本当に透けないインナーとは?ユニクロとグンゼを買って比較してみた。

突然ですが、皆さんワイシャツの下に着る下着はどうされていますか。

VネックTシャツ派、ランニングシャツ派、下着着ない派など、皆さん色々こだわりがあるかと思います。下着を着る方はワイシャツから下着が透けてしまうことが気になったことはないでしょうか。

下着を着ない方は、特に夏には汗を書いたときにシャツが肌に張り付いて気持ち悪い、胸毛や乳首が透けて見えてしまうなど、残念な体験があるでしょう。

今回はこのような問題を解決してくれる透けない下着=ステルス下着の代表であるエアリズムシームレスVネックTとグンゼSEEKを紹介するとともに、両者を比較します。

見えない下着の元祖グンゼSEEKのステルス性能

ステルス下着を紹介する前に、ステルスではない通常の下着がどの程度透けるのか、白のワイシャツの下に3種類の下着を着た例でご紹介します。

着用しているワイシャツは全てユニクロの(+J)スリムフィットシャツです。

まず一つ目です。上の写真は、ワイシャツの下にVネックの白Tシャツを着たときのものです。白いシャツだから白い下着は見えにくいだろうと思う方も多いでしょう。

しかし、この写真の通りワイシャツの下の白Tシャツはかなり目立ちます。

2つ目は、黒のタンクトップです。白Tシャツより目立たないものの、こちらも透けて見えてしまいます。

それでは何色なら透けないのでしょうか。それは肌色です。

理論上、自分の肌と全く同じ色であれば、透けたとしても肌なのか下着なのか見分けることはできませんので、「透ける」ことはありえないわけです。
理論?http://www.neqwsnet-japan.info/?p=7490

ユニクロのエアリズムVネックTのベージュ(=肌色)を着たときの写真です。

白、黒よりは目立ちませんが、Vネックの形が見えています。

これは、色が透けているのではなく、Vネックの部分の折り返しの縫い目=リブが他の部分よりも厚みがあることで、その形状が立体的に浮き立って見えてしまっているのです。

ここまで3種類の下着をワイシャツ下に着用している写真をご覧いただきました。

ここまでくるとワイシャツの下に着て透けない下着なんてあるのかなと思う方も多いでしょう。

それがあるんです。

透けない下着を捜し求めるメンズたちを救うべく颯爽と登場したGUNZEのSEEKがその透けない下着です。

なぜ透けないのか。まず色は肌色ですので、色による透けはありません。

それではネック部分の厚みはどうするのか。その答えがカットオフ®というグンゼの独自技術です。

カットオフ®とはそのまま日本語にしたとおり、切りっぱなしという意味です。

普通の布はハサミでカットした部分はほつれてしまいますので、このほつれを防止するために折り返して縫製しています。その部分が厚みを持つためワイシャツに浮き上がってしまいます。

それに対しSEEKでは切りっぱなしでもほつれない特殊な加工技術を使っていて、切れ目はほつれてきません。

グンゼSEEKの首元の写真です。端の部分が切りっぱなしになっていて厚みがありません。

こちらがワイシャツの下にSEEKを着用したときのアップ写真です。

下着がほとんど透けていません。下着を着ていると言われてじっくり見ると何となく見えるレベルです。

これならば下着透けを気にすることなくおしゃれを楽しむことができます。SEEKの登場は下着透け問題に悩むメンズにとって大きな朗報でした。

ユニクロのシームレス下着エアリズムシームレス

しかし、このSEEKにも難点があります。

それは価格。SEEKシリーズは様々なラインナップがありますが、安いものでも3000円ほど。

ユニクロのTシャツなら高品質のものが3枚セットで1000円程度で購入できるにもかかわらず、下着1枚3000円ですから、割高感があるでしょう。

ファストファッションから類似の商品が出ないものか心待ちにしていたところ、2016年2月にユニクロからエアリズムシームレスがSEEKの半額の1500円(税抜)で発売されました。

ユニクロからエアリズムシームレスの首周りの写真です。

シームレスとは継ぎ目のない、縫い目のないという意味の英語で、その名の通り首周りはSEEKと同様に切りっぱなしであり、縫い目がないために厚みがありません。

エアリズムシームレスをワイシャツの下に着た状態です。SEEKと同様にほとんど透けていません。

ワイシャツの下の下着が透けないというステルス性能については、両者とも同じくほとんど透けがなく、互角の性能です。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

ここで補足です。グンゼとユニクロでは商品の色にかなりの違いがあります。

肌の色との違いが少ないほうがよりステルス性能が高いことになります。筆者の肌と比較した写真を掲載します。

左がグンゼ、右がユニクロです。グンゼのほうが色が濃く、ユニクロは明るめのベージュです。

筆者の肌にはユニクロの色味のほうが近いためより透けが少ないと言えます。しかし、肌の色は個人差がありますので、本レビューでは両商品の色の違いは性能比較には含めないことにします。

