レインメーカーのシングルブレステッドライダースジャケットのお値段は16万3680円(税込)と大変高価です。しかし、試着した瞬間に「これだ!」と心を揺さぶられ、ついには購入にいたりました。感動の源泉について詳細にみていきましょう。
デザインについて
テーラードジャケットのデザインをベースに、ジップやスナップボタンにライダースジャケットのエッセンスが散りばめられています。
「分かっている」ブランドであれば、スーツの源流である3つボタンジャケットや格式の高いダブルブレストジャケットをベースにするものですが、レインメーカーも3つボタンジャケットを踏襲しています。そして左の襟、ラペル部分にジップがあり、右はラペル下にジップと、非対称、アシンメトリーなデザインになっています。


ジップを閉めるとライダースっぽい表情に。ボタンで留めると3つボタンジャケット。つまりジップとボタンの留め方で2つの顔を見せるようになっています。ライダースとテーラードジャケットのドッキングであれば、ダブルブレストが最適にように思えますが、おそらく、3つボタンジャケットもライダースもUKファッションに源流があるので、ファッションの文脈を考えて3つボタンに行きついたのだと思います。



ジップを締めてもジャケットディテールであるセンターベンツのおかげで座る際にも窮屈になりません。また、ジャケットとして着ても袖の付け根のライダースディテールで腕を動かしやすいので両者の自然なデザインの完璧な相互補完ができています。
サイズ感について

身長180cm、65kgの筆者は1番大きいサイズ5を選んでいます。このジャケットは素材の影響で袖丈のお直しができません。よってあらかじめ同ブランドのウールのジャケットよりも短めに作っているそうです。筆者が購入を決断したのはまさにこの部分で身長の割に腕が短く、いつも余りがちだった袖が今回測ったかのようにピッタリでした。袖は目立つ服の先端部分なので余ってしまうとジャケットのかっこよさを最大限引き出せない可能性があるので購入の場合は試着が必要です。
素材について

レザーはホースレザー、馬革です。ルイスレザーやドメスティックブランドのホースレザー製のライダースに袖を通したこともありますが硬過ぎました。その点、ラムレザーかと思うほど柔らかいです。これは鞣しの技術の賜物だそうで、ここでしかできないという職人に発注しているとのことです。
もちろん硬いレザーを使いながら徐々に馴染ませていく楽しみもありますが、せっかちな性格の筆者にはこちらの方が合っていました。オイルをたっぷり含んだこの革はメンテナンスもそこまでシビアではないようなので、嬉しい限りです。裏地はもちろん袖滑りが良く静電気の起きにくい定番のキュプラ100%です。ただ一つ、ジップが末端にあるわけではないので締めにくいです。試着して2時間ぐらい店で悩むぐらい価格は高いですが、感動できる服に出合えるのは人生で何度もないと思うのでこの体験が伝われば幸いです。