メルトン素材のステンカラーコートの魅力を解説
まずはステンカラーコートとはなんぞや、という疑問から簡単におさらいしていきましょう。ステンカラーとは和製英語で、「ステン」とはフランス語で「支える」、カラーは襟を指します。
シンプルな形はすべてのコートの原型ともなっているそうです。またゆったりとした袖周りも特徴で、ビジネスシーンではスーツの上から着用でき、プライベートでもニットの上から羽織ったりと、使い勝手のいい万能選手です。
そしてメルトンとは、メルトンウールの素材を指します。ウールを生地に仕立てる際、縮絨(しゅくじゅう)加工といって繊維を密に仕上げています。丈夫で保温性があるので、海軍でも昔から使用されている素材です。Pコートやダッフルコートが有名ですね。
今回ご紹介するのはユナイテッドトウキョウのメリノメルトンステンカラーコート。ユナイテッドトウキョウはその名のとおり東京のクリエーションと日本の技術を組み合わせたブランドで、全てメイドインジャパンに拘っており、高い原価率にも関わらず薄利で販売することをウリにしています。
その原価率は50%で業界平均のなんと2倍ともいわれ、設立から3年ほどの若いブランドですが、安価で良品が購入できることから人気のあるブランドです。
果たしてこのコートは買いなのか、さっそく見ていきましょう。
シルエットや細部を徹底チェック
最初にシルエットから見ていきます。このコートは一般的なステンカラーコートに比べウエストをやや絞った裾広がりの形状で、ボックス型シルエットに分類されます。着丈はお尻がすっぽり隠れ、太ももあたりまで伸びるミドル丈です。
サイズは2(M)で着丈85cm、肩幅45cm、身幅55cm、袖幅65cmです。170cm55kgでスーツを着ても、プライベートで厚めのニットを着ていても、すっぽりと羽織ることができます。
ボタンは本水牛ボタンを使用していて高級感があります。ステンカラーコートの種類によってはボタンを隠す作りのものもありますが、このコートは露出しています。シンプルなコートにおいてボタンはとても目立つもの。その点高級感のある天然素材のボタンは好印象です。
袖口もシンプルながら丁寧に作られています。もちろん水牛ボタンを使用しています。
ポケットは個人的にコートの重要項目だと思っています。男性はバッグをあまり持たず、財布やスマホをポケットに入れて過ごす方が多いですよね。また真冬はポケットに手を入れて歩くことも多いでしょう。その点このコートはすごく丁寧な作り、大きさも必要十分です。
内ポケットは左側に一箇所あり、長財布がすっぽりと収納できます。
脇の下には通気口も。実際に役立っているのかはよくわかりませんが、こんな細かいディテールも所有する喜びを与えてくれます。
このコートを購入してしばらく気付かなかったのがボタン裏にあるこちら。これはチンフラップといい、襟元から入る寒風を防ぐためのものです。
トレンチコート等では襟裏に革製のコードが挿入されている場合もありますが、このコートは裏側に潜んでおり、襟周りに不必要なデザインを与えていません。またこのチンストラップはボタンで固定されていて、なくすことがないので嬉しい限り。
あまり使う機会はないと思いますが、チンストラップを取り付けるとこんな感じ。一気にクラシカルな印象になりますね。こういった部分からコートの歴史が脈々と受け継がれているのが分かります。
特筆すべきは素材について。触った印象が全く違う
このコートの特筆すべき点は素材でしょう。ステンカラーコートはシンプルであるがゆえ、素材で差が出てくるもの。
まず表地はウールの中でも最高品種とされるオーストラリアのアデレード地方で採れた、メリノ種の羊毛を使用しています。他の羊毛に比べ繊維が細かく柔らかいことが特徴で、しなやかな肌触りと光沢があります。
そのウールを世界でも有数の毛織物産地である、山形県の尾州地区で織り上げ高級感のあるメルトン素材としています。仕上げの工程で通常の縮絨加工よりも強めの加工を入れているそうで、より肉感のある仕上がりになっています。
さらにユナイテッドトウキョウオリジナルの樹脂加工を更に施すことで、表面を滑らかに、よりキレイに仕上げています。
写真は袖口ですが、実際に手に持ってみると、厚くてハリのあるずっしりとした重厚感に驚かされます。着用すればとても暖かく、また硬い素材は型崩れしにくいです。重厚感はありますが、着ていて重いということはありません。素材は毛90%、ナイロン10%で構成されています。
裏地は高級素材であるキュプラ100%です。スーツの裏地に使われることが多い素材ですね。特徴としては柔らかくしなやかな上に吸湿性があり、静電気が起きにくいです。
冬はニットにコートにと着込むことから静電気が起こりやすいものですが、こうした配慮はありがたいですね。ただ、ひと冬着用しましたが、明らかに静電気が減ったという体感はないです。
話は変わりますが、コートにとって触った印象というのは実はすごく大事です。ビジネスでもプライベートでも、室内に入ったとき等にコートを脱ぎ着する機会は案外多いものです。例えばパーティの際、スタッフにコートを預ける時は案外コートを見られているものです。見られているというよりも触った印象ですね。
このコートの重厚感であれば「いいもの着てるな」と思われるでしょう。後述する値段を言い当てられる方はなかなかいないはずです。
オンにもオフにも。あれば大活躍間違いなし
最後にカラーについて。ご紹介したネイビーの他に、グレー、グリーン、イエロー、ピンクがラインナップされています。
(ネイビー)http://bit.ly/2yJ2dd3
(グレー)
(グリーン)
(イエロー)
(ピンク)
プライベートのみの使用であれば、明るい色も品があり捨てがたいですね。前述のとおり重厚で高級感のある素材を使っているので、このようなポップなカラーリングも安っぽくありません。
気になる価格は2万1384円(税込)。前述しましたが、この値段を当てられる人はそうはいないでしょう。それほど素晴らしい素材を使用しています。また、同じ素材を用いたチェスターコートもありますのでさらに選択肢は広がりそう。これがあればオンにもオフにも大活躍間違いなし、冬が待ち遠しくなりますよ。
※チェスターコートはこちらです。