こちらは、ユニクロ×イネスの2018年の秋冬コレクションのイメージ写真なのですが、「この男の子カッコいい！ ゆったりした帽子やアウターも子供らしくてかわいい！ うちの子にもこの冬はこんなフレンチカジュアルなオシャレをさせたい！」とそんな衝動に駆られました。
ユニクロと毎シーズンコラボレーションしているイネス・ド・ラ・フレサンジュ。レディースが主で、毎回とても人気があります。メンズも過去に１シーズンだけ展開されています。そして今回初めてキッズ商品が作られました。イネスはフランスのデザイナー・モデルです。
今回のテーマも1920年代のパリ、モンマルトル。……なのですが、実はキャスケットはイギリスの狩猟用の帽子が発祥のようです。そして合わせているピーコートはイギリス海軍と、アイテムの出自だけを見ればバラバラなのですが、フレンチカジュアルとは古着からミリタリーまであらゆるものをフランス風に落としこむスタイル。キャスケットも好んで使われています。
キャスケットとは
キャスケットはハンチング帽の一種なのですが、いわゆる「ハンチング」との違いはこの「膨らみ」にあります。男性的・直線的な印象のハンチングに対して、ふんわりとやわらかい印象をもたせてくれるのがキャスケット。ものによっては学生帽のような角張ったものもあるのですが、ユニクロ×イネスのものはキレイな丸みがあります。
帽子の構造上、外周部分は学生帽のように頭にフィットする作りとなっていますが、かぶると帽体の丸い部分が落ちてきて隠してくれます。頭より帽子が大きくかぶさる構造ですので、小顔に見せてくれる効果があります。
後ろから。かぶらなくてもキレイな丸みをもたせて作られているのがわかります。ユニクロ、帽子の展開数は多くはないのですが、実はなかなか形が良く使いやすいものを作っています。それでいて安い。
各ディテール
「6枚はぎ」と言われる作りです。6枚のパーツを縫い合わせて作ってあります。キャスケットには他にも8枚はぎのものなどがあります。当然、枚数が多い方が円に近くなり、丸みが出ます。これがキャップであれば6枚か8枚かというのはフィット感やシルエットに大きな影響があるのですが、キャスケットの場合は素材との兼ね合いの方が大きくなります。ツイードのような硬い生地を使って6枚はぎだともうちょっと角張った印象になるでしょう。今回のキャスケットは生地がやわらかいので6枚でもやわらかい印象です。
ツバの裏側です。ここだけ、なぜかコーデュロイが用いられています。理由は定かではありませんが、他の部分と同色ですし、裏側ですので目立つものではありません。
帽体の裏側です。ポリエステルではありますが、全面に裏地が張られています。ジャケットの場合は裏地が高級なキュプラかポリエステルかで価格も通気性も変わってきます。通気性では劣るポリエステルですが、秋冬ものですので気にする必要はあまりないでしょう。そして保温性は確実に上がりますし、型崩れ防止にも一役買っています。裏地まで抜かりないのはさすがユニクロといったところ。
生地感
タグです。表地が毛40%、ナイロン30%、ポリエステル28%、ポリウレタン2%です。ポリウレタンが入ると、パンツの場合はストレッチ性が加わっていることが多いのですが、このキャスケットの場合でも表地はわずかに伸縮しました。とは言え裏地はほぼ伸縮性なしなので、あまりストレッチ性の意味を感じないのですけどもね。
生地はこのような感じです。ウールの毛羽立ち、ぬくもり感はしっかり感じます。わずかなテカリのようなものはよく見るとあるのですが、よっぽど生地に詳しい人でもないかぎり化学繊維混紡であることは気づかないでしょう。そしておそらくですが、ウール100%で作るより軽く、丈夫なはずです。キャスケットは元々ハンティング、狩猟に用いられていたものなので、素材もハリスツイードなど頑丈で毛羽立ちのあるものが使われていました。その雰囲気を残しつつも、混紡とすることで街着としてストレスのない軽さ、着用感を得ることに成功しています。
無地ではなく、ピンストライプという柄が入っています。文字通り、ピンで打ったような点が連続してストライプ（縞模様）を作っています。これがもしまっすぐな線であれば「ペンシルストライプ」となります。ペンシルストライプとは違って少しボヤけた線になり、ぬくもりを感じさせるデザインになっています。色は69Navy、ネイビーの表記となっていますが、ほぼ黒です。
サイズ感
最後にサイズ感について。最初に子供用として購入したと書きましたが、そもそもこれはキッズ商品ではなくWOMEN、レディースのものです。サイズはワンサイズ、頭周57㎝と書かれていますイメージ写真では男の子がかぶっていたので、そのまま3歳の息子用と考えて購入しましたが、実はちょっと大きすぎました。
実際に内周を測ってみたところほぼ57㎝で表記どおり。対して息子がいつもかぶっている帽子の内周は約52㎝。生地や帽子の形も関係するので一概には言えないのですが、やはり数字が示すとおり息子の頭にはまだ大きすぎました。6歳の娘にもかぶってもらいましたがやはり大きい。そのうえ「男の子っぽいから嫌！」と拒否されました。レディースなのですけどね。
子供が無理なら大人へ。しかし私は頭囲で約61㎝の大きな頭の持ち主ですので全く入りません。というわけでこのキャスケットは奥様のもとへいきました。頭の大きさ57㎝と言われても全く想像がつかないと思いますが、女性なら大体の方がかぶれるサイズです。男性なら、「男性用の帽子なのにキツくてかぶれない」という経験がない方なら入ります。子供なら小学校高学年くらいになればブカブカにならずかぶれるかな、といったところです。
ほぼ黒色にピンストライプという男性的なデザインですので、男女や年齢問わず使っていただけます。私も頭の大きささえ許せば自分で使いたかった、それぐらい良い形と生地感、そして価格でした。この生地と形、裏地付きで1990円（+税）。やはりユニクロ強し、といった感想です。欲を言えばもっとサイズ展開を増やしていただければ嬉しい。
ユニクロの帽子はほとんどがワンサイズ展開ですので。定番商品では展開されないであろう形とデザインが手に入るのはデザイナーズコラボならではですね。このデザインが欲しいと思ったら早めに購入されることをオススメします。
