近年、ユニクロからエクストラファインメリノウールを使用したニットが発売されてから、ハイゲージニットが身近な存在となっています。今回はユニクロ以外のハイゲージニットとして最有力候補であるトゥモローランドのスーパーファインメリノウールクルーネックニットを紹介いたします。
素材について
ハイゲージニットといえば、いまではユニクロのお家芸ですが、トゥモローランドとの違いについて詳述していきましょう。まず違いは素材です。両者ともメリノウールという吸湿性と保温性が高く、ウールの中でも繊維が細かく、肌触りのいい高級な素材使用しています。
メリノとは羊の一種です。ウール糸の品質・ランクは、繊維の細さの単位であるマイクロンを目安として定められています。マイクロンによって、エクストラスーパーファインメリノ、エクストラファインメリノや、スーパー100’Sなどの表示が付きます。一般的な数値は下記の通りです。
・ストロングメリ／23～25マイクロン
・ミドルメリノ／20～22マイクロン
・ファインメリノ／20～21マイクロン
・エクストラファインメリノ／18.5～19.5マイクロン
・スーパー エクストラファインメリノ／17.5～16.5マイクロン
数値が小さいほど繊維が細く、上質で肌触りもよく、滑らかな生地です。ちなみに高級素材といわれるカシミアはさらに細い13〜14マイクロン程度。ユニクロのエクストラファインメリノウールよりもトゥモローランドのスーパーファインメリノウールは、より細く高級な生地を使用していることがわかります。
では、細く高級な生地を使用しているとどうなるのか？ 糸の繊維が細ければ細いほどツヤが出ます。そしてツヤが出れば出るほど光沢が生まれ、ドレスライクな印象になります。
※ドレスとカジュアルに関する記述はこちら→ goo.gl/szFeFA
スーパーファインメリノウールはこの写真からもわかるとおり、きめ細やかな細い繊維とツヤが特徴的な素材で、生地の質感の柔らかさ、繊細さ、そしてハイゲージニット特有の強い光沢があります。着用時には、ウールにありがちな肌に触れる部分のチクチクを懸念する必要もありません。
また、洗濯については下記のとおり。ユニクロがウォッシャブルである一方、家庭の洗濯機での洗浄は推奨されていません。ドライクリーニングをオススメいたします。
細かな点に配慮されたデザイン
基本的には、オーソドックスな無地のクルーネックハイゲージニットという点でユニクロと共通です。ただし、細かい点で両者は異なります。ユニクロはMサイズ、トゥモローランドはSサイズ（アメリカサイズ表記のため日本のMサイズ相当）を用いて比較しました。サイズはXS/S/M/Lの4サイズ展開です。
襟ぐりはトゥモローランドの方が大きく取られています、対してユニクロは少し詰まった印象。そのためわずかにトゥモローランドの方が首元にゆとりを感じるような造りになっています。
続いて、生地感と裾のリブについて。裾のリブ幅は、ユニクロがトゥモローランドよりも約2倍程度の幅を取っています。リブの面積が広くなると着圧がより強くかかるためフィット感が増す一方で、裾が上がってきてしまい、冬場のニット着用にありがちなポッコリとお腹が出たように見えてしまう現象が発生します。
その点、トゥモローランドのニットはリブの圧力がユニクロと比較すると緩めに作られていて、ウエストを締め付けることなく、上にずり上がってくるといった心配が軽減されました。
サイズ感についてはアームホールの太さや袖丈についてはほぼ同等、身幅は2～3㎝程度トゥモローランドの方がゆったりとした造りです。これによりインナーにシャツを着こんだ際の着ぶくれを防ぐことにもつながります。
カラー展開
こちらは両者とも豊富です。ユニクロは全12色展開、トゥモローランドはライトグレー・ブラック・イエロー・ピンク・ダークブラウン・ダークグリーン・ライトブルー・ダークブルー・ネイビーの全9色。ベーシックなカラーはもちろんですが、ユニクロでは展開していないイエローとピンクがあります。
筆者はトゥモローランドで購入する以上はユニクロにはないカラーこそ選ぶべきだと考えます。スーパーファインメリノウールの持つ強い光沢や高級感のある質感がドレス要素である一方で、ビビッドカラーであるイエローやピンクはカジュアルで子供っぽい印象を与えます。
カラーはカジュアルなイエローでも、素材は高級感のあるニットなのでハイブリッドなアイテムとして成立します。次に装飾性がトレンドである現在においてはアクセントカラーとして差し色に使用できるので、コーディネートの脱地味に一役買ってくれるからです。
汎用性が求められるユニクロにない色こそ、他ブランドが誇るべき優位性なのです。価格は1万8360円（税込）。
