ユニクロ×イネスコラボの「ツイードジャケット」を最速レビュー!!

2017年9月1日より、いよいよ販売開始されたユニクロ×イネスのコラボ。今シーズン、秋冬からメンズラインもスタートしました。パッとコレクションを見渡してみると、ドレスアイテムが多い印象。そして英国調、ブリティッシュな雰囲気も漂ってきます。

今回の「ツイードジャケット」は、そんな今シーズンのコレクションを象徴するようなアイテム。注目度も高いアイテムなので、しっかりレビューしていきましょう。

ユニクロ×イネスコラボの注目アイテム、「ツイードジャケット」

さて、ストリートが全盛だった昨今のファッショントレンドですが、実は徐々にドレススタイルに回帰しつつあります。モードなブランドでも、クラシックなブランドでもこの流れは顕著。実際にお店を見て回っていても、その流れを感じますね。そしてそれは、今回のコラボにもしっかりと反映されています。

アウターはジャケット4種に、チェスターコートとステンカラーコート。それぞれカジュアルなアプローチがされていますが、アウターは全てドレスアイテムです。また、イネス・ド・ラ・フレサンジュはフランスのデザイナーですが、英国的な、ブリティッシュな香りが漂ってくる今回のコレクション。

それもそのはず、ドレススタイルの本場といえば、やっぱりイギリス。スーツ発祥の地です。ロンドンにある有名な仕立て屋(テーラー)が集う「サヴィル・ロウ」が「背広」の語源になっているのは有名な話。現在のドレススタイルのベースを築いた国ですね。

そして「ツイードジャケット」は、まさにその英国的なトラッドスタイルを象徴するようなアイテムです。ザラザラとした質感で厚みのある、「ツイード」などはまさに英国生地の代表的存在。また、ツイードといえば、この「ヘリンボーン」と呼ばれる織り柄が定番。魚の骨に似ていることから名付けられました。

イギリスには「洋服を大事にする文化」があり、このようなガッシリとした生地が好まれるのです。逆に、英国の洋服文化から派生した、「色気」を好むイタリアファッションでは、薄くサラサラとした生地が好まれます。イタリア人は英国生地大好きらしいですが(笑)。

しかし、英国的なトラディショナルな雰囲気を感じられるのは良いですが、それ故に、こういったジャケットを何も考えずに着てしまうと、渋くなりすぎることがあります。これに関しては注意が必要なので、後述します。

「ツイードジャケット」の生地ですが、約1万円という価格を考えればなかなか上等。「ハリスツイード」などには流石に負けますが、ざっくりとしたツイード特有の風合いを感じられます。生地の厚みもそこそこありますね。

生地はウール80%、ナイロン20%。ツイードといえばウール素材ですが、ナイロンを混紡することで生地に強度をつけているようです。意外に柔らかな肌触りで、チクチク感もそれほどありません。

「ディテール」において、カジュアルダウンされている

もちろん、デザイナーとのコラボアイテムですし、英国のトラッドで重圧感のあるアイテムをそのまま再現しているわけではありません。私たちの普段のカジュアルなスタイルにも合うように、ディテールにおいて調整されています。

その最たる例が、ポケット。通常はジャケットのポケットは「フラップポケット」と呼ばれるフタがついているデザインですが、こちらは「パッチポケット」と呼ばれる、ジャケットの生地にそのまま貼り付けたようなデザインです。

当然、より簡易的な「パッチポケット」のほうがスポーティで、カジュアル。しかも、パッチポケットのデザインが「丸い」。特別目立たせるわけではなく、あくまで自然にカジュアルな雰囲気にさせています。

また、ジャケットにおける大事なポイントである「ラペル」と呼ばれる下襟ですが、これもよく見ると曲線的なラインを描いています。そして「ゴージライン」と呼ばれるラペルの境目のラインも、通常より下がり気味。

直線的なラペル、角度が高いゴージラインのほうがフォーマルな印象になるので、ここでも少しカジュアルにさせているわけです。

袖のボタンも、通常は4つですが、敢えて2つにして軽快な印象にしています。ボタンの品質はちょっと安っぽい。ユニクロは「ボタンだけ良ければ完璧だったのに……」と思うことが多く、残念ですね。

