3000円で買えるユニクロのオープンカラーシャツは傑作の一言

ユニクロUの2017SSに「オープンカラーシャツ(半袖)」というアイテムがあります。このシャツ、夏のヘビロテまちがいなしなんです。

そもそもユニクロUとは、世界一のブランド、エルメスのディレクターを勤めたフランスのファッションデザイナー、クリストフ・ルメールが手がけるユニクロのインライン商品です。春夏と秋冬の2回に分けて商品が発売されます。

https://goo.gl/c2dRFs

昨年の夏、レディースではちょくちょく見られていたオープンカラーシャツですが、今年はメンズでもレディースでも大ヒットになっています(2016年SSのユニクロアンドルメールでも発売されていました)。

https://goo.gl/88BUH7

オープンカラーシャツは開襟シャツとも呼ばれ、文字どおり首元が開き、台襟がなく襟が寝ているのが特徴です。暑さ対策用のシャツであり半袖が多く、夏の学生服やクールビズ用としてビジネスマンにも着用されています。そういえば、学生時代着ていた人も多いのでは?

日本では昔にも流行ったデザインで、昭和のヤクザ映画『仁義なき戦い』では菅原文太さんはじめキャストが着用していました。それが、また巡り巡って流行のアイテムになっているんです。ただ、学生服や昔着ていたものそのまま使用していいわけではありません。そこはファッションアイテムなので、時代にあったものにアレンジされているのです。

そして、今年はテロテロしたツヤ感のあるオープンカラーシャツがトレンドです。そもそも一般的なシャツとオープンカラーシャツの違いとはなんでしょうか? 簡単に説明します。

https://goo.gl/Q5kuVi

上の写真がレギュラーカラーといわれるごく一般的な襟の形です。台襟があるので首元が立つようになっています。

https://goo.gl/WRgBQ7

こちらがオープンカラーです。台襟がなくポロシャツやアロハシャツ(一説にはアロハシャツのルーツになったといわれています)のように首元が寝ています。要するに台襟があるかないかの違いです。首元が開いて襟が寝ているので、第1ボタンもついていなかったり、ループ式になっているものが一般的です。

もちろん、第1ボタンを留めて使用しても問題ありませんが、そうするとオープンカラーを選んだ意味はなくなります(笑)。

 

オープンカラーシャツの大事な要素は素材

ユニクロUのオープンカラーシャツは、今年らしくやや大きめのデザインです。そして、なにより大事なのは、素材にリヨセル(テンセル)が使われていることで、上品な光沢があることなんです。

石油を原料として作られたナイロンやポリエステルとは異なりリヨセル(テンセル)は、ユーカリ(コアラが食べるアレです)を特殊な溶剤で溶かして作られた再生繊維です。使用された溶液も捨てずに再度使用するので、とてもエコロジーな繊維なんです。

ブランド名を「テンセル」、総称を「リヨセル」としているので、「テンセル」と「リヨセル」どちらも同じものなのですが、生地を触るとわかるように、光沢があり柔らかい質感が特徴です。吸湿性にも富んでいるので汗ばむ夏にも最適な素材です。

オープンカラーは一般的にスーツで使われるレギュラーカラーを崩した形になります。つまり通常のシャツよりもカジュアルな雰囲気です。さらに、量販店では夏に着る服だからといって、丈夫なデニム素材やオックスフォード素材などを使ってしまうので、カジュアルな印象が加速してしまいます。

その点、さすがユニクロ、さすがはクリストフ・ルメールです! きっちりトレンドに合わせてツヤ感のある生地を選んできました! これでカジュアルになりすぎずにドレス要素を担保できています。

デザインも抜かりなく今年らしく大きめなサイズ感

ユニクロUは余計なことはせず一般的なオープンカラーシャツに即した作りになっています。ここ数年続くビックシルエットのトレンドを取り入れてやや大きめのサイズ感となっていますが、着るのに躊躇するほどでもなくほどよい大きさです。ポケットはユニクロアンドルメールのときからの特徴であるやや低めの位置に配してあります(そのぶん多少ルーズな印象がありますが誤差です)。

