ユニクロのデニムスリムフィットシャツは淡色の63BLUEがオススメ

冬のメンズファッションは、コートを筆頭に多くのアイテムがダークトーンな色遣いで、ともすればドレス寄りなコーディネートになりがち。ともすれば、バランスをとるために「いかにカジュアルダウンするか」が課題になります。

そこで本稿では、“カジュアル”の代名詞ともいうべきデニムのシャツをご紹介します。秋冬のインナーとしてなにかと使い勝手がよいアイテムです。
※ドレスとは? こちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

“ユニクロ感”のない細身のシルエット

ユニクロのシャツはしばしば「万人向けなのでサイズ感がゆるい」と批判されがちですが、「スリムフィット」と名のつくこちらのシャツは、文字通り細身。とはいえ「細すぎて着る人を選ぶ」ほどには細くないのがさすがのユニクロです。

ユニクロの通常版の「デニムシャツ」と、この「デニムスリムフィットシャツ」を数字で比較します。Mサイズの場合、肩幅は通常版が45.5cm、スリム版は44.5cm。身幅は通常版が54cm、スリム版は52.5cm。袖丈は通常版が60cm、スリム版が62cmです。

肩幅と身幅はそれぞれ1~1.5cmスリム版が細いのですが、袖丈はスリム版の方が2cm長くなっています。しかし筆者が羽織ると、どちらの袖も、両腕を下した時に同じように手首が全て隠れる程度。サイズの違いを感じません。数字が違うのに長さが同じくらいになるのは、理屈の上では不思議です。

しかしこの不思議は、着てみれば納得します。通常版は袖の短さを身幅で補っているのです。つまり、身幅があるということは、袖の始点である脇の下が手首に近いということ。その分、袖自体が短くても帳尻は合うのです。

ともあれ、スリム版は通常版よりも身幅が細く、腕が長い作り。数字上はたかだか1~2cmの違いですが、実際に着てみると、この違いは大きいと感じます。単体としてのシルエットの美しさだけでなく、ニット等を重ね着した時のごわつき感のなさを実感できるからです。

“デニム”らしからぬ柔らかで風合いのよい生地

このシャツの生地は「デニムシャツ」と言っても、ジーンズのように厚手ではなく、ごわつき感は皆無。柔らかな風合いです。襟や肩、前立て、手首、裾といった、生地の縫い目の“段差”がある部分にインディゴの染色ムラができていて、それがデニムシャツらしい表情を作っています。

色はユニクロ表記で「63BLUE」「65BLUE」「68BLUE」の3色展開。筆者はこのデニムシャツをコーディネートにおける“カジュアルダウン”に活用することを目的としているため、デニムらしい色と生地感を強調すべく、一番薄い色の「63BLUE」を選びました。

なお、単体できれいめに着るのであれば「65BLUE」か「68BLUE」の濃いめのブルーの方がよいかもしれません。特に「68BLUE」はボタンの色も生地の色に合わせており、よりドレス感があります。ただ、遠目には一見してネイビーカラーのオックスフォードシャツと違いがわからないかも、という気もします。

シンプルな中に遊び心が散りばめられたデザイン

続いてデザインについてです。全体的に、とってつけたような嘘くさいデザインを排するシンプルなデザインを志向する一方で、アイテムの歴史的文脈に基づく“本物感”を加えようという姿勢が感じられます。

そんな中で、ボタンには注目したいところ。特にシンプルなデザインの中では、ボタンが相対的に大きな存在感を発揮します。そして最近のユニクロのボタンは、本当によくできているのです。

プラスチック製ではありますが、高級シャツに使われる貝ボタンを意識したツヤ感があります。のっぺりとした「いかにもプラスチック」というチープ感がありません。

裾はゆるくラウンドカットで、パンツの外に出してもタックインしても大丈夫な仕様です。着丈はMサイズで74cmと、ユニクロのシャツでは標準的な長さですが、世の中一般のシャツと比べると、やや長め。身長178cmの筆者が着た場合、腰が完全に隠れるくらいの長さです。

