ユニクロのセルビッジスキニージーンズはデニムマニアを納得させる出来なのか?

デニムパンツは、リーバイスをはじめ日本のエドウィンや桃太郎ジーンズ、イタリアのディーゼルやヤコブ・コーエンなど実にさまざまなブランドがあり、単なる労働着を超えたファッション性によって着る人を魅了し続けているアイテムです。

今回はそれらのブランドに対抗してユニクロが満を持して発売した「ストレッチセルビッジスキニーフィットジーンズ+EC」についてレビュー致します。3990円(+税)と破格ながら、1万円台のジーンズに比すると言っていいと思います。

ただし、このデニムはポリウレタンが混紡されたスキニーパンツです。パッと履いて何となくサマになるといって点ではオススメなのですが、いわゆる「ジーンズマニア」「デニムマニア」とった方々のお眼鏡にかなうかと言われれば疑問です。

「1. 素材」「2. デザイン」「3. シルエット」の3つの視点から論じていきましょう。

1.生デニムを使用した高コスパなファブリック

まずは素材。筆者が購入したものは「69 navy」です。もちろんカイハラ社のファブリック(生地)が使われています。カイハラは岡山県にあるデニム生地のメーカーで世界最高峰とも称される名門です。服ログ別記事にも解説があるので、こちらをご参照下さい。

(参考:縮む?コスパ抜群ユニクロのセルビッジスリムフィットジーンズ)
https://fuku-labo.com/uniqlo-selvage-denim-slimfit

デニムはノンウォッシュのリジッド(生デニム)です。防縮加工がされていません。通常のデニムはウォッシュ(洗い)がかけてあるため、洗濯をしても購入当初から大きく縮むことはありません。

しかし、洗いのかかっていない生デニムは洗うとかなり縮みます。3ヶ月ほどの使用で、10回ほど洗濯したのですが、丈は5㎝、すそ幅は0.5㎝、渡り幅は1.5㎝ほど縮んでいます。

旧式の機械で織られたセルビッジのリーバイス501などを履いたことのある方はイメージしやすいかと思いますが、1サイズ、場合によっては2サイズアップして購入する必要があります。

筆者は約身長175cm体重67kgでやや筋肉質かつ骨格がしっかりしています。通常は31~32インチ、ウェスト79~82センチがジャストサイズです。このデニムのはかなり縮むため、33インチを購入しました。

公式サイトではワンサイズ上を選ぶことを推奨しているのですが、ほぼ2サイズアップの33インチでもスーパースキニーを履いているようなシルエットになるため、少し見苦しい印象を与えかねません。「スキニーはこんなもの」と割り切れる方は1サイズ、無難なシルエットで履きたいという方は2サイズ上げて購入するといいでしょう。

デニムの厚さを示すoz(オンス)は12.7ozです。ネット上ではよく「14oz程度が普通」と書かれていることがあります。しかし、近頃では厚みのあるジーンズは敬遠されています。

特にユニクロでは、ユニクロUのラインでは14オンス程度のデニムもありますが、通常のラインでは「レギュラーフィットジーンズ」の13.5オンスが最大で、この商品と同様に旧式で織られた「ストレッチセルビッジスリムフィットジーンズ」であっても12.7オンスなっています。

とはいっても、数値上で比較するようなペラペラな印象はありません。。特に洗濯し縮ませた後は目が詰まるので顕著です。

この薄さのデメリットをあげるとすれば、それは色落ちの始まり方です。個人的な心象で、気にしすぎかもしれませんが、インディゴの落ち方が少しだけ安っぽい。ポケットなど目立つ先端から特有の青さが出てくるため、高級感のある色落ちがすぐに出るかと言われれば、微妙です。

そういった細かいマニアックな点が気にならなければ、「いい生地」と言っていいでしょう。また、先述したとおり「ストレッチ」パンツなので綿98%にポリウレタンが2%混紡されています。ポリウレタンは伸縮性が特徴ですが、その半面、3年程度で加水分解が進むと言われているます。

ユニクロがいくらライフウェアを提案しようとも、「一生履くもの」というわけではありません。そうしたベクトルの違いは、あらかじめ認識しておくべきでしょう。

2.デザインにほとんど不満はないが……

こちらはオーセンティックな5ポケットのジーンズです。3つに分けて見て行きましょう。まず目立つところでいえば、ボタン。スキニーモデルはドーナツ型で、安っぽい印象はとくにありません。

