2017秋冬ユニクロU「ワイドフィットジーンズ」はワーク寄りのディティール

9月29日にリリースされたユニクロU2017秋冬の第一弾。特にボトムス類の出来が良かったので、今回も引き続きボトムスのレビューを行います。前回レビューした「コットンツイルワイドアンクルパンツ」は完成度の高いアイテムでしたが、今回の「ワイドフィットジーンズ」もかなり良いアイテム。

今まで通り「シルエット」や「生地」にも注目しながら、今回は「デザイン」や「ディテール」などについて少々マニアックな話も盛り込んでいきます。

綺麗なワイドテーパードシルエット

まずはシルエットですが、前回の「コットンツイルワイドアンクルパンツ」と同じ種類なので、なるべく簡潔に済ませます。

一言で言うならばテーパードシルエットのワイドパンツ。ウエスト周りなどはゆったりしていますが、裾付近はしっかり細く作られています。裾に向かうにつれて自然にスッと細くなっていく、綺麗なシルエットです。

また「裾」が細ければ全体の印象も細く見えるもので、それほどワイド感を感じにくくなります。さらにこのパンツは「アンクル丈」なので、生地が足元でクシャッとならずに「足首」が見えることで、さらにスッキリとした印象に。

「ワイドパンツもそろそろ試してみたいけど、なかなか勇気が出ない……」という方も多いと思いますが、まずはこんなシルエットから試してみることをオススメします。細身のパンツに慣れた方でも、あまり抵抗なく取り入れることができるでしょう。

価格帯からは想像できない、上質なデニム生地

ユニクロはデニムにかなり力を入れているということはご存じの方も多いかと思います。日本の有名デニム生地メーカー「カイハラ」と協業していることでも有名で、私もユニクロ価格であのレベルのデニムが手に入るのには衝撃を受けました。

そして昨年には、ロサンゼルスにデニム専門の研究施設である「デニムイノベーションセンター」を設立。そこで開発されたデニムは今シーズン2017年秋冬から商品化されており、すでに販売開始されていますね。

そして今回のデニムも、やはり価格からは想像できないほどしっかりした生地感です。さすがユニクロ、1万円くらいのデニムとはもうほとんど差がないんじゃないかと思えますね。

生地の厚さは14.5oz。「oz(オンス)」というのは重さを表す単位で、これが高ければ高いほど分厚い生地になっていきます。14.5ozというのは、デニム生地としてはごく一般的な厚さ。同じくユニクロUの「ワイドフィットカラージーンズ」はもう少し薄い生地になっています。素材は綿100%で、ポリウレタンは混紡されておりません。

カラーバリエーションに関しては、「ブラック」と「ネイビー」の2種類。写真の「ネイビー」は「インディゴ」で、いわゆる一般的なデニムの色ですね。インディゴですが、色落ちが少ないリジッドな色合いなので、綺麗目に着ることができます。シルエットも上品なので、フレンチカジュアルなどのスタイルにも最適ですね。

サイズ感について

サイズ感については、前回同様にこのパンツも大きめ。今回のユニクロUのボトムスはどれもウエストに余裕がありますね。175cm65kgで普段パンツはMサイズを穿くこと多い私だと、最小サイズ「29インチ」サイズでジャストでした。

ワンサイズ上げても綺麗に穿けるので、もう少し痩せている方でも大丈夫だと思います。それでもやはりサイズ選びが難しいので、いくつかのサイズを試着してから購入されることをオススメします。オンラインストアの場合も、サイズ違いで複数個注文するほうが失敗は少ないでしょう。返品は簡単にできますので。

寸法は実寸だと、ウエスト79cm、股上29cm、股下67.5cm、裾幅17.5cmでした。アンクル丈なので、裾上げの必要はありません。

ちなみにボタンフライではなく、ジップアップ仕様。金具等もマットな質感で安っぽい印象はありません。

「ワークパンツ」に着想を得たデザイン

「シルエットは綺麗だし、生地も相変わらず良い……」、これだけでも十分購入するに値するアイテムですが、もう一つ魅力なのが「デザイン」。ルメールが関わっているだけあり、面白いディテールがいくつも見られます。

