コストパフォーマンスの高いベーシックアイテムに定評のあるユニクロから、オンライン限定のユニークなアイテムがリリースされています。
それが今回ご紹介する「ミリタリージャケット」。実際に手に取ってみると、本来的に「過酷な戦地での着用」という実用性を重視した、無駄のない“引き算”の作りであるミリタリーアイテムと、余計なデザインを加えないユニクロの姿勢が見事にマッチしていることがわかります。
“本物”らしさを保ちつつ、街着として使いやすく作られた、完成度の高い逸品です。
目次
本物の“ジャングルファティーグジャケット”のデザインを踏襲
このミリタリージャケットのモチーフは、米軍がベトナム戦争の際に採用した「ジャングルファティーグジャケット」です。
「ジャングルファティーグジャケット」は、生産された約10年間の間に何度か改良が加えられています。改良のたびにデザインはシンプルなりました。
大きく「前期」「中期」「後期」に分けると、ウエスト部分のベルトやエポレット(肩のループ)が省略された「後期」が最もシンプル。
今回ご紹介する「ミリタリージャケット」は、その「後期」モデルを“街着”に落とし込んだ作りになっています。そのため、嘘くささがなく、それでいて「ミリタリーオタク」な印象にはならない仕上がりなのです。
デザインの大きな特徴は、まず胸元に2つ、腰位置に2つ、計4つのポケット。胸元のポケットが斜めになっているのは、モノを入れやすく、また取り出しやすくするためです。
なお、“本物”の胸ポケットの中央にはペンホルダーがついているのですが、そこまでは再現されていませんでした。
そしてポケットのサイズも若干小さめ。ポケットが大きくなればなるほど無骨でカジュアルな印象が強まります。“本物”においては実用性の観点から、ポケットにはマチがついて大容量になっていますが、“街着”にはそこまでの容量は不要。理にかなった調整と言えるでしょう。
襟に注目すると、フチの縫い目のところに「パッカリング」、つまり“縫い縮み”があることがわかります。
本来的には避けるべきものですが、ここでは洗い込むことによって生じる経年劣化の結果、つまり“古着らしさ”の演出として、敢えて入れているものと思われます。
ボタンは留めると表から見えない比翼仕立て。戦場で“ほふく前進”をしたり、木々の中を行動したりしてもボタンが引っかかって取れることのないように、という機能的なデザインですが、これが結果としてシンプルな見え方につながり、“ドレス”な印象を作っています。
※ドレスとは? こちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810
ボタンをつける「前立て」の部分は、バータック状に強く縫い付けられていたり、裏が二重になっていたりと、強度が確保されています。ここでも“本物”のディテールが忠実に再現されています。
シャツとジャケットの中間のサイズ感とクリーンなシルエット
このミリタリージャケットは、テーラードジャケットのように肩パッドが入っているわけではありません。また、熱帯での着用を前提としたジャングルファティーグジャケットをモチーフにしているだけあって薄手。いわゆるシャツジャケットとして使えるアイテムです。
上にコートを羽織ったり、下にシャツを着たり、という着こなしにちょうどいいサイズ感です。
このサイズ感という点において、ここでも“本物”のままではなく、“街着”として着こなすための微調整がされています。アームホールは細めで、ダボついた印象はありません。
また、あらためて後述しますが、生地自体に伸縮性があるため、無駄のないフィット感でクリーンなシルエットに仕上がっています。
では、それぞれの寸法を見て行きましょう。数字だけ見ると、いわゆる“ドレスなジャケット”に比べて若干大きめです。そもそも表も裏もコットン生地で、ドレスなジャケットのように裏地がスルスルしているわけではありません。
そのため、インナーのシャツとの摩擦が生じる中で着ることを前提とした寸法かと思われます。
身長178cm体重64kgの筆者は、ユニクロでシャツをジャストサイズで着る場合、いつもMサイズを選びます。このミリタリージャケットについても、筆者が選んだのはMサイズ。
