全体的に色落ちしており、ところどころに穴やほつれのあるダメージデニムは、およそ“クリーン”という言葉とは真逆の印象のアイテム。きれいめで大人っぽい着こなしを目指す方は敬遠しがちではないでしょうか。まさに筆者がそういうタイプでしたが、このジーンズを着用してみた率直な実感は「きれいめなトップスを際立たせるジーンズ」というものです。
時を重ねた古着のような風合いのジーンズとの対比効果で、ツヤ感のあるトップスの大人っぽさがより際立つのです。ただ、ダメージデニムであれば何でもOKかと言うと、決してそうではないと思います。このジーンズだからこそオススメできるというポイントを、詳細に解説します。
不自然さとネガティブな印象を巧みに回避したデザイン
ダメージデニムと言えば、どうしても穴の空いている部分に目が行きがちです。しかし、本来的には「使い込みすぎてところどころに穴が開いてしまった」という、時の積み重ねを感じさせるところに魅力があります。このジーンズは、まさに「使い込まれた」ように自然な色落ちを演出している点がポイントです。メンズファッションにおいて、“作為的”であることは基本的に歓迎されません。
「ダメージデニム メンズ」「クラッシュデニム メンズ」といったワードでネット検索してみると、色落ちの仕方や穴の空き方が極端な印象のものが少なくありません。その点、ユニクロのこのジーンズは、ナチュラルな時間経過を思わせる印象になっているのです。
色落ちに加えて、写真では若干見えづらいですが、生地の縫い目をよく見ると“パッカリング”と呼ばれる縫い縮みが見られます。きれいめなシャツ等におけるパッカリングは望ましくないものですが、このようなダメージデニムにおいては、むしろ時の積み重ねを感じさせる点で、好ましいディテールとされています。
そして肝心の“ダメージ”の部分ですが、左右の前面に大小複数あるものの、いずれも穴が突き抜けていません。
裏返してみると、わざわざ当て布までして“貫通”を防いでいることがわかりました。ダメージデニムは穴が空くことで、地肌が見えるものも少なくないのですが、それによって「だらしない」という印象をより強めがちです。ネットの声を拾うと「すね毛が見えるのは清潔感に欠ける」といったものもありました。こうしたネガティブな印象になることを徹底して回避するために、手間がかけられています。
後ろ側を見ると、膝裏に「ハチノス」と呼ばれる多角形状の色落ちがあります。ただ、筆者の脚の長さの問題かもしれませんが、実際の膝裏よりもやや高いところにあるのですが。
裾まで丁寧にダメージ加工されています。ユニクロのジーンズは裾上げを要するものも少なくないのですが、このジーンズに限って言えば、裾上げをしなくても履ける程度に、やや短めに作られていると感じます。裾上げしてしまうと、この加工感が損なわれてしまうので、できるだけ裾上げせずに履きたいところです。
トップスをタックインしない限り、人から見える部分ではないのですが、ボタンやリベットといった金属パーツも、ビンテージ感のあるマットなシルバーカラーです。よくよく見ると表面に傷が入っているようになっていて、これもナチュラルな時間経過を思わせる演出と言えます。
スタイルが抜群に見えるシルエット
これまでデザイン面において「ダメージデニムでありながら、ネガティブな印象を回避している」ことをご説明してきましたが、今度はポジティブなポイントをご紹介します。このジーンズの一番の魅力は、脚長でスタイルが良く見えるシルエットにあります。
商品名にある「スキニーフィット」という言葉の通り、良くも悪くも脚の形がしっかりと出てしまうほどに、脚にしっかりフィットするスキニータイプのジーンズ。下半身が太すぎる方は試着の上で判断された方が無難かもしれませんが、多少の太さであれば大きめのトップスの裾でごまかすこともできるのではないでしょうか。
ウエスト79cmの筆者が選んだサイズは「31」で、裾幅は15cm。視線が集中する裾の部分もしっかり細くなっています。
後ろのポケットにもひと工夫があります。それはポケットそのもののデザインではなく、ポケットの位置。やや高めにつけることによって、尻の位置が高く見せるように視線を誘導してあります。それによって、“脚長”に見えるように錯覚させてくれるのです。
上述の通り、加工感のある裾なので、カットしての裾上げは推奨しません。なお、ロールアップしても違和感ない作りになっています。
不快感を低減してくれる生地
世界的なデニムメーカーのカイハラ社とユニクロで共同開発したという生地は、ホンモノのデニムでありながら、ストレッチ性が抜群。スキニーフィットシルエットでありながら、腰やふとももにストレスなく寄り添うため、長時間履いていてもストレスを感じにくくなっています。
先ほど裏地に当て布がついている旨をご紹介しましたが、特にその部分がごわついたり違和感になったりすることもなく、肌当たりは総じて快適です。
また、スキニージーンズは伸縮を繰り返す膝部分が伸びてしまう“膝抜け”がどうしても起こりがちですが、ユニクロの公式サイトによると、生地の仕立てで膝抜けしにくい作りを目指しているとのこと。筆者はまだ長期間履いているので実感はできませんが、少なくとも着用している実感として、シルエットが崩れるようなことは今のところありません。
ケアに際しては、普通に洗濯機で洗ってしまえばOKですが、ダメージ部分が他の衣服と引っかからないように、裏返して洗うことをオススメします。しっかりシワを伸ばして干せば、アイロン不要でそのまま着用可能です。
カラバリはブルーカラー1択
このジーンズのカラーは、ユニクロ表記で「64 BLUE」の1色のみです。
価格は3990円(+税)。ウルトラストレッチスキニーフィットジーンズは、この「ダメージ」タイプ以外に、無地のノーマルタイプもあるのですが、価格は同じです。つまりダメージ加工の費用が無料、という謎のお得感がある商品なのです。
本記事を執筆している2020年5月20日現在、オンラインストアでは、特に大きめおよび小さめのサイズが欠けています。筆者が確認した限り、店舗で購入できるサイズもありました。オンラインストアの在庫復活の可能性もありますが、気になるようであれば、お早めの購入をオススメします。