ちょっとマニアックな話になりますが、別にこれらのことを知らなければオシャレになれないわけではありませんのでご安心を。逆に言えば、知っているからといってオシャレになれるわけでもありません。ですが、このような細かいディテールまで把握することで、より洋服に愛着が持てることもあるでしょう。

今回、比較用に「一般的なデニム」として、リーバイスの「501CT」を用います。明るいインディゴカラーのデニムが「501CT」です。

まずはステッチから見ていきましょう。洋服の縫い目のことを「シーム」と呼びます。特に股下の内側の縫い目を「インシーム」、外側の縫い目を「アウトシーム」と呼びます。アウトシームは通常、上の写真のように「割縫い」と呼ばれる、表からはステッチが見えないやり方で縫われます。

しかし、今回のデニムは「巻き縫い」と呼ばれる縫い方がされており、アウトシームにはダブルステッチが施されています。これにより強度が増すので、ワーク系のパンツに見られるディテールですが、ルメールはこれを「デザイン」として取り入れています。

決して主張の強いデザインではないですが、ステッチがちょっとしたアクセントになっており、側面から見た時にも「地味」に見えにくい工夫がされているわけです。

また「インシーム」にもダブルステッチが入っていることがわかります。インシームは現在、通常「インターロック」と呼ばれる縫い方がされ、さらに強度を上げるためにその上から叩き縫いが施されます。つまり表から見るとシングルステッチが見えるわけですが、ここも巻き縫いで敢えてダブルステッチに仕上げています。

これは特別珍しいわけではないですが、「チェーンステッチ」と呼ばれるもの。知っている方も多いと思いますが、ビンテージのデニムなどによく見られるディテールですね。裾を裏側から見るとチェーン状に縫われていることがわかります。「アタリ」と呼ばれるステッチ部分の色落ちが出やすいのも特徴。

次にポケット。ユニクロUのデニムも一般的なデニムと同じように、「ファイブポケット」と呼ばれる、前と後ろを合わせて合計5つのポケットがありますが、形が少し変わっています。

まず一般的なデニムですが、正面の左右に配置されるサイドポケットは、通常「スクープポケット」「ウエスタンポケット」などと呼ばれるデザインになっています。上の写真のように、丸み帯びたポケットのことですね。

しかし、このデニムは「スラントポケット」と呼ばれる直線的なデザイン。このような斜めにまっすぐ切ってあるポケットのことを「スラントポケット」と呼ぶのですが、これはジャケットやスラックスなどに見られるディテール。元々は乗馬をする際に手を入れやすいようにと斜めにした、というのがルーツです。

デニムにこの「スラントポケット」を取り入れるのは、イタリアのデニムブランドなどでもよく見られるディテール。例えば「JACOB COHEN(ヤコブコーエン)」や「SIVIGLIA(シビリア)」などですね。

「デニムをテーラードの思想に基づいて再構築する」というアプローチを得意とする彼らは、スラックスなどに見られる「ドレス」なディテールを取り入れることで、大人でも上品に穿くことのできるデニムに仕上げているのです。

しかし、このスラントポケットからはそんな雰囲気は感じません。というのも、斜めの角度が深く、正面から見た時に目立つんですよね。スラックスのような大人っぽいイメージ、「色気」などはありません。

こういったスラントポケットは「ワークパンツ」によく見られるディテールです。このことから、「ドレス」ではなく「カジュアル」なデザインとして、スラントポケットを取り入れていることがわかります。

正面から見て左のポケットには、「コインポケット」と呼ばれる小さなポケットがありますが、これも一般的な形状とは少し異なっています。サイドポケットとほとんど同じ幅で、なおかつ目立ちにくくなっていますね。ミニマルな印象です。

いかがだったでしょうか。シルエットと生地感共に優れたアイテムですが、「デザイン」といった面などからもレビューしていきました。価格は3990円(+税)。気になる方は是非チェックしてみてください。

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