ユニクロが世界のトップデザイナー、クリストフ・ルメール監修のもと展開している「ユニクロU」。
2017年秋冬のフルコレクションが、10月6日にリリースされました。主力商品であるコートやニットもさることながら、ビビッドな色遣いの小物もなかなかに魅力的。そんな中から今回は、バックパックに焦点を当てます。
公式ウェブで見た以上に印象の良いルックス
上掲の写真は、今回ご紹介するバッグの、公式ウェブサイトに掲載されている写真です。
読者諸兄はどのような印象を持たれましたでしょうか?筆者は正直なところ「筒型のお弁当ケースかな」と思いました。そんなわけで実物を見るまで全く期待していませんでした。
しかし、いざ売場で実物を見ると、ウェブサイトで見るのと印象が異なるのです。そのポイントは「実物はそこまで端正なフォルムではない」ところです。
公式ウェブサイトに掲載される写真は当然、端正に見えるように形を整えて撮影されます。が、このバッグを端正に撮ろうとした結果、のっぺりとした無機質な印象になってしまっているのです。

こちらの、筆者が撮影した写真をご覧いただくと、違いにお気づきになりますでしょうか。
実物には芯などが入っているわけではなく、柔らかな素材のため、表面に生地の表情があります。筆者はそれで、このバッグに親近感を覚えました。端的に言えば、「使いやすそう」という印象に変わったのです。
そしてこのバッグ、実際に使いやすいのです。
それでは、その機能を支えるディテールを順番に見て行きましょう。

まず生地について。このバッグの表地はナイロンでできています。ナイロンだからチープ、ということはありません。ハイブランドのバッグでも、敢えてナイロンを使うケースがあります。素材はアイテムの方向性を表現するための手段です。
筆者は作り手の表現の意図を存じ上げませんが、機能面から考察すると、ナイロンの「洋服等との摩擦といった日常的なダメージに強い」特性は、デイリーに使用するアイテムと好相性です。
なお、ものの試しに少々水をかけてみたところ、ほとんど弾くことなく吸収されてしまいました。触感なめらかなナイロンではありますが、撥水性は残念ながら期待できない模様です。

続いてファスナーの部分です。フタを開閉するためのファスナーと取っ手の金具は、生地と同色。ダブルジップになっているのは、利便性の面でポイントが高いと言えます。

そして背中側、左手にペットボトルホルダーならぬ“ペットボトルポケット”がついています。

このバッグは全体にポリエステルの中綿が入っており、底面と背面は比較的厚めです。
ただ正直なところ、「比較的厚め」と言っても絶対的には薄手なので、クッション性は少々頼りないです。角張ったものを背中の位置に持ってくることはオススメできません。ノートPCや雑誌のような平たいものを背中側に入れることをオススメします。


一方で、ショルダーストラップは実に優秀です。荷重が肩にダイレクトにかかるのを分散してくれる、頼りがいのある厚さです。タウンユースでそこまで重い荷物はそうそうないかもしれませんが、ノートPCやバッテリーなどを持ち歩くのにも不自由はなさそうです。
形はシンプルながら大容量

続いて、バッグの機能の肝ともいうべき、収納力について見て行きたいと思います。公式ウェブサイトによると、このバッグの容量は「25L」とのことですが、今ひとつピンと来ない数字です。
ただ、現物のサイズを見ると、少なくとも「小ぶり」と呼べるものではないことがわかります。
公式ウェブサイトに記載されている「縦43×横33×幅19cm」という数字だけ見ても、これまたピンと来ないのですが、身長178cm体重64kgの細身の筆者が実際に背負ってみたところ、背中の襟の下からベルトの上までが占拠される程度の大きさでした。

上掲のサイズの「横33×幅19cm」というのは、底面のサイズです。これが、収納できるモノのサイズの基準とお考えください。なお、構造的にも生地の特性的にも、伸縮性は期待できません。


バッグはモノがいっぱい入る、というのも大事ですが、そもそもモノを入れやすい、ということも大事です。このバッグはフタの部分がフルオープンすることができるため、入口でモノがつっかえる、といったストレスと無縁である点が素晴らしいと言えます。

さて、内側に目を向けます。背中側に、ジップ付きの内ポケットがあります。

サイズは筆者実測で縦18×横20cm。長ザイフを入れるにはやや小さすぎますが、スマートフォンやそのバッテリー、小銭入れといったものの収納に便利です。

そして先述の“ペットボトルポケット”。試してみると、本当にちょうど1本分が入る大きさです。縦30×横10cm(筆者実測)。小ぶりの折り畳み傘も入ります。
ただ、この“ペットボトルポケット”は背中の左側にあるので、実際にペットボトルを入れた状態で、左右両方のショルダーストラップで背負うと、背中の左側、ペットボトルの入っている部分に違和感を覚えてしまいます。
その場合は、右のショルダーストラップだけで肩掛けすればOKです。左利きの方にはオススメしづらいのが難点ですが。
どれも捨てがたい色鮮やかな4色展開。

このバッグはユニクロ表記で「09 BLACK」「24 ORANGE」「57 OLIVE」「69 NAVY」の4色展開。筆者は売場で相当悩んだ末に、「NAVY」を選びました。


汎用性を考えれば「BLACK」が間違いない選択肢でしょう。一方で、ネオンカラーの「ORANGE」は、特にダークトーンのコーディネートが増えるであろう秋冬にかけての、トレンド感あふれる“脱地味”カラー。一方で「OLIVE」の大人っぽい上品な発色も魅力的です。
筆者は普段から「NAVY」のアイテムを好んで購入しがちであるため、コーディネートの際も合わせやすかろう、ということで決断しました。これも鮮やかでありながら深みのある良い色です。
読者諸兄もご自身のコーディネートの方向性と照らし合わせつつ、是非前向きにお悩みいただきたいところです。
中綿が柔軟なので折りたたみが可能。

さて、余談めいた話になりますが、このバッグには上述の通り、中綿が入っています。特に背中の部分の中綿は、クッション性が若干頼りないものの、少し厚めです。
しかしこのバッグ、ストレスなく真っ二つに折りたためます。そして折りたたんでも、中綿が「折れ曲がる」とか「変なクセがつく」ことはありません。柔軟です。
折りたたむと、長辺45×長辺25×厚さ5cm(それぞれ最も長いところを筆者が実測)にまで圧縮できます。旅行時のサブバッグとしてメインバッグに入れて持ち歩く、といったことが可能なのです。日常的な使用法ではありませんが、ご参考までにお留め置きください。
なお、写真ではショルダーストラップを外側にして折りたたんでいますが、ショルダーストラップを内側にしても問題ありません。
価格は3990円(+税)。「絶対に買い」と言うべきアイテムではないのもしれませんが、価格も込みで考えると、「買っておいて損はない」アイテムではないかと筆者は考えます。
ユニクロUまとめはこちら↓