ユニクロのシャツはしばしば「着丈が長すぎる」と批判されますが、このシャツの場合は、ニット等との重ね着を前提に考えた場合、むしろ着丈はこれくらいの長さが正解ではないでしょうか。そしてタックインして着る場合も、外にはみ出してこないように、着丈は長い方が好都合です。

ちなみに、このシャツのボタン穴を見ると基本的にタックイン前提で作られているのかも、と思われるポイントがあります。シャツのボタン穴は基本的に縦に開いているものの、一番下だけ穴が横向きになっています。

これはパンツの中にシャツを押し込んだ場合でも、左右の生地(いわゆる身頃)にズレが生じないようにするためのデザインと言われています。

こうしたこだわりひとつ見てもユニクロのシャツはあなどれないなと感じます。(と言っても、ユニクロのシャツでも一番下まで穴が縦に開いているものは多いのですが)

なお、人目につかない部分ではありますが、襟裏に赤いステッチのようなものが。これはかつて旧型の織機でデニム生地を織る際に、生地の末端部分のほつれをなくすためにつけられたものとされています。

特にリーバイスのものは赤いステッチだったため「赤耳」と呼ばれていました。ビンテージデニムの象徴的なデザインです。ただしこのシャツにおいては、単なるデニムファンに向けたファンサービス的な遊び心の産物としてのデザインと言えそうです。

ついでにもうひとつ、目立たないところですがユニクロのさりげないこだわりを。脇の裾のところに「ガゼット」と呼ばれる補強布がついています。

昔のシャツでは、布が脇のところから裂けないようにするためにこうして補強することが機能的に必要でありまた、このひと手間を加えたシャツが高級とされていました。今の縫製技術では、機能的にはもはや不要なもの。これもまた、ビンテージ感を演出するための遊び心と言えます。

ドレススタイルを程よくカジュアルダウンできる

このシャツの効果的な使い方ですが、最も簡単なのはお気に入りのジャケットを着る際のインナーに用いることです。ジャケットをカジュアルに着こなす方法としてはジーンズと合わせるのが手っ取り早いかもしれません。

しかし、トップスのインナーにデニムシャツを持ってくるのとボトムスにデニムを持ってくるのとでは、イメージにかなりの差異があります。ボトムスをデニムにした場合、下半身は当然、大半がデニム一色。身体のほぼ半分がカジュアルになります。

しかしトップスのインナーにした場合、ジャケットによってデニムシャツのかなりの部分は隠れます。そこにスラックスを合わせれば、面積的にはドレス寄りのカジュアルになります。

靴の選び方次第でコーディネートの印象はまた変わるので、どちらが正解ということではないのですが、そもそもジーンズを好まない筆者としては「トップスのインナー」としてのデニム遣いを推奨したいところです。

なお、きれいめなハイゲージニットのインナーにすれば、カジュアル部分の露出はさらに減ります。それでも首元と裾、という視線を集めやすい部分だけはデニムシャツが見えることで、ドレスとカジュアルのバランスがとれた大人っぽいスタイルになるというものです。

最後に洗濯について少々。デニムシャツということで、基本的には神経質にならずに、ガシガシ洗ってしまってOKです。そしてシワのついたものをそのまま羽織るのがデニムシャツの本来的な使い方かもしれません。が、ドレススタイルのインナーとして使う場合はアイロンをきちんと当てることをオススメします。

これがいわゆる“ジージャン”と呼ばれるような厚手の生地であれば、程よいシワが「デニムらしい表情」ととらえられそうなものですが、このシャツは生地が柔らかいために、シワが強く出過ぎるのです。

デニムシャツであるだけで、カジュアルダウンの効果は十分。シワはドレスの対極です。カジュアルダウンのし過ぎに注意しましょう。

現在はオンラインストアでのみ販売中

このデニムシャツ、ウェブサイト上では「大型店限定」となっていますが、実際は今現在(2017年9月2日)、店舗店頭には並んでいません。通販対応のみの商品です。

全色全サイズそろっています。価格は2990円(+税)。ユニクロの隠れたこの名品、一枚ワードローブにあれば、きっと長いシーズンにわたって活躍してくれることでしょう。

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EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。