抜群の肌触りを1万円で実現したユニクロのカシミアVネックセーター

メンズファッションのトレンドは、おおざっぱに言えば「地味こそがオシャレ」とされた「ノームコア」から、今はその反動で、“脱地味”へとシフトしています。この「服ログ」でも、素材や柄、色、シルエットといった様々なアプローチで“脱地味”できるアイテムが紹介されています。

そんな中、本稿でご紹介するのは、実に“地味”なセーターです。まさに基本。しかしこれぞ王道。ベーシックなアイテムを世界一のコストパフォーマンスで提供するユニクロの底力を、あらためて思い知らされる逸品です。

生地のポイントは暖かさより心地よさ

このセーターの最大の特徴は、言うまでもなく高級素材のカシミア100%で作られている点です。カシミアの魅力は、オシャレの観点からは凹凸の少ない上品な風合い、そして機能の観点からは、軽さと保温性の高さが挙げられます。

実のところ、保温性の高さだけに着目すれば、必ずしも十全とは言えません。筆者は先日、ひと足早く冬が訪れている北国で着用しましたが、ユニクロのヒートテックを下に着込んでいても、正直なところ「十分暖かかった」とは言えません。

保温性については、ウールや化繊でも厚いものを選んだり、着こなしを考えたりすることで、どうにでも確保できます。

しかし、シャツの上に1枚着るだけで得られる大人っぽさ、そして何より、着ている自分自身が触れていて安心感を得られる“着心地の良さ”は、他の素材にはないものです。

実際に、ユニクロ公式ウェブサイトのレビューを見ていても、暖かさよりも着心地の良さを評価する声が圧倒的に多いのです。

ケアは慎重を要します。“上級者”の中には自宅で手洗いをされる方もいらっしゃるようですが、原則は洗濯表示タグにもある通り、ドライクリーニングです。

なお、これも洗濯表示タグにも記載がありますが、「毛玉になりやすい」のが困ったところ。筆者はこのセーターを仕事着にしているのですが、PCの使用に際して両腕の袖口とデスクが頻繁に摩擦してしまっているらしく、気づけば細かい毛玉がたくさんできていました。どうやらデスクワークには不向きなようです。

安心感あふれる丁寧なディテール

このセーターのデザインは、とことんベーシック。乱暴に言えば「特徴がないのが特徴」。しかしそれは決して“平凡”であることを意味しません。

むしろ、徹底的なベーシックであるがゆえに、自分自身の身体的特徴を浮き彫りにされてしまい、ごまかしがきかない、という恐るべきデザインです。なにせ膨大な数の顧客を抱えるユニクロが、毎年ミリ単位で調整を続けているアイテムなのです。

サイズはXSから4XLまでの8段階。“自分の目指す着こなしに合わせたサイズ”を選択できるラインナップです。

首元の深さ(背中側の生地の一番上から、首元のV字の最下部まで)ひとつとっても、サイズごとに寸法が異なります。XSとSで16cm、Mで16.5cm、Lで17cm、XLで17.5cm、XXLで18cm、3XLと4XLで18.5cm。

なお、身長178cm体重64kgの細身である筆者は、奇をてらうことなくジャストサイズで着ることを目指してLサイズを選びました。
※ニット系のアイテムを選ぶ際は、同じブランドのシャツで着るサイズのひとつ上を選ぶとちょうどよいことが多いです。筆者はユニクロのシャツはでMサイズでほぼぴったりです。

首元の開き方は、下に着たシャツ(ユニクロの「ファインクロスシャツ」Mサイズ、以下同じ)の第2ボタンまでが見えるくらいです。

アームホールは細め。下にシャツを着ても一切たるみがなく、それでいて窮屈感もなく、心地よいくらいにフィットします。

袖丈はXSで57.5cm、Sで59cm、Mで61cm、Lで62.5cm、XLで64cm、XXLと3XLと4XLがどれも65cm。筆者の場合、腕を下ろした時に手首が全て隠れ、手の甲に先端がややかかるかな、という程度の長さです。

