ユニクロ×アンダーソン、レディスのミリタリーセーターをXXLで着るべし

ロンドンを代表するデザイナーのひとり、ジョナサン・ウィリアム・アンダーソンとユニクロのコラボレーションが話題を呼んでいます。実のところ今回のコレクション、ビビッドな配色や大胆な柄遣いのため、一見ハードルの高いアイテムが少なくありません。

そんな中で筆者は、大人の男性のコーディネートにも気軽に採り入れられそうなニットをレディスアイテムの中で発見しましたので、以下ご紹介します。

“ミリタリー”を上品にアレンジしたデザインとシルエット

「ミリタリーセーター」とは文字通り、本来的には軍隊で使われているものです。「コンバットセーター」とも呼ばれ、実用性が何よりも重視されます。実用性とはつまり、「丈夫」で「保温性が高い」こと。

しかしこのアイテムは街着として使うことが前提であるため、過度な丈夫さや保温性は追求されていません。ディテールに“ミリタリーらしさ”を残しつつも、上品にアレンジされています。特に、首回り、袖、裾といった人の視線を集めやすい先端部分が絶妙の作り。では、そのディテールをひとつひとつ見ていきましょう。

首回りはモックネックでショールカラーになっています。と、いきなり見慣れないカタカナを書き連ねて恐縮です。ひとつひとつ説明します。

モックネックの正式な呼称は「モック・タートルネック(mock turtleneck)」です。モック(mock)とは「偽の」という意味。つまり「タートルネックの偽物」ということです。タートルネックほどの高さはなく、折り返す必要がありません。

つまりタートルネックほどではないものの、程よく保温性があります。ミリタリーセーターが総じてモックネックというわけではありませんが、こうした「保温性」を意識したデザインは、“ミリタリーセーターらしさ”と言えそうです。

そして後述しますが、モックネックはタートルネック以上にコーディネートの幅が広いところが利点です。

そしてショールカラーとは、ショールを肩掛けしたような形の襟で、上品で大人っぽい印象になります。また、首回りに生地があることで、対比的に顔が小さく見えます。

ちなみにボタンの存在そのものが、このニットにおけるデザイン上の重要なワンポイントとなっているのですが、一方で「ボタンで開閉できる」という“機能”がまた、コーディネートの幅を広げることにつながっています。

袖の長さはXL及びXXLサイズで61cm。ユニクロのエクストラファインメリノVネックセーターであれば、ほぼMサイズに相当します。

また、袖にはリブがついています。本来のミリタリーセーターとしては「冷気の侵入を防ぐ」ことを目指した機能的なデザインですが、街着としてコーディネートに採り入れるにあたって別の価値が生じます。つまり、人の視線を集めやすい先端部分がキュッと締まることで、整った印象になるのです。

ただ、Lサイズくらいであれば「キュッと」している実感がありますが、XXLで着ると袖先は手首のところで少しダブつきます。下に長袖を着るとちょうど良い塩梅になります。

袖と同様に裾もリブになっています。リブは時に、裾がずり上がってきてしまう一因になることもありますが、XXLであれば、袖と同様に締め付け感はありません。裾がだらしなくヒラヒラせず、程よい位置におさまります。

なお、このニットの着丈はLサイズで62cm、XLサイズで64cm、XXLサイズで66cmです。XXLサイズで、身長178cmの筆者の腰がちょうど隠れるくらいです。1枚で着てもサマになる上に、シャツと重ね着してもシャツの裾の先が程よく出るくらいの長さです。

このニットは、筆者の実感ではLサイズだとかなりタイトですが、XXLだと「ややゆったりしている」ストレスのない着心地です。昨今の流行りの“オーバーサイズ”とまではいきません。そもそもモックネックでショールカラーの“きれいめ”ニットなので、スダンダードな着こなしと相性がよさそうです。

肩幅はXLサイズで38.5cm、XXLサイズで40cm。そして身幅はXLサイズで50.5cm、XXLサイズで身幅53.5cm。

なお、XL及びXXLサイズは通販対応のみとなっています。写真は通販で届いた直後に撮影しているのでシワがお見苦しくて申し訳ないです。ちなみにこのニットは110℃以下の低温、スチームなしであればアイロンがけが可能です。

“エクストラファインメリノ”ベースの薄手で上品な素材感

このニットの素材はポリエステル49%、毛49%、ナイロン2%。毛(ウール)の部分はきめ細かな質感が魅力の「エクストラファインメリノウール」。ユニクロが世界に誇ることのできる名作と言うべき生地です。

