流行に左右されるネクタイの幅
基本的にネクタイの幅はスーツのラペル(襟)の幅と連動します。ラペルが細ければネクタイも細く、ラペルが太ければネクタイも太くなります。もしラペルが細いのにネクタイの幅が太いとアンバランスで不完全な印象になるでしょう。
80年代は肩パッドの入ったビッグショルダーのスーツが流行していたため、それに合わせてネクタイの幅も相当広いものが流通していました。9cmや物によっては10cmのものもあります。翻って2019年は、細身のスーツがスタンダードになっているため、ネクタイ幅は7cmから7.5cmが標準です。ユニクロであれば7.5cm幅を採用しています。
つまり現在、幅の広いネクタイは主流ではないので、古着屋やリサイクルショップで叩き売られていることがあります。バーバリーやフェンディなど一流品が数百円で購入できることもあるほどです。
古いネクタイを「お直し」で生まれ変わらせる
そんな古くさいシルエットのネクタイを現代風にお直しすれば、格安でブランド品を身に着けることができます。画像の左のネクタイはバーバリーですが、筆者が800円で購入したものです。柄も質も素晴らしいのですが、幅が9cmもあり、そのままでは使えません。今回は右のユニクロのシルクネクタイを参考に自分で細くお直ししてみました。
基準は「7.5cm」
ユニクロのシルクネクタイの幅は約7.5cm。この長さが目安です。手順としては、①縫製を解いて中の芯を取り出す、②直したい幅に合わせて切り取る、③芯を入れ直してその形に合わせてアイロン、④縫い直す、というものです。今回は9cm→7〜7.5cmの細身のネクタイに直します。
芯を取り出すと……
芯を取り出した状態です。筆者は何度かネクタイを直していますが、やはり古着のネクタイは芯が傷んでいたり汚れたりすることがあります。解いたついでに余計なゴミを取ったり、洗うのが基本ですが、普段見えないところで、汚れが表出することはないので、どこまでこだわるかは人それぞれでしょう。洗う場合は芯の型崩れを防ぐために手洗いを推奨します。
芯の整形
整形はのちのプレスの基準にもなるので定規を使いながらマークすることが重要です。9cmから7.5cmに整えるため、左右でそれぞれ7mmから8mm切り取ります。剣先・ネクタイの腹のあたりにマークし、定規で線を引っ張って切り取ります。
芯の余計な部分を裁ちばさみで切り取り、布地に入れ直し、アイロンでプレスした状態です。ネクタイはシルク地のものが多いので、ハンカチなどであて布をすることを推奨します。短剣を入れる部分もプレスした上で簡単に縫い合わせます。
完成図(ユニクロとの比較)
こちらが完成図です。UNIQLOのネクタイ(右)のように、細身のネクタイに生まれ変わりました。筆者はお直しのプロではないので完璧なシルエットではないですが、それでもお直し前とは雲泥の差です。ビジネスで使うことも可能です。不自然な点を見つけても、ある程度はアイロンで微調整ができます。なお、所要時間40分ほどでした。
アイロンや針や糸を使うため、裁縫等に不慣れな方にとってはハードルの高い作業かもしれません。しかし、前述の通りネクタイは数百円で入手できるもので、失敗したとしても損失は大したものではありません。自分でお直しができるようになると服の見方も変わります。お直し前提で考えると古着屋やリサイクルショップは宝の山です。安く良質な買い物ができる上、自分で直した服は愛着が湧くものです。興味がある方はぜひ試してみてください。