ユニクロのフランネルシャツをあらゆる角度から徹底レビュー

洋服を選ぶ際には、素材にも気を配りたいもの。秋冬には秋冬らしい素材があります。その代表格がフランネル。着る人だけでなく見る人にとっても暖かさを感じさせるものです。

今回ご紹介するのは、ユニクロのフランネルシャツ。いわゆるネルシャツです。コーディネートに採り入れやすい、優れたアイテムです。

都市生活に対応した、ほどよく薄手の生地

 

まずこのシャツの一番の特徴である、生地から見ていきましょう。その起源をたどると、ヨーロッパにてウールで作られていたというフランネル。しかし昨今流通しているものの大半はコットン製で、アメカジの定番アイテムとして認識されています。

起毛感があり、柔らかな触感で保温性が高い点で、秋冬にふさわしい生地といえます。ユニクロのネルシャツは、生地がかなり薄め。これは日本の都市生活に対応しているものと思われます。つまり、冬でも気温が極端に下がることは少なく、快適な室内で過ごすことが多い前提です。また、薄手だからこそ重ね着しやすいともいえます。

ネルシャツの取り扱いに際して注意を要するのが、お手入れについてです。具体的には「洗濯」「乾燥」「アイロン」の3工程。ここを雑にしてしまうと、毛玉ができたり起毛感がつぶれてしまったりと、せっかくの生地の魅力を損なってしまいます。まず洗濯に際しては「裏返す」「ネットに入れる」「柔軟剤を使う」という3点に気を遣うこと。

続く乾燥に際しては「決して乾燥機にかけない」「洗濯が終わったらすぐに干す」。そして「アイロン」に際しては「当て布をして起毛感を潰さない」。

これらは全て、生地本来の魅力を損なわないことを前提に考えると必然ではありますが、筆者も正直「少々手はかかるな」とも思います。しかし無地のネルシャツは特に、定番のチェック柄に比べても生地の痛みが目立ちやすいので、ここは頑張りどころですね。

ボタンダウンカラーのみで展開の“無地”はいい意味でシンプル

続いてデザインについて見ていきましょう。ユニクロのネルシャツは襟のタイプで大きく2つに大別できます。「レギュラーカラー」には、ネルシャツの定番であるチェックのデザインのものが多種多様にラインナップ。

一方で、「ボタンダウンカラー」にも同じくチェックのデザインのものもありますが、無地のデザインもあります。逆にいえば、無地のネルシャツはボタンダウンカラーのみで展開しているのです。

さまざまなショップを覗いてみても、そもそも無地のネルシャツは少数派。あったとしても、筆者が見た限りでは、胸ポケットにフタがついているものや、ボタンが主張しすぎるものなど、無地であるためにかえって無駄なデザインを施したものが多いと感じました。

その点ユニクロのネルシャツは、余計なものがないシンプルなデザインの中で、生地の色味とマッチした樹脂製のボタンが、悪目立ちしない程度にアクセントを利かせています。そんなわけで、シャツ一枚で着てもきれいめな印象で、ドレス感を醸し出します。
※ドレスとは?こちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

着こなし方に合わせた1cmのこだわり

続いてサイズ感や着心地についてです。肩幅と身幅のサイズはユニクロの標準的なカジュアルシャツと同じです。Mサイズで肩幅が45.5cm、身幅が55cm。数字上はやや大きめの作りですが、実際に着てみた実感として、シルエットが特段ゆるいとも感じられません。形はベーシックそのものです。

後背部はボタンダウンシャツでは定番といわれるセンターボックス。アメリカントラッドタイプのシャツに多く見られるデザインで、肩回りを動かしやすくなっています。

上述の通り、ユニクロのネルシャツはレギュラーカラーとボタンダウンカラーの2種類ありますが、ボタンダウンカラーの裾は、レギュラーカラーのものより1cm長くなっています。Mサイズの場合、ボタンダウンカラーの着丈は75cm。レギュラーカラーだと74cmです。

これは、カジュアルなデザインのレギュラーカラーの方は裾を出して着ることが前提になっているのに対して、無地のデザインがあるボタンダウンカラーの方は仕事着としてパンツにタックインして着ることも想定しているためです。洋服の先端(首回り、袖回り、裾)はちょっとした違いでも印象が変わるもの。ユニクロのディテールへのこだわりを実感させられます。ただ、裾を出して着ても違和感はありません。

袖の長さはMサイズで60cm。これもユニクロのカジュアルシャツとしては標準の長さです。ジャケットの下に着るYシャツとしては気持ち短いかな、と感じる程度。ちなみにユニクロのビジネス仕様のシャツ(ファインクロスシャツなど)の袖は、実際カジュアルシャツよりも1cmから1.5cm長くなっています。

重ね着を前提に考えると色の選び方が変わる

今回ご紹介しているネルシャツ、色はホワイト、グレー、ダークグレー、ブラック、ワイン、オリーブ、ブルー、ネイビーの8色展開です。一枚で着るならブルーやネイビーもステキです。ホワイトやグレーであれば、仕事着にしても問題ないでしょう。

しかし筆者としては、ワインをオススメします。秋冬の重ね着に際して効果を発揮する色だからです。というのも、メンズのコートはモノトーンが多いため、コーディネート全体としてのモノトーンの面積が増えがち。たとえコートやニットで大半が隠れることになるとしても、このシャツの襟の色がちらりと覗くだけで、ひと味違うコーディネートが生まれるというものです。

モノトーンのベーシックなコーディネートがよしとされた「ノームコア」トレンドが終わりつつあり、その反動で“脱地味”がトレンドですが、デザインやシルエットで変化をつけるのにはちょっと抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。そんな場合、せめて色を変えるだけでもよいので、試してみてはいかがでしょうか。

これからのシーズンに、1枚持っておいて損はない

ファッションに関心のある方であれば、ユニクロのベーシックアイテムのレベルの高さは誰もが実感されているものと思います。このネルシャツでもそうした“地力”の強さは遺憾なく発揮されていますが、特にカラバリ豊かな無地のネルシャツは「他になかなかない」点でも魅力的です。

1990円(税別)というコスパ抜群のこのアイテム、1枚持っておいて損はないでしょう。

ユニクロ2017秋冬まとめはこちら↓

【177選】ユニクロおすすめメンズアイテムを買ってレビュー【2020】

2020.01.28
EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。