メンズ・レディースを問わず、かなり浸透してきたビックシルエットのトレンド。このビッグシルエットによって、今まで、当たり前であった「サイズ」という概念が無くなりつつあります。
今までの服に対するアプローチの仕方としては、自分の身体の大まかなサイズを把握し、自分の体にピッタリ合うようなサイズの服を選ぶのが一般的でした。
しかし、ビッグシルエットのトレンドによって、「自分の身体に合ったサイズの服を選ぶ」のではなく、「自分がイメージする着こなしに合ったサイズの服を選ぶ」というアプローチが主流になってきています。
そういったファッションの大きな変化の中で、メンズでは珍しいワンサイズのみでアイテムを展開するブランドも登場し、「服のサイズに合わせて着こなしを考える」という、さらに新しいアプローチも生まれつつあります。
今回の記事では、ワンサイズ展開を行っている今期の大注目ブランド「アールエムギャング」のロングスリーブTシャツをご紹介させていただきます。
目次
「アールエムギャング」というブランドとは?
アールエムギャング(R.M GANG)というブランドは、スタイリストとして様々なファッション雑誌やパリコレクションのスタイリングを手掛けた経験を持つ「高橋ラムダ」という方が立ち上げたブランドで、今年の秋冬から始動しました。
ブランド名の“R.M”はRebel Modanist(反逆的近代主義者)の略で、“現代のパンク”をイメージしているそうです。高橋ラムダ氏自身が「今着たい」と思う全15型のアイテムを発表、しかも、全アイテムがワンサイズのワンカラー展開。
デザイナー自身が着たいモノというだけあって、サイズ感も高橋ラムダ氏自身の体型を主軸に構成しているそうです。全体的に、今のトレンドを組み込んで、オーバーサイズに作られているため、ワンサイズといいながらも、一般的な体格の方であれば十分に着られるアイテムが多いです。
会社を立ち上げず、個人でブランドを運営していくそうで、自身の気分に合わせて、気軽さを大事に続けていくそうです。こういったフラットなスタイルもすごく魅力的に感じてしまいます。
今を代表するスタイリストが手掛けるブランド、ぜひ、チェックしてみてください。
オーバーサイズのシルエット
上述したとおり、非常に珍しいスタイルで誕生したブランド「アールエムギャング」。今回の記事でご紹介するのは、ロングスリーブTシャツです。
まずはシルエットについて。上述したとおり、このブランドの今期のアイテムは、ビッグシルエットのトレンドを意識してオーバーサイズに作られており、こちらのTシャツも同様にオーバーサイズに作られています。
サイズ表記は「フリー」。詳細な寸法は、着丈:72cm、身幅:55cm、肩幅49cm、袖丈:62cm、袖幅:14cm。165cmの筆者にはかなり大きなサイズとなっています。特に、肩幅は広めなデザインになっていて、着用時には肩の位置が下がり、リラックス感が生まれるようになっています。
首回りもほどよくゆったりなクルーネック。この首回りのゆったり感とTシャツ全体のオーバーサイズのバランスが非常に重要で、この出来具合がコーディネートに与える余裕感・こなれ感を大きく左右します。
さすが、実力派スタイリストが出掛けるアイテム、非常に素晴らしいバランスに仕上がっています。
2枚のTシャツを使ったリアルなレイヤード
こちらのアイテムの一番のポイントは、黒の無地のロングTシャツとボーダーのロングTシャツの2枚を本当に重ねて作り出したリアルなレイヤードのデザインにあります。
上記の写真でもわかるように、表は黒無地、裏はボーダー地になっています。もちろん、ロングTシャツなので、素材は綿100%。2枚重ねているため、筆者の感覚的にはロングTシャツというよりはスウェットに近いような感覚で使用しています。防寒的にも、ロングTシャツとスウェットの中間といったところ。
ただし、2枚のロングTシャツを重ねているだけあって、一般的なロングTシャツと比べると少し重たいですね。
このTシャツの面白いところは、この2つのロングTシャツを衿と肩のみで縫い付けているということです。このデザインによって、袖や裾を自由に捲り上げることができる仕様になっています。着こなしに合わせてボーダーの見え具合を調整できるため、いろんな見せ方ができる非常に優れたアイテムとなっています。
このロングTシャツ、店頭に掛けられているのを見るだけでは、正直に言って、強い魅力を感じるものではありません。
しかし、一度着てみると、考え抜かれたデザインや首元のレイヤードのバランス、ボーダー幅の絶妙な太さに、驚くこと間違いなし!
袖を通して、その良さがわかる服に出会うと、作り手のこだわりに驚愕する気持ちと、この服の素晴らしさに袖を通さずとも気付くことができる能力を有していない自分を悔しく感じる気持ちが相まって、なんとも甘酸っぱい気持ちになります(笑)。
でも、こういう体験があるから、ファッションって楽しいんだよなぁ、と感じ入りました。
着こなしに合わせてボーダーの見え具合を調整できる
上述したとおり、こちらのロングスリーブTシャツは、袖や裾を自由に捲り上げることができる仕様になっているため、着こなしに合わせてボーダーの見え具合を調整することができます。
上記の写真のうち、左側のコーディネートはこのロングTシャツをシンプルに袖を通した着こなし、右側のコーディネートは袖と裾を適度に捲り上げてボーダーの見え具合を調整した着こなしになっています。それ以外のアイテムは同じものを使用していますが、両者を比較すると、かなり印象が違うことがわかるかと思います。
特に、右側のコーディネートでは、袖や裾をラフに捲り上げた感じが、いい具合にこなれ感を醸し出してくれるので、コーディネートがより洗練されてみえるかと思います。一見するとシンプルなロングTシャツですが、使い方によって見せ方を変えられる非常に面白い逸品です。
「サイズ」という固定概念を開放することで着こなしの幅がさらに広がる
アールエムギャングというブランドに出会って学んだ「服のサイズに合わせて着こなしを考える」という新しいアプローチ。
今までの筆者であれば服のサイズといえば「S」と決めて付けていましたが、この出会いを境に、服のサイズにこだわらなくなり、「サイズ」という固定概念を開放することによって、もっと自由に服を着ることができ、着こなしの幅も広げることができるということを、身をもって感じることができました。
そんな新しい感覚のブランドのオススメアイテムであるロングスリーブTシャツ、価格は2万1000円(+税)です。まだ、在庫があるサイトがありましたので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
特に、大人っぽさとストリートスタイルを両立させたいという方には非常にオススメなブランドです。