2017ユニクロU秋冬イチオシのシャツはレディスのノーカラーシャツ

世界のトップデザイナー、クリストフ・ルメールが監修する「ユニクロU」。2017年秋冬のラインナップの中心はコートやニットといった冬物アイテムで、シャツの点数はメンズとレディス合わせても5点しかありません。

しかしその中に、実に秀逸なデザインのものがあります。レディスのシャツなのですが、これがユニクロらしからぬモードな香り漂う逸品なのです。

機能と連動した上品なカジュアル感のあるデザイン

このシャツは市場ではあまり見かけないノーカラーシャツです。

「ノーカラーシャツ」は「スタンドカラーシャツ」や「バンドカラーシャツ」と混同されがちで、ゾゾタウンの中で検索しても「ノーカラー」と「バンドカラー」が同時にヒットしてしまったりしますが、実際は別物。名前の通り、襟が一切ないのが特徴です。

人の視線を集める首元に何もないため、寂しく見えてしまう点で、着こなしでの調整が不可欠です。その方法は後述するとして、本来的にシャツはドレスなアイテムですが、このシャツ単体の印象は、「ドレス感のあるカジュアルシャツ」と言えそうです。
※ドレスとカジュアルについてはこちらをご参照くださいhttp://www.neqwsnet-japan.info/?p=1810

前身頃(前面の生地)と後ろ身頃(背面の生地)、袖、裾には、それぞれ幾何学模様を想起させる裁断があります。生地と同色の糸を用いたステッチなので悪目立ちはしないものの、一般的な無地のシャツとは一線を画す、このシャツ独特の印象を醸し出しています。

これは後述する生地の特性とも関係するのですが、生地に伸縮性がない分、デザインで動きやすさを確保するためのデザイン。機能のためにデザインを犠牲にしておらず、そしてデザインのために機能を犠牲にしていないのです。

また、ボタンはシャツの印象を決める重要なポイント。このシャツの場合は、基本的に比翼仕立てになっており、前ボタンは一番上を除いて見えなくなっています。

シャツは比翼仕立ての方がドレス感が強まるものですが、逆に言えば、こうして一番上のボタンだけを見せることで、完全にドレス寄りな仕立てにはしていない、とも言えます。

総じて、カジュアルな要素が散りばめられてはいるものの、上品な大人っぽさを確保したデザインと言えそうです。

体型を見せないリラックスシルエット

続いてシルエットについてです。筆者はXLサイズを購入しましたが、身幅は54cm(筆者実測)。アームホールはかなりゆったりしています。後述する生地感とも相まって、体型が見えにくい作りになっています。

裄丈は81cm(公式サイト記載)。筆者が普段着ているシャツの裄丈は80cmなので、サイズだけ見るとほぼ同じです。しかし実際に着てみると、「普段着ているシャツとほぼ同じ」とは言いきれない、ちょっとした違和感があります。その理由は肩幅と袖丈にありました。

このシャツの肩幅は、なんと29cm(筆者実測)しかありません。言わば“ナローショルダー”。しかし一般的にナローショルダーはタイトシルエットの代名詞ですが、このシャツは上述の通り、リラックスシルエットなのです。

一方で、袖丈は68cmです(筆者実測)。ユニクロのメンズの一般的なMサイズのシャツの袖丈はだいたい60cm。そんなわけで袖自体はこのシャツの方が長いのですが、肩幅が狭い分、袖の始点が肩から近いため、結果として袖が長すぎることはありません。

むしろ袖を通すと「少し短い」とさえ感じます。例えば、日常的にはまずない動きですが、試しに両腕を前に突き出すと、手首は完全に露出します。ただ、腕を下ろしている分には、身幅が大きいことも手伝って、手の甲にかかるくらいの長さになります。

日常的な動きの中で、特段の不自由はありません。そんなわけで、着た時に感じるちょっとした違和感について、あらかじめご承知置きください。

身丈は70cm(公式サイト記載)。ユニクロのメンズの一般的なシャツの長さを思えば、このシャツは特に長くは感じません。スラックスのポケットの上部が隠れる程度です。

一方で、裾幅が64cm(公式サイト記載)あります。「裾幅」という言葉はあまり見慣れないかもしれませんが、「身幅より裾幅の方が大きい」というのはこのシャツの大きな特徴と言えます。

元よりゆったりしたシルエットなので、実際に着てみた実感として、特に“末広がり”な印象ではありません。しかしこの裾幅を活かした着こなしが、このシャツをより活かすのではないかと思います。この点は後述します。

肉厚でハリのある生地感

素材は綿100%。肉厚でツヤがあります。ユニクロの定番ドレスシャツである「エクストラファインコットンブロードシャツ」と比べても、かなり生地の厚みを感じます。この生地のポイントはユニクロ公式サイトに記載されている「高密度コットン」でしょう。

