ユニクロが世界のトップデザイナー、クリストフ・ルメール監修のもと展開している「ユニクロU」。
2017年秋冬のフルコレクションが、10月6日にリリースされました。全体的にゆったりしたシルエットが特徴的なラインナップの中から、今回はインナーとしてだけでなく、ライトアウターとしても活躍してくれそうなネルシャツをご紹介します。
アウターライクなデザインとシルエット

このシャツの一番の特徴は、名前の通り“オーバーサイズ”である点。ゆったりとした、トレンド感のあるシルエットです。そしてサイズ感だけでなくデザイン的にも、アウターとして使うことを想定された作りになっています。その“ゆったり感”と“アウターらしさ”について、シャツのディテールを数字と共に、それぞれ具体的に見ていきましょう。

身長178cm体重64kg、細身の筆者が今回選んだのはLサイズです。身幅は61cm。ふだん着用しているドレスシャツであれば50cmでも大きく感じるくらいですから、このシャツは相当ゆったりしています。

アームホールも太め。袖の長さについて、袖丈自体は59.5cmと、シャツにしては短く見えますが、実際に羽織ってみると「短い」とは感じません。肩幅が55cmのドロップショルダーとなっており、身幅も上述の通りゆったりしています。
つまり、袖の始点がそもそも袖口に近いところにあるのです。実際に腕を下ろした時に、袖口は親指の付け根くらいまで来ます。

首回りは43.5cm。数字を見ると、普段着用するYシャツに比べてかなり大きく感じます。しかし実際に着てみると、不思議とフィット感があります。また、一番上のボタンだけを開けて着ても、首元が広がらないため、だらしない印象になりません。

裾は直線的なボックスカット。着丈は72cmと、ユニクロの一般的なシャツと比べても随分と短めです。例えばユニクロの「フランネルシャツ」の場合、Mサイズでも着丈は75cmです。
※ユニクロ「フランネルシャツ」の記事はこちらです。本稿と比較しながらお読みいただければ幸いです。http://u0u1.net/GjoE

なお、裾には前後それぞれ6cmのサイドスリットがついています。後述する通り、重みのある生地感と相まって、裾がストンと下に落ちるような見え方になります。

背中には、ウエストラインを絞る「バックダーツ」や肩まわりを動かしやすくする「センターボックス」といった、一般的なインナー用のシャツの後ろ身頃(背中側)に見られるデザインはありません。
シルエットがゆったりしている分、動きやすさは十分に確保されています。ここまでを振り返りつつ、SサイズからXXLサイズまでのそれぞれのサイズを記載しますのでご参照ください。
○Sサイズ
着丈68cm 裄丈82cm 肩幅52cm 身幅55cm 袖丈56cm 首回り39.5cm
○Mサイズ
着丈70cm 裄丈84.5cm 肩幅53.5cm 身幅58cm 袖丈56cm 首回り.415cm
○Lサイズ
着丈72cm 裄丈87cm 肩幅55cm 身幅61cm 袖丈59.5cm 首回り43.5cm
○XLサイズ
着丈75cm 裄丈89.5cm 肩幅57cm 身幅65cm 袖丈61cm 首回り45.5cm
○XXLサイズ
着丈76cm 裄丈91.5cm 肩幅59cm 身幅69cm 袖丈62cm 首回り47.5cm

さて、これまで見てきたシルエットと関連しない部分についても、このシャツには“アウターらしいデザイン”があります。それはポケット。例えばインナー使用を前提としたドレスシャツにはポケットがついていません。
このシャツは左胸に、ボタンつきのポケットがあります。横14cm×縦17cm。これはフタまで入れた外周の数字で、フタを開けた際の実寸はもう少し小さくなりますが、それでもスマートフォン(iPhone6s)がぴったりおさまる程度の大きさです。

そして驚くべきことに、シャツとしては異例の内ポケットがついています。しかも両サイドです。サイズはそれぞれ、横16cm×縦16cm。

内ポケットの方が外側のポケットより若干大きいです。小銭入れ程度であれば収納できてしまいます。しかもリラックスシルエットなので、よほどパンパンの小銭入れでも入れない限り、シャツが型崩れして不格好に見える、ということがありません。ただしボタンはないので注意が必要です。
肉厚で秋冬本番向きの生地感

続いて生地についてです。「ヘビーフランネル」の名前の通り、起毛感のある肉厚のコットンが使われています。ただ、ユニクロのレギュラーアイテムのフランネルシャツほどの起毛感はありません。東京都内であれば、10月の間はこれ1枚でアウターとして十分ではないかと思える暖かさです。