袖口はリブになっていますが、これも締め付け感はなく、程よいゆるさ。シャツの袖口に寄り添うようなフィット感です。

裾もまた袖口と同様にリブになっていますが、これまた袖口と同様にゆるめで、締め付け感はありません。一般的に、リブになっているニットの裾は動くたびにずり上がってくる傾向がありますが、このセーターの場合、よほど上下させない限りは大丈夫です。

なお、身丈はXSで59cm、Sで61cm、Mで64cm、Lで67cm、XLで70cm、XXLで73cm、3XLで74cm、4XLで75cm。筆者の場合、スラックスの上2割が隠れる程度です。

そんなわけで、総じて生地の触感同様に、サイズ的にもストレスのない着心地の良さが確保されています。これは着ている本人の実感だけでなく、見え方においても、良くも悪くも“違和感”のない姿に仕上がっていると思われます。

自分自身の身体の標準との距離を測られるシルエット

続いてシルエットについて。これもデザインと同様に、実にベーシックな形です。そのため、自身の体型と否応なく向き合うことになります。筆者の場合は上半身が細身なので、Lサイズだと身幅だけは少しゆとりがあります。

ただ、上述の通りリブになっている裾がきちんと締まっているため、ゆったり感があるようには見えないと思います。

身幅のサイズはXSで44cm、Sで47cm、Mで50cm、Lで53cm、XLで57cm、XXLで61cm、3XLで65cm、4XLで69cmです。

肩幅はXSで36.5cm、Sで38cm、Mで39.5cm、Lで41cm、XLで43cm、XXLで45cm、3XLで47cm、4XLで49cm。

筆者はLサイズで、肩の位置はほぼジャストサイズです。もしオーバーサイズ気味に着るのであれば、普段着ているシャツよりも3サイズくらいアップした方が、わかりやすく大き目のシルエットを作ることができそうです。

11色から最適な色を選ぼう


03 GRAY


08 DARK GRAY


09 BLACK


11 PINK


18 WINE


33 KHAKI


35 BROWN


58 DARK GREEN


62 BLUE


67 BLUE


69 NAVY
https://goo.gl/zd8MDB

このセーター、11色という選択肢が用意されていますが、いずれもくすんだ色味である点が、ある意味“大人っぽい”とも言えますし、正直“地味”でもあります。

そんな中で、筆者が選んだのもまた、ことさら地味な「33 KHAKI」。意図としては、「少しでも地味を避けるためにモノトーン以外で合わせやすいもの」、ということで選んでみたのですが、いざ着てみると、カシミアの存在感が、良くも悪くもコーディネートの印象に強く影響することを実感しています。

つまり、この“地味”なセーターのおかげで“安定感”抜群のコーディネートができあがってしまうのです。

今にして思えば、いっそ「03 GRAY」や「09 BLACK」のように色もベーシックなモノトーンを選択して、ボトムスや中に入れるシャツで調整した方が着回しがしやすかったかもしれません。

または、明るい「62 BLUE」や黒と好相性な「18 WINE」、ダークトーンな「11 PINK」といった、単体で地味になり過ぎない色を選ぶ手もあったとも考えられます。

「33 KHAKI」や「35 BROWN」、「58 DARK GREEN」といった暗めの色が、“オシャレ”を成立させる上では一番難しいように思います。手持ちのアイテムとの相性次第ではありますが、とにかく服は単体の好みだけではなく、コーディネートを踏まえて選択すべき、という基礎基本の大切さをあらためて実感しました。

そんなわけで、抜群に着心地が良いだけでなく、自分自身の洋服との向き合い方を考えさせられるこのセーター。ワードローブに1枚あれば、安心この上ないアイテムです。

9990円(+税)はユニクロの中では相当な高額商品ですが、他店のカシミアニットと比べれば、概ね半額以下です。これまで手に取ることなくスルーされていた方も、一度試着してみることをオススメします。

ユニクロ2017秋冬まとめはこちら↓

【11/26更新】2017秋冬ユニクロおすすめメンズアイテムを買ってレビュー【全18点】

2017.11.26
EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。