ですが、実はこれは本切羽になっていて、ボタンの開け閉めが可能です。そしてボタンを開けて袖を巻くってやると、このようにストライプ柄の裏地が見えるようになっています。今回のコレクションのジャケットはすべてこのような仕様になっているようですね。

このジャケットの裏地は、背中の部分だけくり抜かれた「背抜き仕立て」になっています。そして袖の部分の裏地のみ、素材がキュプラとなっています。袖を通した時に滑りが良かったので思わず「おっ」となりました。通常低価格のジャケットの裏地にはポリエステルが使われますが、キュプラのほうが着脱時の滑り心地がよくなります。

細かいところではありますが……。裏地はこのように赤色のステッチで縫われています。前を開けたときに少しアクセントになりますが、たぶん人からは気付かれない(笑)。ですが、なかなか素敵だと思いました。

クラシカルなアイテム故に、渋くなることも 上手く着こなすには?

重圧感のあるブリティッシュな雰囲気が漂うアイテムなので、何も考えずに着てしまうと渋くなりすぎてしまうことがあると、最初に述べました。今まで説明してきたとおり、いくつもカジュアルに寄せるアプローチがなされていますが、しかし、それでもやはりツイードジャケット。

あくまでアイテムレビューなので深くは言及しませんが、大事なのは、上から下まですべて英国的なトーンでまとめないことです。極端ですが、タイドアップしてハンチング帽を被ってしまうと「英国のおじさん」になってしまう。もちろんそれを目指されているのであれば良いのですが。

冒頭で、「ストリートファッションが全盛」と言いましたが、ストリートの要素を少し取り入れるのも良いでしょう。トレンドは移り変わり、徐々にストリートからの脱却は進んでいますが、すぐに「ストリートはもう終わり」にはなりません。

ものすごくシンプルですが、例えばこのようにインナーにはTシャツを入れたり。これは無地ですが、プリントTなどでも良いですね。そして足元はスニーカーでスポーティに。もちろん着こなしのアプローチはいくつもあるので、これは一つの提案です。

また、今回のコラボにおいて「オレンジカラー」のアイテムが多くリリースされています。メンズでは確か、フランネルシャツとカシミヤセーターでオレンジがあったかな。少し難易度が上がりますが、そういったビビッドなカラーを取り入れて、テイストをミックスさせるのも良いでしょう。

シルエットはゆったり目、サイズ感に注意!!

このアイテムにおいて最も注意してもらいたいのが、サイズ感。実はかなり大きめに作られているのです。私は175cm65kgの体型で、トップスは普段Mサイズ、肩幅が広いのでジャケットの場合は時々Lサイズといった具合ですが、この「ツイードジャケット」はMサイズで「少しだけ大きめ」くらい。

Sサイズだと少し窮屈なのでMサイズにしましたが、これは小柄な体型の方はかなり厳しいんじゃないでしょうか。いつも通りのサイズ感ではなく、必ず試着してから購入するようにしましょう。Mサイズだと寸法は、実寸で着丈75cm、肩幅45cm、身幅55cm、袖丈62cmでした。

元々シルエットもゆったり目ですね。ツイードのような厚手の生地だと、なかなか細身のシルエットにはしづらいようです。かといってモッサリしているわけではないので、良く言えば適度にリラックス感があります。

また着丈は、私でちょうど「おしりが半分隠れる」くらい。あくまで標準的な着丈ですが、普段カジュアルなジャケットに慣れている方であれば、着丈は少し長めに感じられるかもしれません。

「ツイードジャケット」はズバリ買いか?

このアイテムの良い箇所も悪い箇所もお伝えしてきました。それではズバリ、「ツイードジャケット」は買いか否か?これを言っては元も子もないですが、「サイズ感に問題がなく、ツイードのジャケットを着てみたい方」は買いです。

極上のツイードというわけにはいきませんが、品質は価格のわりにはなかなか良い。ですが、「万人にオススメ」というわけにはいきません。生地もツイードという特徴的なものなので、通常のサラサラしたウールジャケットのように「とりあえず買っておくと良い」というわけにはいかないので。

そして何よりサイズ感。これには注意してください。

少し辛口で締めてしまいましたが、私はこういったクラシックなアイテム好きですね。価格は9990円(+税)。発売してすぐにオンラインストアでは売り切れてしまいましたが、どうやら再入荷しているようです。着になる方は是非チェックしてみてください。