ボタンは正直、チープ感があることは否めません。ただ、生地と同色なので、目立ちにくくなっています。

ケアについてです。洗濯機で洗えますが、ネット使用推奨、乾燥機はNGです。写真の通り、洗濯表示タグにびっしりと文字が書かれていますが、「色移り」のリスクを繰り返し強調しています。
色については後述しますが、筆者が選んだような色つきのシャツの場合、他のものと一緒に洗わないことを推奨されています。
生地感を反映したマットな色味の5色展開

このシャツはユニクロ表記で「01 OFF WHITE」「08 DARK GRAY」「09 BLACK」「68 BLUE」、そして筆者が選んだ「18 WINE」の5色展開です。筆者はこのシャツを、トレンドカラーのブラウンだと思って手に取ったもので、色表示を見てちょっと驚きました。
ユニクロのレギュラーのフランネルシャツの「18 WINE」と並べても色味が全く異なります。ウェブ上で見る分にはわかりづらいかもしれませんが、レギュラーのものに比べるとかなり薄い色です。




http://www.uniqlo.com/jp/store/goods/400668-18#thumbnailSelect
なお、全ての色に共通しているのは、フランネルシャツのマットな生地感を反映した、落ち着いた色味であるということです。
現物を見た筆者の実感としては、「18 WINE」か「68 BLUE」をオススメしたいところです。「18 WINE」は前述の通り、トレンドカラーのブラウンに近い色味。秋らしく、そして大人っぽい見え方になりそうです。「68 BLUE」は、生地感と色味がマッチしているように感じました。
「01 OFF WHITE」「09 BLACK」は、普段見慣れている白シャツ、黒シャツと無意識の内に比べてしまいます。生地と色だけに注目すると、ドレス感の乏しさが物足りなく感じるのです。その点、「18 WINE」や「68 BLUE」は最初からカジュアルシャツと割り切って着られる潔さがあります。
※ドレスとカジュアルについてはこちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810
ただ、最終的な見た人の印象はコーディネート次第で決まるものです。コーディネートの汎用性と言う点では、モノトーンである「01 OFF WHITE」「08 DARK GRAY」「09 BLACK」の方が優れています。
筆者の私見はあくまでご参考に留めていただき、できれば店頭でお手にとってご確認いただければと思います。
裏地に隠れた謎とその仮説

余談めいた話になりますが、このシャツを詳細に見ていく中で、ひとつ気になる点が見つかりました。それはシャツの裏地の布についてです。


首回りとシャツの前立て、袖口の裏地に、それぞれフランネルとは異なる、光沢感のある生地が張られているのです。ツヤ感のある生地で、ここだけを見るとドレスな印象すらあります。
「皮脂汚れの沈着を防ぐため」とか「裏地に気を遣う江戸っ子の粋」といった案も考えましたが、現時点での筆者の分析としては、「アウターライクに羽織る際に、それぞれの部分が頼りなく“へんなり”していると不格好なので、生地に重みをもたせてしっかりした見え方にするため」というものです。
実際にこのシャツ、例えば襟を立てて着ても、特に気取った印象はありません。襟を立てて顔に近づけることで、対比的に“小顔効果”を生み出すことが可能です。

そして袖口について、ちょっとした発見です。筆者はこのシャツの袖丈について、「オーバーサイズ」の上着としてはLサイズでちょうどいいと感じています。ただ、手首周りは少々ブカブカしています。
そこで試しに、袖口だけを折り返してみました。すると見事に、手首のところでピタリとフィットするのです。袖が手首でピタリと決まると、シルエット自体がゆったりしていても、全体の印象が一気に締まります。それでいて、見た目にも不格好ではありません。
例えば、このシャツのシルエットのリラックス感を強調したいと考えて、XLサイズやXXLサイズを購入するとします。体のラインはさておき、袖は確実に長すぎると感じることでしょう。しかしこの“技”を採用すれば、その問題は一気に解決します。
ただ、この“技”がこのシャツだけに適用できるものとは限りません。そこで試しに、レギュラーのフランネルシャツでこの“技”をトライしてみました。果たしてなんと、同様の結果となりました。とても便利な“技”ではありますが、このシャツの“裏地の布の謎”とは、直接関係がなかったようです。
ともあれ、トレンド感のあるシルエットでこの秋冬に大活躍してくれそうな、このフランネルシャツ。3990円(税別)という価格は、ライトアウターとしての機能も踏まえて考えると、なかなかにリーズナブルと言えるのではないでしょうか。
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