ネックの形状によってはその上に着る服からはみ出さないのか、気になる読者もいらっしゃるかと思います。両者ともに深めのVネックなのでワイシャツの第2ボタンまで外しても下着が見えることはありません。

ただし、たとえば首の空き部分が横に広いボートネックのTシャツの下にこれらの下着を着ると、両方とも肩の部分がTシャツからはみ出します。

このような場合、はみ出す部分をカットすることで見えない状態にすることができます。両商品ともカットした部分から型くずれを起こさない特殊な素材を使っているためカット部からほどけてくることはありません。

ただし、カット作業はあくまでも自己責任で実施していただきたくお願いします。

下着としての性能比較

ステルス性能比較はここで終了し、ここからは両商品のパーツ説明と、下着としての性能比較をしていきます。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

まず、全体の比較です。左がグンゼSEEK サイズM、右がユニクロシームレス サイズSです(以下、同様に左がグンゼSEEKです)。

色の違いがありますが全体を遠目に見るとそれほど大きな違いはありません。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

袖は、左のグンゼSEEK、ユニクロシームレス ともに端は切りっぱなしです。袖も短めで、上に半袖シャツを着てもはみ出さないように工夫されています。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

裾については、左のグンゼSEEKは切りっぱなしです。一方のユニクロシームレスは裾部分は切りっぱなしではなく縫込みがあります。

裾部分が上に着ているシャツなどに浮き上がるケースは考えにくく、実質的には着心地以外には差はありません。

筆者は裾の縫込みを不快に感じたことはないため、切りっぱなしか縫込みかの違いは実質的にはありません。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

タグについては両者に違いがあります。

グンゼSEEKにはタグは付いておらず転写プリントラベルにより文字・図が印刷されています。ユニクロシームレスには普通の商品ダクが左下横についています。

グンゼはタグが肌に当たったときのチクチクする不快感を感じにくいプリントラベルを採用しており、SEEKシリーズへのこだわりを感じます。

ただし、筆者はちょうどユニクロシームレスのタグ部分はパンツに当たる部分であり、タグが肌に当たることはないため、両者に使用感の差はありません。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

脇の下部分を撮影した画像です。両商品ともに袖の下部分には縫い目があります。

しかし、左のグンゼSEEKは両サイドに縫い目がありません。これは、ボディ部分の生地がチューブ形状に編み上げられているため複数の布を縫い合わせる必要性がないためです。

通常、Tシャツは前部分と後部分の生地を両サイドで縫い合わせてチューブ形状を構成します。

ユニクロシームレスはこの方法で縫われており、両サイドに縫い目があります。縫い目が体に当たることによる不快感を低減したいと考えるグンゼの並々ならぬこだわりを感じます。

ただしユニクロシームレスの縫い目も身体に当たる裏側部分は4mmと細く、また丸みを帯びていて手触りも柔らかくするなど、縫い目が身体に触れる感覚を低減させるための工夫が見られます。

ただユニクロシームレスはまれに縫い目を感じることがあります。グンゼSEEKはそもそも縫い目がないため、縫い目による不快感は一切ありません。

両サイドの縫い目の着心地については、グンゼSEEKが勝ります。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

袖部分の縫い目を肌に直接接する内側から比較してみましょう。

左のグンゼSEEKは肩の上部分はフラットな縫い目、袖の付け根部分は両側の生地を縫い合わせて縫い代を寝かせた構造になっています。ユニクロシームレスは両サイドと同じ縫い目になっています。

袖部分の縫い目の身体への接触感については、ユニクロのほうが接触感が少なく、不快感が小さいです。

(グンゼ)                  (ユニクロ)

それぞれの素材は、写真左のグンゼSEEKは綿55%、ポリエステル35%、ポリウレタン10%で、ユニクロシームレスは、ナイロン84%、ポリウレタン16%です。

両者とも普通のTシャツ生地よりも生地が薄く、なかでもユニクロシームレスはかなり薄い生地です。

触感は、グンゼSEEKがゴワゴワ・ザラザラしている感じなのに対し、ユニクロシームレスはサラサラした感じです。

ただし、シームレスは生地のキメが粗いため、通常のエアリズムほどのスベスベ感はありません。

グンゼSEEKのゴワゴワに対し、ユニクロシームレスはサラサラな触り心地であり、筆者はユニクロが好みですが、その差は僅差ですので、触感についてはほぼ同じ評価とします。

夏場、汗をかくと、通気性が低い生地の場合、身体と下着の間に湿気がこもってしまいある種サウナのような状態となり不快です。

この意味でここでは両商品の通気性を比較します。先の写真のようにユニクロシームレスの生地は、表面に多数の穴が開いているような素材になっています。なおかつ生地が薄いため、その穴を空気が通過しやすく、高い通気性があります。

