メンズファッションのアイテムのなかには多くある、ミリタリー物。MA-1と呼ばれるアウター/ブルゾンもその一つ。もともとはアメリカ空軍のフライトジャケットとして採用されたれっきとしたミリタリー起源のアイテムです。
いまでは「ミリタリーアイテム」「フライトジャケット」ということを知らずに着ている人も多いでしょう。起源はともなく、ノーカラーが特徴的でシンプルで使いやすいデザインなのが、愛される所以でしょう。
さて、そんなMA-1ですが、ユニクロでも、定番品としてメンズ・ウィメンズのラインナップに展開されています。そして、2019年秋冬はメンズのMA-1がアップデートされマストバイな逸品に仕上がってきました。
素材と防寒性

素材は、表地がナイロン100%、中わたはポリエステル100%。MA-1はもともと、付着した水分が氷結しないようにと、それまでの革製ではなく、撥水性の高いナイロン製素材を使ったフライトジャケットとして開発されました。
MA-1は実際に米軍にも納入している「ALPHA」がブランドとして有名ですが、そのアルファのMA-1とこのユニクロの素材構成だけみればまったく一緒です。

ただ、表地の「ナイロン」といっても様々。今回、ユニクロでは軽量で耐久性があるという「ヘビーナイロンツイル」を使用と。ナイロンというとツルツルだったり、テカリが気になったりと、ちょっと心許ない印象を抱く人もいるかもしれませんが、こちらはそういった印象は皆無。触り心地はマットながらも適度な艶感があり、上品な印象となっています。

(水をたらしてみたところ、生地に染み込まず水がダマになる撥水性)
また昨年までと比べて「中わたの量を増量し、防寒性をアップ」とサイトに書いてありますが、着てみるとたしかに中わたのボリュームが感じられ、秋冬のアウターとしてキチンと使えます。
この中わたの量が、生地にハリ感を生み、シルエットをキレイにする効果を出してくれています。ちなみにキチンと撥水性能もあり、少々の雨なら大丈夫でしょう。基本性能の高さは「Life Wear」を掲げる、さすがユニクロ。
デザインとディティール

(裏地も表地と同色/本来のMA-1は救難時に発見されやすいように裏地がオレンジ)
全体的なデザインはミリタリー・オリジナルのフライトジャケット「MA-1」を踏襲。元々機能性が重視されて無駄を排除されたデザインが軍物の良さですが、そのあたりの魅力を十二分に再現しています。
さらに街着として着やすいように、細かい箇所がユニクロ流にアップデートされています。ポイントは、街着的なシンプルさ。オリジナルのMA-1は裏地がオレンジとなっていますが、本アイテムは表地と同じ色に統一。
使用されているジップ部分も、同色となっています(黒の場合はジップも黒)。ジップを上げ下げするプーラー部分には、レザー調の素材が採用されています。

ミリタリーはアイテム的にどうしても機能性重視の起源から、カジュアルライクになりがち。そこで本アイテムでは、デザイン的なカラーの切り替えを無くし、さらに目立つ部分に、ドレスライクなレザー調素材を採用。
カジュアルなアイテムながら――カジュアルなアイテムだからこそ、カジュアル要素を払拭し、スマートさを感じられるようにと、細かいディティールの部分までしっかりとデザインされています。
カラー展開とサイズ感

カラー展開は、ブラックとオリーブの二色。ブラックの方がコーティネートはしやすいでしょう。しかし、オリーブでもミリタリー色が強くですぎないように配慮されたアイテムなので、使いやすいでしょう。
サイズ感は特にビックシルエットということはなく、ごく普通のユニクロのインラインのサイズ感です。ただ着用シーズンとなる秋冬は、インナーが厚手になる場合が多いと思います。
筆者は通常、ユニクロ、GUではMサイズがジャストくらいですが、こちらはアウターとして考えるとLサイズがちょうどいいサイズ感でした。いつもよりワンサイズップが季節柄のアウターとしてジャストになるのではないでしょうか。
ただミリタリーテイストながらも、スマートな印象が出るように調整されたアイテムなのでコーディネートのバランスがとりやすいアイテム。ちょっとゆったり目に遊んで着ても、おもしろいかと。筆者はいろいろサイズを試した結果、今回はオーバー気味のXXLをチョイス。

ぱっと羽織ってサマになるようにデザインや素材が考えられたユニクロのMA-1ブルゾン。数年前まではウィメンズと比べるとちょっと見劣りする部分が多かったのですが、アップデートされた今年は逸品に「生まれ変わった」といっていいのではないでしょうか。
秋冬のアウターとして重宝すること間違いなし。価格は3990円(+税)。ユニクロの品質と追求心を感じられるアイテムとして、オススメです。