何年か前に購入した上記のスリムフィットのボタンは表面的でした。購入当初こそややのっぺりとした印象ですが、2年弱履き込むうちにアンティーク感が出てきて、安っぽさが薄れてきました。

2017年の秋冬から「ストレッチセルビッジスリムフィットジーンズ」は、ボタンが変更になっています。しかし、2018年1月に店頭には旧版も残っていることを確認しています。

続いてはセルビッジデニムの代名詞、赤耳を見てみましょう。今度はリーバイスのセルビッジモデルと比較します。全行程をアメリカで作ったという「Made in USA ELVEDGE 511™️」です。


まずはユニクロ。

続いてリーバイス。 ユニクロの方はやや細く感じるのではないでしょうか。

上がユニクロで、下がリーバイスです。リーバイスの方が少し太めでがっしりとしています。特にこだわらなければ、観察しなければわからない範囲です。近くに他のセルビッジジーンズをよく履かれている方がいると、この独特な赤耳の細さから、いわゆる「ユニばれ」をしてしまう可能性は否定できません。

最後はバックポケットです。個人的には、このバックポケットが一番気になりました。それはやや小ぶりになっていることです。このうしろの尻ポケットが小ぶりになっていると、何が問題なのか。それは尻デカに見えてしまうこと……!

後ろから見られた時に、シルエットが綺麗に見えない可能性があるのです。ともすれば、レディースライクになってしまいます。特に太もも周りががっしりしているほうは注意した方がいいでしょう。

「たかが尻ポケットで何が変わるんだ」と思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、されど尻ポケット。例えばGUCCIなどのハイブランドと比較すると、その作りは一目瞭然です。


(参考 GUCCIウェブ付きダークブルーテーパードジーンズ)
https://goo.gl/UWNg8a

バックポケットが小ぶりであることによって、相対的にお尻の大きさが強調されてしまうため、男性が履くと美シルエットには見えにくいのです。特にスキニーシルエットの場合、シルエットをよく見せることはマストと言っても過言ではありませんので、バックシルエットが良くないという点は着こなしでカバーする必要があることに留意したいです。

ポケットなどの角度によってもシルエットの見方は変わります。筋肉に沿うようになっていることで、筋骨隆々な男性的印象を与えるため、見苦しくはなりにくい、といった仕様があるのです。その他高級ジーンズとの比較については、こちらがわかりやすいです。
(参考:12万のグッチのデニム、2万のAPCのデニム、3000円のユニクロのデニムを比較してみたよ。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=15312)

3.スキニーではあるものの、すそ幅はややあまり気味

最後にシルエットです。上述したように、リジッドデニムなので洗濯するとかなり縮んでスキニー感が増していきます。

公式サイトのサイズチャートを見ても分かるとおり、ユニクロの他のスキニーデニムよりももともと裾幅が約1㎝ほど太くなっていることがわかります。縮みを考慮してもまだ少し余裕を感じます。

太ももや膝周りこそタイトでスキニーを履いている感が強いものの、裾の細さが足りないために、なんとなくサマにならないといった印象があるかもしれません。これはバックポケットの形も少なからず影響しているでしょう。

ユニクロのジーンズがかなり進化したとは言っても、ヌーディージーンズやA.P.C.と言ったブランドには敵わないといっていいと思います。

(最高のジーンズとは言えないが、コスパがいいことには違いはない)

このようにデニムマニアではなくとも気になる点もあります。単純にシルエットのいい高コスパなスキニーが欲しい方は、デニムを選ぶ必要はありません。

わざわざわオンライン限定のこのスキニーを選ぶ意義がどれほどまであるのか?と言われると甚だ疑問でもありますが、生デニムを使用したジーンズを安く試してみたいという方は、挑戦する価値はあると思います。なにせ3990円(+税)ですので。

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2019.01.10
haya

この記事を書いた人

haya

身長174.5cm 体重68kg 靴27.5cm(オールデンは9C-D)

色気と哲学を纏う北の大学院生。 日本伝統芸能継承者にして、〈大人〉になる為の修練の身。 インスタにてコーデ投稿中。。

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