そんな筆者が、長袖のオックスフォードシャツの上から着用した場合の実感も付記しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
着丈はXSで66cm、Sで68cm、Mで70cm、Lで72cm、XLで75cm、XXLで76cm、3XLで77cm、4XLで78cm。筆者の場合、スラックスのポケットが9割ほど隠れる程度です。
肩幅はXSで43.5cm、Sで45cm、Mで46.5cm、Lで48cm、XLで50cm、XXLで52cm、3XLで54cm、4XLで56cm。筆者の場合、見事にジャストサイズです。
身幅はXSで48cm、Sで51cm、Mで54cm、Lで57cm、XLで61cm、XXLで65cm、3XLで69cm、4XLで73cm。筆者の場合、ボタンを合わせても窮屈感がなく、それでいて特にリラックス感があるわけでもありません。
袖丈はXSで59cm、Sで59.5cm、Mで61cm、Lで63cm、XL~4XLで64.5cm。筆者の場合、腕を下すと親指の付け根まで隠れる程度です。少し長めですが、ミリタリージャケットの場合、ドレスなジャケットのようにインナーのシャツが見えると不格好。この長さでむしろ正解だと思います。
以上の通り、特にビッグサイズで着るとか、タイトに着ることを目指すわけでなければ、いつもユニクロで選ぶシャツのサイズと同じで問題なさそうです。
薄手でヴィンテージっぽいニュアンスのある生地
続いて生地についてです。ミリタリーアイテムらしく、格子状に繊維を入れることで“裂けにくい”仕様になっている「リップストップ」が採用されています。
このジャケットは上述の通り、シャツジャケット風で薄手です。“本物”の「ジャングルファティーグジャケット」自体が、南国での着用を前提としているために薄手の作りですが、このユニクロの「ミリタリージャケット」は“本物”以上に薄手。
一見頼りなく見えるかもしれませんが、実際に春や秋の羽織りとして使うには、むしろちょうど良いのではないでしょうか。
素材はコットン97%とポリウレタン3%。伸縮性があるため、フィット感と動きやすさを両立しています。また、ウォッシュ加工によってヴィンテージっぽいニュアンスがプラスされています。とは言え、毛羽立つほどの強いウォッシュ感でもないので、「本物の古着っぽい」とまでは言えません。あくまでも「ニュアンス」です。
ボタンは恐らくプラスチック製です。が、“本物”で採用されている尿素樹脂製のボタンと見た目はそっくり。高級感は無いですが、本物感はあります。
ケアについては手洗い推奨です。乾燥機はNG。アイロンは低温推奨となっていま。個人的にオススメしたいのは、脱水を弱めにして陰干しして、アイロンを当てずにそのまま着ること。
ほぼコットンの生地なので多少のシワが残りますが、それくらいの方が、かえってミリタリーアイテムらしい無骨さが感じられるように思います。
ミリタリーっぽい3色展開。一番人気は“本物”らしい「OLIVE」
このジャケットははユニクロ表記で「32 BEIGE」「56 OLIVE」「69 NAVY」の3色展開。一番人気は“本物”に近い色味の「56 OLIVE」です。筆者の執筆時点で既に全サイズ完売済み。今後再販されると良いのですが。
さておき、「ジャングルファティーグジャケット」の“本物らしさ”という点では確かに「56 OLIVE」が一番近いのですが、「32 BEIGE」「69 NAVY」もミリタリーウェアにおいては定番カラー。街着としてカジュアルに着るワークシャツと考えれば、決して悪くない色です。
価格は3990円(+税)。“本物”と比べても実にリーズナブルです。ミリタリーアイテムを敬遠されていた方も、まずはこの使いやすいジャケットを試してみられてはいかがでしょうか。
冒頭でご紹介した通り、このアイテムはオンライン限定商品です。本稿が読者各位のご検討の一助になれば幸いです。
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