気に入り過ぎてQBISMのパッチワークTEEを3枚買ってしまったのでレビューしてみる

突然ですが、理想のTシャツってなんでしょう。「艶がある」「ビッグシルエット」「ガンガン洗える」etc……着る人の数だけ理想はあると思います。ちなみに筆者が思うそれは「合わせやすい」こと。

季節は夏。室内でも暑い中、パパッと選んでもサマになるものが良い。かつ地味でなければ最高です。「QBISM」こそ「合わせやすい」理想のTシャツです。黒のパンツ、シューズと合わせるだけで簡単に今っぽいオシャレが完成します。なぜならデザイナーQuentinはこう言っています。

“すべての私たちの商品はコーディネートが簡単です。複雑にせずに、いいデニムやチノパン、靴やスニーカーと合わせればオーケー、シンプルにいくのが一番です”
「SHIPS MAG14 フランス発の注目ブランド QBISMへの10の質問」より https://goo.gl/UR1fT3

素晴らしい。こんなブランドを待っていました。筆者3枚も買ってしまいました。

華やかで大人っぽい「パッチワークTEE」

 

今回ご紹介するのは「QBISM」の「パッチワークTEE」です。定価はネイビーが約13,000円。白、グレーは約15,000円。少し値は張りますが…名作です。今回は3枚あるので順に見ていきましょう。

まず白から。白のパッチワークは紺、赤、ピンクで構成。ほどよく華やかです。サイズは3枚ともL。実寸は肩幅53、身幅58、着丈71、袖幅23、袖丈19.5(単位cm)。身長176cmふつう体型の筆者は、今っぽいビッグシルエットで着られます。

身幅は広いけれど、着丈までいたずらに長く作れられてはいません。アームホールも大きすぎず、袖丈もちょうどいい。大人が品よく着用できるシルエットです。メインの白地は綿100%ですが、着心地はふつう。

一枚1000円のユナイテッドアスレのものとくらべても特に違いを見いだせませんでした。値段は一桁違いますが、着用感に光るものはありません。このTシャツはほかにあります。

 

続いてネイビー。首元の赤白地のパッチワークがなんとも可愛いです。ネックレスとは違い、Tシャツのデザインであるため、自然にオシャレな印象を与えます。

首元のアップです。光を浴びてできた陰影から、生地の艶が伝わりますでしょうか。この生地、繊細な糸から作られているため、光を受けた時、その一本一本が反射して、より光って見えるのです。結果Tシャツでありながら大人っぽい印象に。

また、この赤白地。今回購入した白やグレーのTシャツにも使われています。揃えたときの見栄えが良さだけでなく、共通したコンセプトを感じさせるようで嬉しいです。ダークトーンの色味でもこのパッチワークが近くにあるとお顔を明るく見せてくれます。このパッチワークは「QBISM」の発明です!

ちなみにMADE IN FRANCEです。大人っぽい生地と、子供っぽい柄生地。これら一枚に合わせてしまうのが、「QBISM」のセンスです。後述しますが、キュビズムの手法を体現した一枚と言えるでしょう。

グレーは洗ってみた

実はグレーのみ洗った後の写真を載せています。真夏日に一日着用。一度洗濯機洗い、裏返して一晩乾燥後の状態です。パッと見、上の新品2枚と変わりません。洗濯表示で確認もしたので当然ですが…。

一点、ネックと紺地との間にシワを発見しました。しまったやはり繊細だったか、と一瞬後悔したのですが、実はこれ、筆者が乾かす際この部分を伸ばしていなかっただけでした(笑)。

注目すると気になりますが、遠目では問題なさそうです。縫い目が集合している場所なので、力を入れて伸ばすことに抵抗を感じたのだと思います。パッチワークがされた衣類を干す際にありがちなポイントなのかもしれません。洗濯自体は製品表示どおりOKでした。

「QBISM」ってどんなブランド?