この単語で検索をかけると、上位に出てくるのは「タイプライター生地」なるもの。しかし「タイプライター生地」とは、基本的に薄いもので、シワ感を楽しむものです。その点、このシャツは生地が厚い分、重くて落ち感があるため、別物です。

シワだらけになる、ということはないですが、しかし綿100%ということで、シワになりやすいことには変わりません。

なお、生地が厚く体に容易にフィットしないため、上述のゆったりしたシルエットと相まって、体型を出にくくしています。生地に伸縮性は全くと言っていいほどありませんが、上述の通り機能的なデザインによって動きやすさを確保しており、着ていてストレスはありません。

このシャツは基本的に比翼仕立てですが、シャツの一番上のボタン、及び袖口のボタンは人の目に触れるところにあります。正直なところ、このボタンに高級感はありません。見るからにプラスチックです。

ただ、生地とボタンの色味をきっちり合わせているので、ボタンのチープさが悪目立ちしていない点では、大きな減点でもいうこともないです。

ちなみに、レディスアイテムということでボタンの位置はメンズと左右逆です。慣れない内はなかなか留めづらいものです。ただ比翼仕立てということもあり、人から見て「これはレディスアイテムだな」とわかるものではないでしょう。

洗濯に際してはネットに入れましょう。色移りのリスクがあるとのことで、色の薄いものと一緒に洗うのは避けた方が無難です。乾燥機の使用はNG。また、洗濯後のアイロンは必須です。その際は150℃以下の中温で、あて布の使用推奨です。

モード感のBLACKかトレンドのRED

このシャツはユニクロ表記で「01 OFF WHITE」「09 BLACK」「15 RED」「69 NAVY」の4色展開です。

筆者が選んだのは「09 BLACK」。

一般的な黒シャツはキメ過ぎ感があるために、普段はなかなかコーディネートに採り入れにくいと感じています。しかしこのシャツは、ノーカラーでシルエットのゆったりしているので、“キメ過ぎ”感を出さずに着られる貴重な黒シャツであると感じています。


http://urx.blue/Gcg5

合わせやすさで言えば「01 OFF WHITE」も実に秀逸です。

一方で、“ノームコアトレンド”の反動としての昨今の“脱地味”志向の中で、ネオンカラーを採り入れたコーディネートが注目を集めています。その点で言うと、真紅と言うよりはブラッドオレンジジュースに近い色の「15 RED」もひとつの選択肢です。

なお、「69 NAVY」については、筆者使用のPCの問題かもしれませんが、モニターで見るよりも現物の色が薄く感じられました。ブルーに近い見え方です。ステッチのデザインと相まって、なんとなくアジアっぽい服だな、という印象を受けました。

このシャツの特性を活かした着こなしを

このアイテムはノーカラーシャツと言うことで、着こなしに際しては首回りの寂しさをカバーする意識が不可欠です。ストール等で首回りそのものを隠してしまうのも一手ですが、筆者のオススメはタートルネックと合わせること。これからの季節は特に、ユニクロのヒートテックの白のタートルネックが好相性です。

一方で、ボタンを全て留めても良いのですが、裾幅の広さを踏まえると、5つある前ボタンの、下2つか3つを開けてみるのも一手です。裾に向かって前身頃が自然と広がるため、白のタートルネックと合わせた時に、その白が自然と見えて、黒シャツの重さが多分に軽減されます。

ちなみに、前ボタンを全て留めるのであれば、身長178cmの筆者にとってはXLでジャストサイズと感じています。しかし、上述のようにボタンの下を開けて着るスタイルを前提に考えると、サイズをXXLにしても良かったな、とも思います。

XLをXXLにすると、裾幅がさらに3cm大きくなるので、より裾の開き方が強調されることでしょう。なお、XLがXXLになっても、裄丈は変わりません。身丈は1cmだけ長くなります。

このシャツの定価は2990円(税別)。ただしXLまたはXXLは通販のみの対応なので、送料を含めると、実際の支払いは3715円(税込)となります(単品で購入する場合)。

しかしこのシャツのクオリティを考えれば、破格と言えるのではないでしょうか。

ユニクロUまとめはこちら↓

【2017】ユニクロユー秋冬アイテムレビューまとめ【全25点】

2017.12.16
EQ03

この記事を書いた人

EQ03

身長178cm 体重64kg 靴27.0cm

洋服を“食”と共に、「コミュニケーションを最適化するためのツール」と位置付けています。物産展マニア。国内外を問わず、地域・人に根差した物語性のあるモノ・コトに惹かれます。コーディネートはワイルドよりもきれいめを。