グンゼSEEK生地は、ユニクロに比べ表面の生地の目が詰まっています。また生地が厚く、目の間を空気が通り抜けにくい状態であり、ユニクロと比べると通気性は低くなっています。

下着には汗を吸いとるという役割があります。特に高温多湿の日本の夏場はこの吸水性の高さが必須でしょう。

吸水性には、吸水スピードと吸水量という2つの要素がありますので、その両者を比較してみましょう。

吸水スピードは、グンゼSEEKが早く、ユニクロシームレスが遅いです。試しに両者に水をかけたところ、グンゼSEEKはすぐに水が生地に浸透し始めましたが、ユニクロシームレスは生地表面が水を弾き浸透し始めるまでに時間がかかりました。

吸水量はグンゼSEEKがユニクロシームレスより高いです。実際に実験してみたところグンゼSEEKは250cc 、ユニクロシームレスは150ccの水分を吸い上げることが可能でした。

ユニクロシームレスの主素材はナイロンでありナイロンは水を吸わない素材です。グンゼSEEKは綿とポリエステル、ポリウレタンの混合素材であり特に綿は水分を吸収しやすい素材です。

素材から考えてもグンゼSEEKが吸水スピード、吸水量ともに高いのは妥当なところです。

汗をかいたとき、その汗がすぐに乾けばいいのですが、なかなか乾かず生乾きの状態が続くと不快です。そこで、両者の速乾性を比較してみましょう。

筆者の経験上、グンゼSEEKは汗を吸い込むスピードは早いものの、一度水分を含むと乾くまでに時間がかかります。またユニクロシームレスはその逆で、汗を吸い込むスピードは遅いが、水分が乾くのは速いです。

両者を洗濯して2時間部屋干しし、乾燥スピードの比較を行いました。グンゼSEEKは上半分はかなり乾いていますが下の部分はまだ着用をためらうレベルで水分を含んでいます。ユニクロエアリズムは2時間でそのまま着られるレベルのほぼ乾燥状態となりました。

吸水性ではグンゼSEEK、速乾性ではユニクロシームレスにそれぞれ軍配が上がります。

それでは日本の夏をより快適に過ごすには、どちらがより適しているでしょうか。

肌の表面が汗で濡れる程度の汗の量で比較すると、グンゼSEEKは汗をかいたらすぐに下着が汗を吸い取ります。少し汗をかいた程度では汗をかいた実感もないぐらいです。

ただし汗の量が多めになると汗は吸い取ってくれるものの乾くスピードが遅くその間はあまり快適ではありません。ユニクロシームレスは汗の吸い込みはじめの速度は遅いもののしばらくすると汗を吸い取ってくれ、そこから乾燥するまでが速いです。

もう少し汗をかくと汗を吸い込みきれず肌にも水分が残ってしまいます。

このように吸水性、速乾性の比較では両者それぞれに一長一短があります。グンゼSEEKの方が吸水力が高く、肌の表面に汗が残ることが少ないため、不快な時間は短いといえ、どちらかといえばグンゼSEEKのほうが優勢です。

ステルス下着対決の勝者は?!

今までの比較をまとめますと次のようになります。

この比較結果を見るとグンゼがやや有利なように見えます。しかし、両者には大きな価格差が有ります。

グンゼSEEKのカットオフ®ドライフィールは3000円(税抜)、ユニクロエアリズムシームレスVネックTは1500円(税抜)で、それらの価格は2倍の開きがあります。

この性能差と価格差をどのように評価するかで、各人それぞれで評価結果は分かれるでしょう。

筆者は、この程度の性能差であれば、価格が半額のユニクロエアリズムシームレスVネックTを選択します。下着は消耗品ですから、ある程度の数が必要になります。

グンゼ1着の価格でユニクロは2着購入できるわけですから、この価格差は大きいです。仮の話になりますが、グンゼSEEKが2000円で購入できるのであれば、評価は逆転し、こちらを選ぶ可能性が高いです。

ステルス下着を持っておらず何か試したいという方には、ユニクロエアリズムシームレスVネックTがオススメです。

まずユニクロから購入し、しばらく使用していく中で不満点が大きい場合はグンゼSEEKを試してみる、このような購入方法をオススメします。

※本記事で比較したSEEKは数年前に入手したものであり、2017年7月26日にグンゼのホームページで調べたところ同じ製品はみあたらなかった。筆者所有のSEEKの素材の混合率は現行のカットオフ®ドライフィールと同じであるため、こちらが後継アイテムとみなせる。現行品には脇パッドがあるものの、筆者所有のものには脇パッドはついていない。

バラバシ

この記事を書いた人

バラバシ

身長165cm 体重58kg 靴24.5cm

イタリア的なファッションに惹かれつつもフランスもいいなとか多方面に手を出し被服費が家計を圧迫気味。最近はネイビーのアイテムに目がない。足が小さく服屋さんの靴ではサイズが合わないことが最近の悩み。