そこにポリエステルを加えることで、クリーンな中にも表情のある生地感に仕上がっており、チープ感は全くありません。ツヤがあり、柔らかで心地よい触感です。ただ、気をつけないとすぐに、ほつれや毛玉ができやすそうな気配を感じます。

中でも人の視線を集めやすい首元の部分は、他の部分と同色の切り替えで“エクストラファインメリノウール”の上質感を強調した作りです。また、肩の部分と胴の部分でも、同色で編み方が切り替えになっていて、動きやすさ(機能)とデザインが上品に連動しています。

なお、「生地の良さに比べてボタンの安っぽさが目立つ」といった批判の的になりやすいユニクロですが、このボタンはよくできています。アンダーソンがロンドンを起点に展開しているブランド「J.W.アンダーソン」と同じロゴを刻印したオリジナルの樹脂製のボタンは、クラシックな質感があり、単色のニットの中で効果的なアクセントになっています。

全4色。どの色にも捨てがたい魅力アリ

このニットは4色展開。ユニクロ表記では「01 OFF WHITE」「08 DARK GREY」「57 OLIVE」「69 NAVY」となりますが、筆者が選んだのは「01 OFF WHITE」です。きれいめなニットの魅力を最も発揮できる色であり、また後述する通り重ね着しやすい色であり、さらに冬にダークトーンのコートと合わせることを考えても、この色しかないと思いました。

ただ、それぞれ試着してみたところ、男性がこのレディスのニットを着こなす上で、最も違和感がないのは「08 DARK GREY」では、とも感じました。

「57 OLIVE」は“オリーブ”と言うよりも「グリーン」と表現した方がしっくりくるくらいに、濃い緑です。いわゆるミリタリージャケットのような色とも違うので、“ミリタリーらしさ”は期待できないものの、一方で発色自体はとてもきれいなので、一枚で着るならオススメです。

http://ur0.biz/G4iL (上掲の画像3点共に)

「69 NAVY」も無難ではありますが、実に良い色です。筆者の個人的な感覚では、ユニクロのネイビーのアイテムは“当たり外れ”が大きいのですが、このネイビーは「当たり」です。ツヤ感のある生地と上品なデザインがマッチしており、グレーのコートと合わせれば、とても映えること間違いなしです。

単体でも重ね着でもサマになる

このニットは本来的には単品で完結できるデザイン。しかし重ね着してもサマになるスグレモノです。シャツと合わせても、見た目に違和感がない上に、ボタンで首元を調節できるので窮屈さを感じません。

なお、シャツはレギュラーカラーのものを選んでも問題ありませんが、筆者は写真のように、スタンドカラーシャツと合わせることをオススメします。「01 OFF WHITE」に合わせるために柄物を用いましたが、逆にその他の色のニットに白のスタンドカラーシャツを合わせても清潔感が強調できそうです。

一方で、首回りのすっきりした印象を優先しつつ、裾の部分だけ柄物を入れる手も。なお、軍用の「ミリタリーセーター」は保温性を重視しているために生地が詰まっており、透けることもないものですが、このニットは街着のレディスアイテムとしてアレンジされたものであるため、薄手で若干透けやすいです。

特にこの「01 OFF WHITE」の場合、下に色や柄を持ってくると透ける、ということを前提に、下に何を着るかを考える必要があります。

なお、着こなしに当たっての注意点と言いますか、気づいた点を2つほど。

1つは、「01 OFF WHITE」を選択した場合は当然の話ですが、襟の汚れに注意を要するということ。できればモックネックのTシャツを着るなどして、襟に体が直接触れないようにしたいところ。

一応、自宅で洗濯も可能ですが(手洗いは可)、ニットは縮むのが恐いところです。特にこのニットはベースがそんなに大きくないので、元よりさらに縮むのは致命的。着るたびに汚れを気にしなくてよいように、「汚さない」ように気を配るべきです。

もう1つ、これは言っても詮無い話ですが、レディスアイテムなので首回りのボタンの左右の位置がメンズのものと逆です。傍目には言わなければ気づかないものでもありますが、不慣れなボタン位置にちょっとした合わせにくさを感じるかもしれません。

今回ご紹介したニットは4990円(+税)ということで、コートやジャケットではないアイテムとしてはかなり高額な部類です。しかしこの時期、様々なショップに多種多彩なニットが並んでいますが、その中で見比べてみた場合、このデザインと素材感で5000円であれば、決して高価ではないと筆者は感じています。

ビビッドな色や柄遣いだけではない、アンダーソンの“クリエイティビティ”を、気軽にコーディネートに採り入れてみませんか。

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EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。