今年の秋のユニクロは、3つの展開が大きな話題を呼んでいます。
ひとつはメンズラインを初めてリリースした、フランスのデザイナー「イネス・ド・ラ・フレサンジュ」とのコラボ。続いてロンドンのブランド「J.W.アンダーソン」との初めてのコラボ。そしてもうひとつが、この秋で3度目となる、クリストフ・ルメール率いるデザイナーチームが手掛ける「ユニクロU」の展開です。
このユニクロU、ほとんどのアイテムは9月29日または10月6日に控えているものの、興味深いアイテムが、いち早く店頭に並んでいます。それは、今年の春夏に展開して大人気となった「ショルダーバッグ」。さっそく以下にレビューします。
幾何学模様を不自然なく組み合わせたデザイン
このバッグは、ボディバッグのように、体に斜めがけして使うものです。収納ポケットは2つついており、左右からファスナーで互い違いにオープンするようになっています。バッグとしては、ただそれだけのもの。
しかし目を凝らして見ると、実に興味深い作りなのです。では、ディテールをひとつひとつ見ていきましょう。
ファスナーの取っ手の部分は円形の金具になっており、つまみやすいという機能的な利点もさることながら、四角形をベースとしたデザインの中で、ひと際存在感を放っています。
続いて2本のエレメント(ファスナーの通るレールにあたる部分)。やや大ぶりのエレメントは、ともすればカジュアル過ぎるほどの存在感があります。しかし引いて見ると、独特の形状の金具が規則的に噛み合うサマがアクセントとなり、バッグ全体をのっぺりした印象にならないように見せています。
そしてその2本のエレメントの間のビニールはショルダー(肩紐)とつながっており、不自然に感じられない作りの中で、ショルダー表面の質感がまた、バッグ表面のデザインに貢献しています。
本体から目を転じてショルダー部分を見てみましょう。ショルダーは最長で124cmまで伸ばすことができます。この円形の金具で調整します。
余ったショルダーが、だらしなく垂らしっぱなしにならないための紐留めがついています。プラスチック製で、正直なところ作り自体は少々チープではありますが、これがあるのとないのとでは大違い。
バッグに限らずですが、身につけるもので“だらしなくあまった紐”はコーディネートの印象を大きく損ないます。このバッグはショルダーをどんな長さにしてもスリムな印象をキープできるという点で、とてもポイントが高いです。
試しにショルダーを最長まで伸ばしてみました。実際にこれで肩がけすると幼稚園児のバッグのようになってしまいます。着用の仕方については後述します。
素材はナイロンながら、チープ感はない
続いて素材について見ていきましょう。ファスナー周りの金具以外、バッグ本体もショルダーも、基本的に表面はすべてナイロンです。「ナイロン製」と聞くとチープな印象を持たれるかも知れませんが、それぞれの部位の質感からは、チープな印象はありません。
実際のところ、高級ブランドのアイテムにもナイロン製のものは数多くあります。
ショルダー部分もペラペラではなくしっかりしています。使っていてもよれたりねじれてきたり、ということはまずないでしょう。
これは裏側、体にフィットする部分です。内側にポリエステルの中綿が入っており、フカフカしています。ショルダー部分だけでなく、バッグ本体もペラペラではありません。
ちなみに、表地がナイロン製ということで、汚れにくい点でも機能的と言えますが、もし汚れた際の対処法は「ふき取る」のみ、です。洗濯、乾燥機、ドライクリーニングは全てNG。濡れや摩擦により色移りの可能性がある点で注意が必要です。
収納力自体は“コートのポケット”程度
肝心のバッグとしての機能に目を向けます。正直なところ、収納力はほとんどありません。2つのポケットがありますが、特に下側のポケットはスマートフォンを入れるので精一杯。
試しに、カバーをつけたスマートフォンを収納してみました。長辺約14cm、短辺約7.5cm、厚さ約1.5cm。これ以上入れるのは現実的には厳しいです。
上側のポケットの収納力は、下側に比べれば少しはマシです。このアイテムのサイズは、ユニクロ公式Webサイトでは「横(底)27×縦17cm」と記載されていますが、これは外側を測った場合の数字です。
このポケットに収納できる上限は、24cm×15.5cm(筆者実測)です。
試しに文庫本とスマートフォン、小銭入れを収納してみました。ちょうどいっぱいです。
ファスナーを締めるとこんな感じです。身に着けるとするならば、これでギリギリです。
試しに、さらに眼鏡ケースも入れてみました。ファスナーは締まりましたが、見た目としては完全にアウトです。そもそもスーツのポケットにモノを詰め込みすぎてはいけないように、このバッグにもモノを詰め込みすぎてはいけないのです。
収納力としてはコートのポケット程度、でしょう。外出時に財布とスマートフォンだけを入れて、手ぶらで出かける時にちょうどいいサイズ、とお考えください。
なお、春に発売されたものについての公式サイト上のレビューを見ると「収納力が弱い」というコメントがいくつかある一方で、「このサイズだからいいんだ、これ以上大きくなったら野暮ったいボディバッグになってしまう」といったコメントもあります。筆者も後者のコメントに賛成です。
4色どれもよし、だけどトレンドで選ぶならオレンジ
このショルダーバッグ、春夏の展開時にはブラックとオリーブの2色展開でしたが、この秋冬で新たにオレンジとネイビーが加わりました。筆者が選んだのは、一番派手なオレンジです。
4色並べてみると、最もカジュアル感が強いのですが、これからの季節のコーディネートを前提に考えると、このバッグを最も効果的に使える色がオレンジではないかと考えたからです。
というのも、秋冬のコーディネートはどうしてもダークトーンの面積が大きくなりがち。そんな時に、このバッグをアウターの中に入れると、よいワンポイントになります。ここ数年続いてきた「地味をもってよし」とされたノームコアトレンドの反動で、このようにビタミンカラーをコーディネートの中に部分的に採り入れるのが、「脱地味」を志向する今のトレンド感に合っています。
なお、上掲の写真では、ボディバッグのようにバッグを背中側に持っていくのではなく、敢えて内側に持ってきてサコッシュのように使っています。
※「サコッシュとは」、そしてサコッシュを活用したコーディネートについてはこちらをご参照ください。http://www.neqwsnet-japan.info/?p=11617
なお、オレンジ以外の色についても、正直どれもよいな、と感じました。実のところ筆者自身、売場でかなり悩んだものです。それぞれの印象について、簡単にコメントします。
ネイビーは本体の色に若干深みが足りないようにも感じられましたが、ショルダーの色味が抜群によいです。ブルー系と合わせて同色でまとめるのもよし、相性のよいグレー系と合わせてもきっと映えるのでは。
オリーブもチープ感はなく、秋らしくてよい色だな、と感じました。グレー系はもちろん、マスタードやワインといった秋色に合わせても映えそうです。
そしてブラックはやはり安定感抜群。年代を問わず、安心して使える色です。カジュアルなコーディネートを組んだ時に、大人っぽさを付与してくれそうです。
なお、最後に1点だけ注意事項を。このバッグを実際に身につけて歩くと、ファスナーの取っ手部分が揺れてカチャカチャと音を立てます。大きな音ではないですが、歩くたびに規則的に音がすることになるので、神経質な方はお気をつけください。
即完売の予感。即決を!
“使える”デザインと、1990円(税別)というリーズナブルな価格であるため、春夏に続き、発売後まもなく完売しそうな予感です。気になる色はまとめて押さえてしまってもよいかもしれません。早めのご検討をオススメします。
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