今年のトレンドアイテムのひとつ、サイドラインパンツ。ストリートファッションのニュアンスをコーディネートに反映できる上に、視線誘導で足長効果も図られる便利なアイテムです。
しかし市場に出回るサイドラインパンツの大半はジャージっぽいものであるため、“大人”が手に取るのは若干ためらわれます。そこで今回ご紹介するのは、希少なスラックスタイプのサイドラインパンツ。
価格も実にリーズナブルです。いくつか疑問点があり、必ずしも手放しで称賛できるわけではありませんが、それも含めて読者諸兄のご検討の一助になれば幸いです。
デザインはスラックスっぽいジャージ

商品名は「スラックス」となっていますし、筆者も冒頭で「スラックスタイプの」と表現しましたが、実のところスラックスと言うよりは「ジャージ」に近い作りです。
腰周りにベルトループはなく、ウエストは腰ひもで調整します。また、脚の部分にセンタープレスもありません。

ファスナーがついている点はスラックスらしいと言えますが、普通のスラックスであれば、その上についているはずのホックやボタンはありません。実際に着用してみると、なんとも不思議な感覚です。

しかしトップスをタックインして着ない限り、他の人が見てもまずわからないところです(実際のところ、タックインには不向きです)。写真は後ろから見た全景ですが、まず「スラックス」と言って差支えないビジュアルと言えます。
ゆるやかな腰周りと、テーパード不足な裾

このパンツは「テーパードパンツ」の名前の通り、腰周りはゆるやかなものの、裾に向かって細く絞られており、下半身のシルエットをきれいに見せることを目指して作られていることがわかります。
腰周りがゆるやかであっても、人の視線を集めやすい先端部分、つまり裾がキュッと締まっていれば、脚の中で最も細い部分である足首を強調することにつながり、結果としてスタイルがよく見えるのです。
しかしこのパンツ、その肝心の裾の絞り方が若干甘いのではないかと感じます。筆者が購入したLサイズの裾幅は18.5cm。Mサイズでも17.5cmです。
人にもよるとは思いますが、身長178cm体重64kgのやせ型の筆者の場合、裾幅は16cmくらいであれば「キュッとしている」と感じられますが、このパンツの裾幅だと、いささか中途半端に感じられました。

そこで筆者は、街の「お直し屋さん」にこのパンツを出して、裾幅を全周で5cm(幅で2.5cm)詰めてもらいました。これでちょうど16cmです。
「お直し屋さん」曰く、サイドラインがテープではなく布地で縫い込まれているため、これ以上詰めると、体のサイドにあるべきラインが体の前側に出て来てしまうらしく、詰める幅としては5cmが限界、とのことです。

こちらの写真(記事の一番上に載せているものと同じ)は「お直し」の前のもの。

そしてこちらは「お直し」後のものです。こうして並べて見比べると、「言われてみれば下の方が少し裾は細いかな」くらいな印象でしょうか。しかし実際に着用してみると、見え方が格段に変わります。
裾を詰めた方が、よりスタイル良く見えるのです。ほんの数センチの違いなのに不思議なものです。
なお、筆者がLサイズを選んだのは、ゾゾタウンの「サイズ詳細」によると、Lサイズでウエストが78cm、Mサイズで74cmという表記だったためです。実際は腰周りのゴムが伸びるため、+5cm程度は見ても問題ないかと思います。
なお、筆者は普段、ウエスト78cmのパンツを着用していますが、このアイテムのLサイズで特にゆるさもきつさも感じません。
高級感はないものの、普段使いしやすい生地

このパンツの素材は、ポリエステル65%、レーヨン35%。特にツヤ感があるわけではなく、スラックスとしての高級感のようなものはありません。が、シワになりにくいため、「ひざ裏にシワがたまって不快」といったことはないです。
また、裏返してネットに入れれば自宅での洗濯もOK。普段使いに適していると言えます。
ただ希望を言えば、伸縮性があればよりよかったな、と。この生地は「全く」と言っていいほどに伸縮性がありません。上述の通り、腰周りはゆるやかなので、下半身がパツパツする、というほどのことはないのですが、特に筆者は裾を詰めていることもあり、ひざを曲げ伸ばしすると、ひざ下がちょっと引っ張られるような感覚があります。
具体的には、イスに座る分には問題ないですが、居酒屋等で床(座布団)に足を折りたたんで座るような場合は、“突っ張り感”を感じやすいかもしれません。