そして、裾も通常のシャツのようなラウンドカットではなく直線的なカッティング。これもオープンカラーシャツの特徴で、ボトムスから出して着ることを想定されて作られたものなので、このような裾の形になっています。もう少し細かく見ていきましょう。

シンプルなデザインで着る人を選ばない

まずは、前立て。前立てとはボタンの土台になる縦長のパーツのことで、基本的にオープンカラーシャツには前立てがありません。前立てがあるのとないのとでは見た目の印象が大きく違います。

洋服は装飾がなくなりシンプルになるほどドレスライクになります。礼装に使われるシャツは前立てが比翼仕立てになっていてボタンが見えないようになっていますしね。

https://goo.gl/2k8cSL

(イタリアのシャツブランド ルイジボレッリのシャツ)https://goo.gl/z36m5c

(アメリカのシャツブランド ブルックスブラザーズのシャツ)https://goo.gl/32QNmn

イタリアのシャツなどは前立てやポケットがないシンプルなものがドレスシャツの定番です。一方、アメリカのシャツは前立てがありポケットも付いています(ボタンダウンのもの多いです)。こうして見ると前立てのないシンプルなほうがドレスライクな印象を受けることがわかります(前立てがあるからといってドレスシャツでないわけではありません)。

次は背中に注目。

スーツに使われるシャツなどは腰元に絞りを入れ身体にフィットさせるような作りになっているものが多いですが、今回のシャツは腰元に絞りは入っておらず、肩付近に2箇所申し訳程度に入っているだけです。

そのぶん着ても体型が出にくく、どんな体型の人でも気兼ねなく着用することができます。ただし、四角いボックス型のシルエットなので着丈が短めに作られています。そのため選ぶときは1サイズ上のものを選ぶと腰位置が隠れるので、さらに体型をきれいに見せることができます。

そして、ボタン。今回の展開カラーはブラック、ブラウン、ネイビー。ブラウンやネイビーのシャツなら気にならないですが、ブラックのシャツで心配なのは「ホスト感」。しかし、このシャツなら大丈夫です。

ボタンを見てもらうとわかりますが、黒ではなく天然の貝ボタンのようなプラスチックボタン。黒の生地に黒のボタンだとどうしても「ホスト感」が抜けませんが、ボタンを変えるだけで印象を変えることができます。

そして、ユニクロの頑張っているのがボタン。2015年、最初にルメールとコラボしたあたりからでしょうか。明らかに安っぽく見えるプラスチックボタンを高級感の天然の貝ボタンのように見せるように工夫しています。

こちらのボタンはまんまプラスチックボタンということがわかるかと思います。今回のシャツのボタンと見比べて見てください

ボタンごときと思われるかもしれませんが、誰もが着るシャツだからこそボタンのような細かい部分に気を使うことで人とは違った差別化につながるのです。

ただルメールとコラボしたんだぜ~というだけでなはなく、いいところはすべて吸収してやろうというユニクロの向上力の高さがこのボタンから見受けられます。

そして、どうって着るべきか?

 さて、肝心の「オープンカラーシャツ」の着こなしですが、選ぶ色はお好きなものを! ユニバレしたくない人はブラックやネイビーがいいでしょう。ユニクロUのブラウンは見る人が見るとわかりやすい色なので……。

ツヤ感のあるシャツですが、オープンカラーと少し大きめなサイズ感なのでカジュアルな印象もあり、ボトムスには何を持ってきてもサマになります。お手持ちのデニムパンツと合わせるとこんな感じに。袖の長さも少し長いので2,3回折るとちょうどよくなります。

また暑さが本格的になってきたらショートパンツでもOKです! カジュアルの代表であるショートパンツと合わせる場合はスラックス素材のものがドレス要素もあるのでおすすめです。

発売当初は一部店舗限定の商品でしたが、売れ行きのよさから再販が決定し全国展開になりました。オンラインではサイズ欠けが見られますが、店舗ではまだ普通にならんでいるので試着してみてください。2990円(+税)とは思えない完成度に驚くはずです。トレンドが3000円で買えてしまう。 オススメです!