのイメージが付かないという方もいるかもしれませんね。
しかし、です。無印良品はシンプルさを重視した洗練されたデザインのプロダクツが数多く、そのコンセプチュアルなデザイン性の高さから数々の受賞歴があり、コアなファンも多く存在するのです。海外出店もあり、マンハッタンにあるニューヨーク近代美術館(MoMA)のデザインストア内にもショップをオープンするなど、国内のみならず世界でも一定の評価を得ています。
それもそのはず、方針として声高に公にされないのですが、実は無印良品のデザインには世界的にも有名なデザイナーを数々起用しており、目立たない中でもしっかりとコストを掛けて商品開発が行われているのです。にもかかわらず、価格帯は非常にリーズナブル。定番商品をじっくりと長い視点で安価に提供し続ける無印良品はコスパ最高のファッションブランドでもあるのですね。