後ろポケットのボタンは正直なところ、チープです。ただ上述の通り、タックインして履くのには不向きなパンツなので、カットソーやシャツで隠してしまうことを考えれば、特に問題ないかと思います。

サイドラインは、テープを貼り付けているのではなく、生地を縫い込んでいます。パンツの生地と同じものを色違いで使っており、違和感がなく馴染んでいます。
このパンツが生地自体に高級感はないものの、必ずしも安っぽく見えないのは、こういう作りの巧みさによるのかな、と感じます。

http://qq3q.biz/FUEs(画像2点共に)
ちなみに、色は3色展開。筆者が購入したグレー(ラインはブラック)の他に、ブラックとブラウン(共にラインはホワイト)があります。“高級ではない”生地感がパッと見でわかりにくいのはブラックでしょうし、秋らしさを感じられるのはブラウンでしょう。
しかし筆者は、白いラインの「ジャージっぽさ」を遠ざけたく、グレーを選びました。良し悪しではなく、好みや目指すコーディネートで選んでよいものと思います。ただ、写真で見る限り、ブラウンは色が浅い分、カジュアル感が強い印象です。
なお、生地について1点補足です。公式サイトの注意書きによると「この商品は色の特性上、直射日光や蛍光灯等に長時間あてますと変色することがありますのでご注意ください」とのこと。筆者は「変色」を実験しておりませんので実際のところはわかりませんが、念のためここに付記しておきます。
季節柄、サイズ選びにご注意を。
このパンツはMとLの2サイズ展開。上述の通り、ウエストはMとLで4cm違うのですが、腰周りをゴムと腰ひもで、ある程度は調整できます。
一方で、脚の長さについては、腰の位置でこれも多少は調整できるとはいえ、実際のところ不慣れな位置で腰ひもを結ぶわけにもいかないため、よりシビアに考える必要があります。
股上はMで28cm、Lで29cm。股下はMで64.5cm、Lで66.5cmです。どう履きたいか、によりますが、基本的にアンクル丈のパンツとはいえ、これから寒くなる季節に足首が露出しすぎるのもいかがなものかと思われます。
本来はここで、ゾゾタウンのモデルの着用画像を参考にしたいところですが、なぜかこのアイテムの場合、着用画像のせいで混乱が深まるのです。上掲の黄色いスウェットを着たモデルの身長は178cm。偶然にも筆者と同じです。
彼はMサイズを履いていますが、丈はクッションができそうなくらい長く見えます。
一方で、こちらの画像のモデルの身長は182cmで、Lサイズを着用とのこと。明らかに足首が露出し過ぎです。見るからにハイウエストな履き方をしていますが、ここまでずり上げて履くことは現実的にはないでしょう。そもそもこの上述の通り、このパンツでタックインはありえないと思います。
この画像は178cmのモデルがMサイズを着用しているとのことですが、筆者の実感としては、Lサイズでストレスのない腰位置で着用した場合、裾の位置がこれくらいです。
足の長さや履き方自体、そもそも個人差のあるものなので、論じても詮無いことかもしれませんが、少しでもご検討の一助になれば幸いです。
色々踏まえてもリーズナブルな佳品と言えるでしょう。
スラックスとしての作り、裾幅、生地感や生地の伸縮性、丈の長さと、色々とご意見申し上げましたが、そもそも定価4212円(税込)である点を考えると、なかなかによくできているな、というのが筆者の実感です。
しかも、ゾゾタウンでタイミングよくクーポンを活用することができれば、さらに1000円オフで購入できてしまうのです。筆者は裾の「お直し」に2300円ほどかかりましたが、それでも許容範囲と感じています。
希少なスラックスタイプのサイドラインパンツを1本持っておきたいという方には、オススメの選択肢のひとつです。
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