https://goo.gl/27pgCN

ここでこのブランドの背景に触れたいと思います。「QBISM」は2013年発表。今年で4年目。まだ新しいブランドです。しかし立ち上げ僅か1.2年にして日本の大手セレクトショップでの取り扱われるという快挙も。

中でもSHIPSやEDIFICEでは好評だったようでそれぞれ別注モデルも展開されています。デザイナーはQuentin Nghiem。彼の経歴は華やかで、メゾンマルタンマルジェラ0/10、ルイヴィトン、無印良品Europeへのコンサルティングデザイナーとしての参加経験があります。

中でもMargiela0/10からは現在の彼の作風への影響を伺い知ることができます。デザイナーがデザインせず、デザインチームが商品を手がけるマルジェラ。その中の0/10は手仕事によりフォルムを作り直したメンズウェアライン。

0/10デニムベスト ¥108,215(輸入関税込) https://goo.gl/DnzofH

例えばこのジップベスト。Margiela 0/10 17SSより。まるでパーツを解体し縫合した跡のように見せるデザイン。端正な生地にそれを施すことで、「縫合箇所とそうでないところのギャップ=新たな表情」、「手仕事による暖かさ」、「施され、完成するに至った時間軸」といった新たな要素を獲得しています。

こうしたマルジェラ0/10に見られる繊細な一手間を加えることによるデザインは「QBISM」にも表れています。ご紹介しているTシャツも同様ですね。プレーンな生地にパッチワークを施したことにより、「富んだ表情」「手仕事による暖かさ」「施され完成するに至った時間軸」などの付加価値を持ったTシャツに仕上がっています。

ところで、この「一枚の上に複数の視点からの面をまとめる」といった手法は「キュビズム(cubism)」と呼ばれます。そう、このブランド名「QBISM」はこの手法を元にした造語です。「Quentin+Cubism=Qubism」。キュビズムは、ご存知ピカソが画家ジョージズブラックと研究し、完成させた絵画手法。

https://goo.gl/kZFPf8

キュビズム手法によるピカソの代表作「泣く女」。「多くの視点から見た面」で泣いている女性の様子が表現されています。「QBISM」のTシャツも同様。複数の布地のパッチワークは、多くの視点からの世界を一枚の布の上に表現しています。

結果「多くの表情」を獲得し、秩序を保ちつつ華やかな印象に。QBISMはキュビズムとパッチワークを用いて、「多くの視点からの世界観」をトップス一枚に表現するブランドでした。今回ご紹介したパッチワークTEEもそのコンセプトがそのまま表現され、魅力となった良作であるといえます。では、最後に着こなし例を見て終えるとしましょう。

下半身黒でも地味に見えない!

(トップス QBISM/パンツ アク/シューズ ドリスヴァンノッテン/アクセサリー ヴィンテージ,MB)

デザイナーの言うとおり、シンプルに合わせてみました。フランス発「QBISM」に対し、足元は隣国ベルギー発の「ドリスヴァンノッテン」を。パンツはスリッポンのスエードに対してのプレーンな綿地の春夏用をチョイス。華やかなTシャツが、真っ黒な下半身をシックに見せてくれています。

またパッチワークの構成色、「赤」を腕元でも拾っています。アイテムの構成要素が点在することで、目立つTシャツをより自然に着ているよう見せることをねらいました。また、時計はあえてなしでもよいかと。

なぜならこのTシャツ、装飾過多にだけは注意すべきだからです。白、紺、赤、ピンク。着ると上半身だけで4色も使われることになります。その上、さらにアクセサリーを盛ることは、華やかを通り越して、しつこくなってしまう恐れがあります。

そのため、今回この程度の装飾に留めました。もちろんブレスレットを腕時計に替えても問題なく素敵かと思います。まだ暑さ続く8月。一枚で簡単にサマになるTシャツが欲しい。そんな思いのもと歩いていた店先で筆者は「QBISM」を見つけました。

ご自身のワードローブと相談して、購入をご検討されてみてはいかがでしょうか。