ユニクロのリネンコットンジャケットのコスパがすごい!

夏に常用するアイテムと言えば、Tシャツに短パンにサンダルと、いずれもカジュアルなものばかり。そんな時に1枚あると便利なジャケットをご紹介します。

一見スタンダードな形のカジュアルジャケットですが、これが実にバランスの良い作り。夏らしさと高級感を両立した素材感に加え、絶妙のシルエットとミニマルなデザインで、Tシャツの上に1枚羽織るだけでサマになるスグレモノなのです。

ゆったりめの寸法でありながら、きれいめのシルエット

このジャケットは商品名に「スリム」と入っていますが、寸法を見ると、筆者の選んだMサイズで肩幅46cm、身幅54cmとなっています。同じユニクロで別のジャケットにおけるMサイズの寸法を見てみると、「感動ジャケット」は肩幅45cm、身幅52cm。「コンフォートジャケット」で肩幅45cm、身幅53.5cm。

いずれと比べても、今回ご紹介するジャケットの方が、数字の上ではゆとりがあるのです。ユニクロのサイトを見ていても、商品レビューのところで「ユニクロの店頭にある一般的な他のジャケットに比べて少し大きめ?みたいで」というコメントが寄せられています。

しかし実際に羽織ってみると、確かに“スリム”な印象。これは素材にリネンが使われているため、シワが入りやすい分、縮んで見えることを視野に入れた寸法の取り方ではないかと思われます。

ただし、生地についてはあらためて後述しますが、リネンにコットンを混紡しているため、シワが特に目立つというものではありません。また、リネン単体だと軽すぎるところを、適度な落ち感が出てシルエットの良さを確保しています。

アームホールも、実のところ細くはありません。肩回りはかなり動きやすく余裕のある作りです。しかし見た目には野暮ったい印象は一切ありません。身幅が大きく取られている分、対比的に細く見えるのです。腕の太さ次第ですが、細身の筆者の場合は腕まくりをできる程度の使い勝手の良い袖幅です。

パーツごとに見ていくとゆったりしているのに、全体を見ると違和感のないきれいめのシルエット。ユニクロのこだわりが詰まった作りと言えます。

なお、袖口は一般的な“開き見せ”。すなわちボタンは飾りで、実際には開くことがありません。夏用のジャケットであればこそ、誰もが袖まくりがしやすいように、本切羽であればなお良かったところではあります。

“情報量”を絞り込んだスタンダードなデザイン

デザインは、ジャケットとしてはスタンダードな作りです。ジャケットの作りとしてはややカジュアルですが、コーディネートの観点からは、羽織るだけでドレス寄りの印象になる、使い勝手の良いデザインと言えます。
※ドレスとカジュアルについてはこちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

襟は一般的な「ノッチドラペル」。幅を筆者が実測する限り、これも他と比べて特に細くはありません。しかしジャケット全体の中のパーツとして見ると、バランスの良いサイズ感です。

また、前面に「フロントダーツ」が入っていますが、これもアメトラのジャケット以外では一般的な意匠。平面的な生地を立体的な身体にフィットさせるための“絞り”です。フィット感へのこだわりの一端が垣間見えるデザインと言えます。

ポケットはパッチポケット。いわゆるフタがついていない、カジュアル感のあるポケットです。このジャケットはクールビズOKの職場であれば仕事着としても使えますが、このポケットの意匠により、街着として使っていても違和感がないことを示しています。

背面にはセンターベント(真ん中に切れ目が入るデザイン)。これも一般的なジャケットの意匠ではありますが、本来的に動きやすさを確保するためのデザインです。

内ポケットが左右それぞれについています。汗を拭いた後のハンカチと小銭入れを同じポケットに入れておきたくない、という筆者には大変ありがたい作りです。

こなれた高級ジャケットに似た質感の生地

続いて、生地についてです。素材はリネン55%に対してコットン45%の混紡で、袖の部分の裏地はポリエステル100%です。袖以外のところに裏地はありません。背中の生地を光に透かしてみると、かなりの薄手であることがわかります。それでいて“粗い”印象がないのは、ひとえにコットンとの混紡の賜物と言えます。

リネンは涼やかな着心地という利点がある一方で、シワが入りやすい欠点があります。シワは洋服の印象をカジュアルにしてしまうため、ジャケットのようなアイテムでは原則ご法度。

その点、このジャケットの場合、パッチポケットの部分やセンターベント周辺の生地が薄いところではシワがやや目立ちますが、内ポケットのある前身頃の胸元や、視線を集める首回りは生地が厚くシワがつきにくくなっており、総じてきれいめな印象が保たれる作りになっています。

生地をアップで見ると、イタリアの名門ブランドのジャケットに使われる平織のツイード生地「ホップサック」にも似た表情があります。機能的に優れた夏用ジャケットはユニクロやGUを始め、様々なセレクトショップでも数多くリリースされていますが、特にポリエステル100%の無地のものはのっぺりとしていて化繊っぽい印象が強く、チープに見えてしまうもの。

その点、このジャケットはこなれた高級感があります。ボタンは樹脂製ですが、これも高級感のある水牛ボタンを想起させる紋様が入っており、チープ感はありません。なお、ケアについては基本的に水洗いはNGで、ドライクリーニング推奨となっています。

3色展開の内、人気カラーは完売ながらオススメは1択。

http://urx2.nu/Kst0

カラバリはユニクロ表記で「31 BEIGE」「64 BLUE」「69 NAVY」の3色。中でも「31 BEIGE」は早々に完売しています。が、筆者がオススメしたいのは断然「64 BLUE」。ウォッシュ感があって若干スモーキーで、さわやかさと大人っぽい落ち着きのバランスが取れたブルーです。

「69 NAVY」は悪くない色ですが、盛夏に着るジャケットとしては若干重たい印象になってしまいそうです。価格は定価で6990円(+税)ですが、筆者執筆時点(2018年6月11日)で5990円(+税)と値下げになっています。

ユニクロにしては比較的お高い部類のアイテムですが、他のブランドを見渡して、アンダー1万円でこのクオリティのジャケットを出せるところはまずないでしょう。なお、通販限定です。

EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。